JAXAの年収を公式資料で解説!職種と経験で変わる仕組みと民間比較

JAXAの年収を公式資料で解説!職種と経験で変わる仕組みと民間比較
  • 「JAXAの年収って、実際のところいくらなんだろう」
  • 「サイトごとに金額が違って、どれが本当の数字なのか分からない」
  • 「今より下がるなら、家族にどう説明したらいいだろう」

宇宙業界への転職を考えたとき、最初に引っかかるのがお金の話です。
結論から書きます。

JAXAの年収は、所管府省が毎年度公表する資料と、JAXA公式の年収試算ページで確認できます。
どちらも誰かの推計ではなく、対象者と算出条件がはっきり書かれた資料です。

この記事は、宇宙の科学と宇宙産業の情報を一次情報と整合させて発信するASTROWORKS編集部がまとめています。

この記事で整理するのは、次の4点です。

  • 公表資料で分かる法人全体の平均年間給与額と職種別の内訳
  • 学歴と実務経験年数を入れるだけで概算が出る公式試算の使い方
  • 本給・諸手当・賞与という積み上げの構造と、任期制ポストの年収目安
  • 民間の宇宙企業と比べるときに数字の粒度をそろえる方法

読み終える頃には、ネットで見かけた年収の数字について「誰の、いつの、何を含んだ金額か」を自分で判定できるようになります。

ほしまる

数字はね、出どころをたどれるものだけを見ればいいんだよ。ぼくと一緒に、公式の資料から順番に確かめていこう。

※記事の要点は、以下のスライドでもサッと確認できます。

クリーンルームで組み立て中の人工衛星と整備設備
衛星や探査機を組み立てるクリーンルーム。宇宙機関の仕事はこうした設備と規程に支えられており、給与の決まり方も規程で公開されている。 Credit: NASA
目次

JAXAの年収は公式の公表資料と試算ツールで確認できる

公表資料で分かる法人全体の平均

年収の数字は2種類の一次情報でたどれます。
法人全体の実績値と、自分の条件で出す概算です。

法人全体の平均年間給与額は所管府省が毎年度公表している

独立行政法人は、役職員の給与水準を毎年度公表しています。
総務省のページが各法人の公表先を案内し、資料そのものは所管府省のサイトに置かれる形です。
JAXAの所管は文部科学省なので、実際の数字は文部科学省の公表ページから開けます。

令和7年度の公表資料では、一般職員の年間給与額(平均)が次のようになっています。

区分人員平均年齢年間給与額(平均)
常勤職員(全体)1,465人46.5歳949万4,000円
事務・技術423人46.9歳943万2,000円
研究職種929人45.5歳938万5,000円
その他教育職種110人53.1歳1,058万7,000円

(出典: 文部科学省/国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の役職員の報酬・給与等について(令和7年度)「2 職員給与の支給状況等 ➁職種別支給状況(一般職員)」)

この「平均年間給与額」には定義があります。
総務省の説明では、月例給与および賞与を減額されずに支給された常勤職員の年間給与総額を、その職員数で割った数値です。
対象からは再雇用職員等が除かれます。

JAXAの資料には、年間給与額が時間外手当を除く給与の額だという注記も付いています。
上の表の金額に残業代は入っていない、ということです。
なお、全常勤職員の数は令和8年4月1日時点で2,664人と記載されています。

自分の年収はJAXA公式の試算で学歴と実務経験年数から出せる

平均値より知りたいのは、自分の場合いくらになるかでしょう。
JAXAの採用サイトには、年収の概算を出す試算ページがあります。
入力するのは最終学歴と実務経験年数の2つだけ。
最終学歴は博士・修士・学士・短大の4区分、実務経験年数は0年から50年まで選べます。

このページには、給与額は「これまでのご経験等を考慮の上、機構の規定により決定します」と書かれています。
試算に含まれる範囲も明記されており、本給、超過勤務手当(月20時間相当)、住居手当、賞与等が対象です。
実際の超過勤務手当は勤務実績に応じて変動するという断り書きも添えられています。

結果を読むときに外せない前提があります。
この試算はあくまで概算で、実際の年収額は内定後に再度算定されると明記されている点です。

表示も10万円単位。
1万円まで一致する精密な見積もりではなく、自分の条件がどのゾーンに入るかを掴むための道具。
そう割り切ると、使い道がはっきりします。

転職を検討している段階なら、出発点はここです。
学歴と経験年数を入れてみるだけで、話がぐっと具体的になります。

口コミサイトの平均年収は推計値で出所が異なる

「JAXA 年収」で検索すると、転職口コミサイトの投稿をもとにした推計値や、出所の書かれていない数字が並びます。
それらが間違いだと決めつける必要はありません。
問題は、公表資料と同じ土俵に乗っていないことです。

公表資料の数値には、対象が常勤職員であること、再雇用職員等を除くこと、時間外手当を含まないことがはっきり書かれています。
投稿ベースの推計はどうでしょうか。
回答者が何人いて、どの職種がどれだけ含まれ、いつの年度の給与なのかが示されないことが多くあります。
母数も職種構成も年度もそろっていない数字を並べて「JAXAは高い/低い」と結論づけると、比べたつもりで別物を見ている状態になります。

年収の数字を見たときは、次の3点を確かめる習慣をつけておくと安心です。

  • 誰を対象に集計した数字か(常勤職員か、全社員か、特定職種か)
  • いつの期間の給与か(年度・決算期)
  • 何が含まれているか(賞与、残業代、諸手当の有無)

この3点が書かれていない数字は、参考程度にとどめておくのが安全です。

公表資料と公式試算の2経路を示し、口コミ推計を除外する図解
年収を確かめる2つの経路。所管府省の公表資料で法人全体の実績値を押さえ、公式の試算ページで自分の条件の概算を出す。出所の書かれていない推計値は同じ土俵に並べない。(図解はイメージです)

JAXAの給与は本給と諸手当と賞与を積み上げて決まる

平均額より積み上げの構造を知るほうが、現職のオファー年収と比べやすくなります。

本給は職員給与規程の俸給表と経歴の換算で決まる

JAXAは職員給与規程を公開しています。
規程によれば、給与は本給と諸手当で構成され、本給表は一般職本給表と教育職本給表の2種類。
本給の額は級と号給の組み合わせで決まります。
級が職責の重さ、号給がその中での位置づけにあたると考えると、イメージを掴みやすくなります。

中途で入る人にとっての関心は、前職の経験がどう反映されるかでしょう。
規程はこの点について、新たに採用された職員の本給を、その者の能力および経歴、職務の複雑・困難・責任の度を考慮して決定すると定めています。

中途採用者の本給は、担当者の裁量や交渉の巧拙で動くものではありません。
経歴を、公開されたルールの物差しに当てはめた結果として出てきます。
キャリア採用の募集要項にある「経歴等を考慮の上、機構の規定により決定」という一文も、同じ建て付けを指しています。

年齢による調整も入ります。
一般職本給表の適用を受ける職員は、60歳に達した日以降の最初の4月1日から、本給が級号給の額の70%になります(組織基幹職の職制にある場合を除く)。
額面の前提そのものが、途中で切り替わる仕組みです。

なお、公開されている規程PDFに収録されているのは条文と附則で、別表第1・別表第2にあたる級号給ごとの金額表は含まれていません。
金額の感覚を掴みたいときは、次章で扱う公式試算に当たるのが早道です。

超過勤務手当と住居手当が年収に上乗せされる

規程には20種類を超える手当が列挙されています。
年収への効き方が大きいものを挙げます。

  • 超過勤務手当。時間単価に対し、平日の時間外は125%、休日勤務は135%、月60時間を超える分は150%
  • 深夜勤務(22時から翌5時)への25%加算
  • 住居手当。月額1万6,000円を超える家賃を支払う職員が対象で、家賃額に応じて計算
  • 扶養手当。公表資料では子1人につき1万3,000円と記載
  • 研究開発手当、職責手当、主任手当など、職務や職責に応じた手当

見落としやすい規定がひとつあります。
職責手当が支給されている職員には、一部の例外を除いて超過勤務手当が支給されません。
役職が上がると残業代が付かなくなる構造は民間企業と同じで、額面の伸び方が途中で変わる要因になります。
公式試算が超過勤務手当を月20時間相当で見込んでいる点も、この構造と合わせて考えると見え方が変わります。

昇給は年1回で賞与は年2回、退職金制度もある

キャリア採用の募集要項には、待遇として「昇給年1回、賞与年2回、諸手当(超過勤務手当、住居手当、通勤手当他)、退職金制度あり」と明記されています。
生涯賃金の観点で見るなら、退職金制度の有無は無視できない条件です。

昇給の運用は規程に書かれています。
昇給は6号給以内の幅で行い、時期は毎年10月1日。
能力の伸長と勤務成績を考慮すると定められています。

賞与にあたる期末手当は、6月1日と12月1日を基準日として支給される形です。
額は基準日時点の基準内給与と地域調整手当の合計額をもとに計算し、在職期間や勤務成績を勘案して決まります。

ただし、平均的な昇給幅が何号給なのか、賞与が年間何か月分なのかは公表されていません。
ここは「調べれば分かる」ではなく「公表されていない」が正解です。
編集部でも公表資料をひととおり当たりましたが、該当する記載は見つかりませんでした。

実際の金額は選考の中で提示されるものとして扱うほうが安全です。
外部の推計値で空欄を埋めると、判断の土台がぐらつきます。

参考になるのは、公表資料に載る改定実績のほうです。
令和7年度の主な改定内容として、本給を3.3%引き上げ、期末手当を年間で0.05月引き上げたと記載されています(出典: 文部科学省/JAXA 令和7年度公表資料「④給与制度の令和7年度における主な改定内容」)。

ほしまる

ぼくの機体も、設計図の部品表を見ないと何ができるか分からなかったんだ。給与も同じで、内訳の表を見るのがいちばん早いよ。

実務経験年数による年収の変化は公式試算で追える

公式試算は学歴と経験年数で引く

試算の入力欄は学歴と実務経験年数です。
年齢の欄はないので、年齢で見たいときは公表資料のモデル給与を使います。

学歴と経験年数の組み合わせで初期の水準が変わる

公式試算に条件を入れると、次のような概算が表示されます。
金額は10万円単位。
本給・超過勤務手当(月20時間相当)・住居手当・賞与等を含んだ数字です。

実務経験年数短大学士修士博士
0年390万円420万円480万円550万円
5年490万円550万円590万円640万円
10年600万円640万円670万円760万円
20年800万円840万円860万円910万円
30年970万円970万円1,000万円1,030万円

(出典: JAXA「年収試算」に各条件を入力したときに表示される概算。試算ページで選べる最終学歴4区分すべてを掲載。金額は10万円単位で、実際の年収額は内定後に再算定される)

試算ページは公開されている本給データを読み込んで計算する仕組みです。
そのデータが改定されれば、同じ条件を入れても表示される金額は変わります。
表の数字は固定の相場ではなく、現在公開されている条件での目安として捉えてください。

学歴による差がもっとも開くのは、経験年数0年の時点です。
短大と博士では160万円ほどの開きがありますが、30年では60万円ほどまで縮みます。
経験年数がそろえば、学士と修士の差もおおむね数十万円の範囲。
理系大学院卒が多い業界ですが、学位そのものより実務経験の年数が効く設計だと分かります。

年齢の目安を知りたい場合は、公表資料のモデル給与が使えます。

モデル月額年間給与
22歳(大卒初任給)25万8,400円430万2,360円
35歳(本部係長)40万3,604円681万2,091円
50歳(本部課長)63万5,794円1,110万7,536円

(出典: 文部科学省/JAXA 令和7年度公表資料「4 モデル給与」)

対国家公務員指数は国家公務員を100とした相対水準を示す

公表資料には必ず「対国家公務員指数」という数字が載ります。
総務省の説明では、独立行政法人と国家公務員の給与の比率を、年齢階層別の人員構成、または年齢・地域・学歴階層別の人員構成を勘案して算出した指数です。
国家公務員の給与水準を100としたときの水準を表すので、104なら4%高い、98なら2%低いという見方になります。

JAXAの令和7年度の数値は次のとおりです。

勘案条件事務・技術職員研究職員
年齢勘案106.4100.1
年齢・地域勘案103.898.7
年齢・学歴勘案104.4100.4
年齢・地域・学歴勘案102.798.5

(出典: 文部科学省/JAXA 令和7年度公表資料「3 給与水準の妥当性の検証等」)

勘案する条件を増やすほど指数が下がる点に意味があります。
JAXAの資料は、国に比べて水準が高い理由として、大卒以上の高学歴者の割合が78.1%(国家公務員は65.1%)、管理職の割合が28.7%(同17.8%)である点を挙げています。
学歴や地域の条件をそろえると差が縮むのは、そのためです。
研究職員にいたっては、年齢・地域・学歴を勘案した指数が98.5と、100を下回ります。

比較の材料として、全府省所管の独立行政法人(日本司法支援センターを含む87法人)を1つの法人とみなした参考値も公表されています。
令和7年度の平均年間給与額は、事務・技術職員が759万3,000円、研究職員が995万8,000円です(出典: 総務省「独立行政法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準(令和7年度)の公表」の【参考】表)。

JAXAの職員は国家公務員ではないが給与体系は公的な基準を参照する

「JAXAは公務員」という認識は、検索の関連キーワードにも出てくる誤解です。
独立行政法人通則法の第51条は「行政執行法人の役員及び職員は、国家公務員とする」と定めています。
逆にいえば、国家公務員の身分が与えられるのは行政執行法人だけです。
総務省の公表一覧でも、行政執行法人(公務員型)には◎印が付けられており、国立研究開発法人であるJAXAにこの印はありません。

では給与が公的な基準と無関係かというと、そうではありません。
公表資料には、給与制度の令和7年度における主な改定内容として、国家公務員の「一般職の職員の給与に関する法律」等の改正に準拠し、本給を3.3%引き上げ、期末手当を年間で0.05月引き上げたと記載されています。
宇宙航空プロジェクト研究員の募集要項にも、年収目安について「人事院勧告・給与制度の見直し等による、変更する場合があります」という注記が入っています。

身分は国家公務員ではありませんが、水準の改定は国家公務員の給与改定に連動します。
この2つを分けて理解しておくと、公表資料の指数も募集要項の注記も素直に理解できます。

ほしまる

身分と、水準の決まり方は別の話なんだ。ここを混ぜると、せっかくの公式資料が読みにくくなってしまうよ。

学歴別の年収カーブが経験年数とともに収束していく様子の図解
学歴別の概算年収のイメージ。差がもっとも開くのは実務経験0年の時点で、経験年数が積み上がるほど学歴による開きは縮まっていく。(図解はイメージです)

職種区分によって年収の見え方と雇用形態が変わる

採用区分で条件の見え方が変わる

同じJAXAでも、採用区分によって条件の公表のされ方が違います。

新卒採用は技術系職員と事務系職員に分かれる

新卒採用サイトでは、職種が技術系職員と事務系職員の2つに分かれています。
理系のバックグラウンドを持つ読者が想像しやすいのは技術系のほうでしょう。
ただし、実際に紹介されている社員の所属には調達や国際関係の部署も含まれており、宇宙の仕事が設計と解析だけで成り立っているわけではないことが分かります。

初任給の水準は、公表資料のモデル給与から読めます。
22歳の大卒初任給は月額25万8,400円、年間給与は430万2,360円です。
これは扶養手当を含まない金額で、扶養親族がいる場合は子1人につき1万3,000円が加算されます。
先ほどの公式試算で学士・実務経験0年を入れると420万円が表示されるので、両者はおおむね同じゾーンを指しています。

新卒採用は年度によって募集する職種や時期が変わります。
数字を確認するときは、モデル給与の年度と募集要項の年度をそろえて見るのが確実です。

キャリア採用は輸送や衛星など分野別に募集される

キャリア採用のページでは、募集職務が分野ごとに整理されています。
技術に近い分野として並んでいるのが次の区分です。

  • 宇宙輸送システム
  • 人工衛星
  • 宇宙科学・探査
  • 航空科学技術
  • 先導的かつ基盤的な技術研究・開発

事業や管理に関わる分野としては、次の区分が挙げられています。

  • 安全・信頼性・品質管理
  • 情報・サイバーセキュリティ、情報システム基盤
  • 事業推進・管理系
  • 基金

現職のスキルと接続を考えるなら、分野名から逆算すると見通しが立ちます。
組込みや制御の経験は人工衛星や宇宙輸送システム、データ分析や運用基盤の経験は情報システム基盤、製造品質やプロセス管理の経験は安全・信頼性・品質管理と接点を持ちます。
募集分野は時期によって入れ替わるため、応募を考える段階では最新の募集要項を原文で当たっておくと安心です。

任期制の研究員ポストは年収目安が募集要項に明示される

JAXAの採用区分の中で、年収の目安が金額で公表されている数少ないポストが宇宙航空プロジェクト研究員です。
募集要項には年収目安として「約590万円(人事院勧告・給与制度の見直し等による、変更する場合があります。)」と記載されています。
手当は通勤手当、住居手当、業績手当、期末手当が支給され、個別の研究費の支給はないと明記されています。

金額だけを取り出すと判断を誤ります。
このポストには条件が付いているためです。

  • 応募資格は「博士号取得者(採用時点で博士号取得から5年以内。)又はこれと同等の研究能力を有する者」
  • 契約は年度ごとで、通算最大3年まで延長
  • 「任期終了後に、任期の定めのない定年制職員に採用される制度ではありません」と明記

公表資料の実績値も、この区分の位置づけを裏づけています。
資料は職員を月給制の一般職員と年俸制職員に分けて集計しており、任期付のポストは年俸制職員の側に並びます。
年俸制は、月ごとの給与額を積み上げるのではなく、年間の報酬総額を先に決めて支給する給与体系です。

その年俸制職員のうち、令和7年度のプロジェクト研究員(ポスドク)は7人・平均年齢30.2歳で、年間給与額の平均は577万円でした。
任期付職員全体では472人・平均年齢48.4歳・649万5,000円です。
無期の常勤職員(1,465人・平均949万4,000円)とは、雇用形態も年齢構成も違います。
年収を比べるなら、雇用形態もセットで見ておきたいところです。

ほしまる

ぼくは設計寿命10年のところを40年働いたけど、任期の話は最初にちゃんと確かめておくのが大事だよ。

民間宇宙企業と比べるときは数値の粒度をそろえる

比べる前に母数をそろえる

比べる前に、その数字が誰を数えたものかをそろえます。

上場企業の平均年間給与は有価証券報告書で確認できる

上場企業なら、平均年間給与は有価証券報告書の「従業員の状況」で確認できます。
投稿ベースの推計と違い、対象期間・従業員数・平均年齢が併記されるのが利点です。

会社・対象従業員数平均年齢平均年間給与期
三菱重工業(提出会社)23,373人42.3歳1,072万4,514円2026年3月期
IHI(提出会社)8,199人42.4歳1,000万5,041円2026年3月期
アストロスケールホールディングス(提出会社)31人44.6歳1,322万3,000円2026年4月期
株式会社アストロスケール198人42.4歳853万9,000円2026年4月期

金額は各社の有価証券報告書の記載精度のままです。

いずれも賞与および基準外賃金を含む金額です。
三菱重工業の資料には、その他の臨時給与は含まないという注記も付いています。
決算期が会社によって違う点にも注意が要ります。
単年の金額だけを切り出さず、対象と期間をセットで控えておくと、あとで比較を組み直せます。

重工メーカーの宇宙部門は全社平均に含まれて見えにくい

上の表で目を引くのは、アストロスケールの2行が同じグループなのに400万円以上離れている点でしょう。
アストロスケールホールディングスは持株会社で、渉外部門(政府機関、自治体、業界団体、外部のステークホルダー(利害関係者)との交渉や折衝、情報収集を行う部署)と管理部門が中心の31人。
株式会社アストロスケールは事業会社で198人です。

連結では593人おり、そのうち海外のエンジニアリング部門が279人を占めます。

重工メーカーでは別の見えにくさが起きます。
三菱重工業の提出会社23,373人のうち、航空・防衛・宇宙セグメントは8,471人。
IHIの提出会社8,199人のうち、航空・宇宙・防衛は4,899人です。
公表されている平均年間給与は全社の値なので、宇宙部門だけの水準ではありません。

ここから、比較の可否が整理できます。
JAXAの法人全体平均と、企業の提出会社の全社平均は、どちらも組織全体を母数にしているので同じ土俵に乗ります。
反対に、どこかで見た「宇宙エンジニアの相場」のような職種別の推計値と、全社平均を並べるのは筋が通りません。

他社の年収比較表を見るときも、まず母数がそろっているかを確かめる。
それだけで、取り違えはかなり減らせます。

年収以外に任期と担当領域の広さも判断材料になる

年収が同じくらいなら、次に見るのは働き方の条件です。
公開情報だけで比べられる材料がいくつかあります。

雇用形態の違いは生涯設計に直結します。
JAXAには無期の常勤職員と、年度ごとに契約する任期付のポストが併存し、募集要項でどちらかが明示されています。
プロジェクト研究員のように、任期終了後の定年制職員への登用制度ではないと明記されているポストもあります。
入口の年収より、その後の見通しのほうが判断に効く場面は少なくありません。

勤務地の広がりも見ておく価値があります。
キャリア採用の募集要項に挙がる勤務地は、調布、お茶の水、相模原、筑波、角田、種子島、内之浦、海外などです。
射場のある種子島や内之浦が含まれる点は、他の業界からの転職では想像しにくい条件かもしれません。
勤務時間は原則として始業9時30分、終業17時45分、休日は完全週休2日制と祝祭日、年末年始(12月29日から1月3日)、年次有給休暇は最大20日と記載されています。

宇宙開発の仕事は、企画から運用まで10年単位で続くものが珍しくありません。
携われる範囲の広さと、その期間をどう過ごすか。
金額の比較と並べて考えておくと、後から効いてきます。

ほしまる

ぼくが40年も飛べたのは、送り出してくれた人たちが長い時間の仕事を選んでくれたからなんだ。年収の隣に、その時間も置いてみてほしいな。

よくある質問

JAXAの職員は公務員ですか。

国家公務員ではありません。
独立行政法人通則法の第51条で国家公務員とされているのは行政執行法人の役職員で、JAXAは国立研究開発法人にあたります。
総務省の公表一覧でも、行政執行法人(公務員型)を示す◎印はJAXAには付いていません。
ただし給与水準は毎年度公表され、国家公務員を100とする対国家公務員指数で比較されます。

JAXAの年収は自分で試算できますか。

JAXA採用サイトの年収試算ページで、最終学歴と実務経験年数を入れると概算が表示されます。
本給、超過勤務手当(月20時間相当)、住居手当、賞与等を含む概算で、実際の年収額は内定後に再度算定されると明記されています。

中途採用の場合、前職の経験は給与に反映されますか。

キャリア採用の募集要項には「経歴等を考慮の上、機構の規定により決定」と記載があり、給与は公開されている職員給与規程に基づいて決まります。
ただし経歴を号給に換算する詳細な計算式は公表されていません。
具体的な金額は選考の中で提示されるものとして扱うのが確実です。

任期付きのポストと無期のポストで年収は違いますか。

令和7年度の公表資料では、無期の常勤職員(一般職員)の年間給与額の平均が949万4,000円、年俸制の任期付職員が649万5,000円、プロジェクト研究員(ポスドク)が577万円でした。
ただし平均年齢が46.5歳、48.4歳、30.2歳と大きく異なります。
金額の差をそのまま雇用形態の差と考えず、年齢構成と併せて見てください。

まとめ JAXAの年収は公表資料と公式試算で自分の条件に当てはめる

JAXAの年収を調べるときは、3つの順番で進めると迷いません。
まず所管府省の公表資料で、法人全体と職種別の平均年間給与額を押さえます。
次にJAXA公式の年収試算に自分の学歴と実務経験年数を入れ、どのゾーンに入るかを確かめます。
最後にキャリア採用や研究員ポストの募集要項を開き、雇用形態と任期の条件まで含めて読みます。

数字をひとつだけ覚えるより、この3ステップを覚えておくほうが応用が効きます。
民間企業と比べるときも、有価証券報告書の対象と期間をそろえるという同じ作法で判断できるはずです。
宇宙業界の職種や、他業界からの越境ルートについては、また別のテーマとして整理していきます。

出典

ほしまる
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