Open Cosmosが3億ユーロ調達し欧州の衛星工場を拡張

衛星の設計から製造・運用までを手がける英国のOpen Cosmos(オープン・コスモス)が、2026年9月14日に3億ユーロの資金調達を発表しました。
調達額は米ドル換算で3億4,860万ドルにあたります(出典: Payload「Open Cosmos Raises €300M Funding Round」)。
資金は欧州4か所の衛星工場の拡張と、通信・地球観測サービスの展開に充てられます。

3行で分かるポイント

  • 英国のOpen Cosmosが3億ユーロを集め、取りまとめ役はロンドンに本社を置く投資会社Lightrock(ライトロック)です。
  • お金の使い道は、英国・スペイン・ポルトガル・ギリシャにある4つの衛星工場の拡張と、通信・観測サービスの展開、技術者の増員です。
  • 同社は直近3年半で3億7,000万ドルを超える顧客契約を結び、5年続けて黒字のまま成長してきたとしています。
目次

まず押さえたい背景

Open Cosmosは2015年に設立された欧州の宇宙インフラ企業で、本社は英国のディドコットにあります。
英国・スペイン・ポルトガル・ギリシャの4か所に衛星工場を持ち、従業員は約400人です。
同社は、これらの工場を合わせて1日に1機の衛星を製造できる能力があるとしています。

事業は4つに分かれます。

  • OpenOrbitは、衛星の設計・製造・運用までを一括で請け負うサービスです。
  • OpenConstellationは、複数の組織が1つの衛星群を共同で使う仕組みです。
  • ConnectedCosmosは、各国や組織が自前で使える衛星ブロードバンドとIoT通信を提供するものです。
  • DataCosmosは、衛星が撮った画像やセンサーのデータから、そのまま業務に使える情報を取り出すためのプラットフォームです。

衛星群(コンステレーション)とは、多数の衛星を連携させて同じ場所を短い間隔で観測できるようにする運用のことで、1機だけでは数日に一度しか通れない場所を、何度も見に行けるようにします。

顧客には、欧州の政府・宇宙機関や、大手のエネルギー企業・インフラ企業が含まれると同社は説明しています。

何が発表されたか

調達を取りまとめたリード投資家はLightrockです。
Lightrockはロンドンに本社を置く投資会社で、環境・社会の課題に取り組む技術系企業へ成長段階で出資しており、これまでに150社以上へ投資したとしています(出典: Lightrock 公式サイト)。
このほか、欧州の複数の投資会社と、2つの国際的な年金基金が参加しました。

創業者兼CEOのRafel Jorda Siquier氏は、宇宙インフラがエネルギーやデジタルネットワーク、輸送と同じくらい重要な社会基盤になりつつあると述べています。
また、欧州で戦略的なインフラを築いているため意図的に欧州の投資家を厚くし、必要な場合に限り域外の投資家も加えたと説明しています。

資金の使い道として同社が挙げているのは、衛星の製造能力の拡張、ConnectedCosmos・OpenConstellation・DataCosmosの展開の加速、そしてエンジニアリングとソフトウェアのチームの増員です。
同社は、最新世代の地球観測衛星では、観測してから解析済みのデータを届けるまでの時間を、最大48時間から最短30分に短縮することを目指しています。
これは、地上へ画像を全部下ろしてから処理するのではなく、衛星に載せたAIで機上処理を行う方式によるものです。

宇宙業界にとっての意味

欧州では、通信や地球観測といった衛星サービスを域外の事業者に頼らず自前で持てるかが、政策上の論点になっています。
Open Cosmosが掲げるConnectedCosmosは、各国が主権を持って運用できる通信を想定したサービスで、今回の調達で欧州の投資家を厚くした説明とも方向がそろいます。

もうひとつの論点は、資金の出し手側の変化です。
Payloadは今回の調達を、欧州のベンチャー資金が、立ち上げ期を過ぎて規模拡大の段階に入った宇宙企業へ向かい始めた流れの一例と位置づけています。

衛星を多数そろえて運用するサービスでは、製造の速さと工場の数がサービス拡大のペースに直結します。
同社が資金使途の筆頭に工場の拡張を挙げたのは、この部分に投資が向かったことを示しています。

今後の注目点

当面の手がかりは、4つの工場の拡張がどこまで進み、実際に軌道へ上がる衛星の数がどれだけ増えるかです。
ConnectedCosmosとOpenConstellationについては、どの国・どの組織が参加し、いつから運用が始まるかが具体的な進み具合を測る材料になります。
30分への短縮目標が、実際の運用でどの範囲の観測に適用されるのかも、今後の発表で確かめるべき点です。

ほしまる

地球を写して届ける衛星と、電波でつないで運ぶ衛星は、役目が別なんだよ。Open Cosmosはその両方を同じ会社でそろえようとしているんだね。

出典

ほしまる
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