月の土地の購入は、販売業者との取引としては成立します。
代金と引き換えに、区画を示す証書類が発行される形が取られています。
ただし、その区画を買った人の所有物として認める条約や法律は見当たりません。
宇宙条約は、月を含む宇宙空間を国家による取得の対象から外しました。
月協定にいたっては、国家だけでなく自然人の所有まで正面から否定しています。
所有できないことと、活動できないことは別です。
宇宙条約は、探査と利用そのものはすべての国に開かれた自由な活動としています。
そして採取した資源については、アメリカや日本が国内法で事業者の権利を定めはじめました。
制度が動いているのは、土地ではなく資源のほうです。
※記事の要点は、以下のスライドでもサッと確認できます。
月の土地を購入すると、実際に手に入るのは何か
証書は届く。ただし所有権を認める法律も条約も見当たらない
月の土地の販売は、代金と引き換えに証書類が発行される形で行われています。
この取引は、売り手と買い手のあいだで完結します。
問題は、その証書が月面の区画に対する所有権を表しているかどうかです。
日本には、宇宙資源に関する法律として宇宙資源法(宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律・令和三年法律第八十三号)があります。
同法第五条は、許可を受けた事業活動計画の定めるところに従って採掘等をした宇宙資源について、所有権の取得を定めています。
採掘等をした者が所有の意思をもって占有することによって、所有権を取得するという規定です(出典: e-Gov法令検索「宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律」。以下、同法の条文は同じ出典によります)。
所有権の対象として書かれているのは、採掘した資源です。
月面の区画ではありません。
対象の限定は、アメリカの法律でも同じです。
合衆国法典第51編第51303条が権利の対象としているのは商業的に回収した小惑星資源または宇宙資源であり、天体そのものやその区画は含まれていません。
条約の側はどうでしょうか。
宇宙条約第二条は、月を含む宇宙空間を国家による取得の対象から外しています。
月協定第11条3項は、天然資源について自然人の所有まで否定しています。
月面の区画の所有権を認める規定は、これらの条文のどこにも置かれていません。
当事者間の契約と、国際法上の所有権は別のもの
契約が有効に結ばれたことと、所有者になったこととは、同じではありません。
契約は、結んだ当事者どうしを拘束します。
代金を払い、相手が証書を発行すれば、その約束は果たされています。
一方で所有権は、当事者以外の第三者に対しても主張できる権利です。
それが成り立つには、契約とは別に、その対象について所有権を認める法制度が要ります。
ここで効いてくるのが、宇宙条約と月協定が置いた枠です。
誰の所有にも帰属しないと条文に書かれているものについては、売り手の側にも移すべき所有権がありません。
移す元がない以上、契約をいくら積み重ねても、区画の所有者は生まれないという考え方です。
ほしまるだれの所有にもならない場所を、売り買いできるのはどうしてなんだろう?


なぜ月の土地が売られているのか
宇宙条約が名指しで禁じているのは、国家による取得
宇宙条約は、正式には「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」といいます。
1966年12月19日に国連総会決議2222号として採択され、1967年10月10日に発効しました。
日本では1967年7月19日に国会が承認し、同じ年の10月10日に発効しています(出典: 慶應義塾大学 宇宙法センター データベース「宇宙条約」。以下、宇宙条約の条文は同じ出典によります)。
その第二条は、次のように定めています。


月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によつても国家による取得の対象とはならない。
ここで禁止の名宛人とされているのは、国家です。
主権の主張だけでなく、使用や占拠、その他のいかなる手段も同じように挙げられています。
一方で第一条は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用を「全人類に認められる活動分野」としています。
すべての国が差別なく、平等の基礎に立ち、国際法に従って自由に探査し利用できる、という定めです。
天体のすべての地域への立入りも自由です。
利用は自由ですが、国家による取得はできません。
これが宇宙条約の置いた枠です。
「国家が取れないだけで個人は別」という読み方
第二条の条文には、私人や企業が名指しで書かれていません。
ここを手がかりに、禁じられているのは国家による取得であって、私人による取得までは禁じられていない、と読む立場があります。
月の土地の販売は、この読み方を土台として語られてきました。
条文の文言だけを見れば、たしかに主語は国家です。
文部科学省も、宇宙条約は宇宙資源の採取・利用等の権利や所有の可否に言及していない、と整理しています(出典: 文部科学省研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室「宇宙資源について 法整備の動向」2023年2月10日。以下、同資料の記載によります)。
書かれていない部分があること自体は、事実です。
ただし、条約は第二条だけでできているわけではありません。
私人の活動を条約がどう扱っているかは、別の条文に書かれています。
第六条は、民間の活動も国家の許可と監督の下に置いている
宇宙条約第六条は、当事国が自国の活動について国際的責任を負うと定めています。
その活動が政府機関によって行われるか、非政府団体によって行われるかは問われません。
そのうえで、次のように続きます。
月その他の天体を含む宇宙空間における非政府団体の活動は、条約の関係当事国の許可及び継続的監督を必要とするものとする。
非政府団体には、民間企業も含まれます。
民間の宇宙活動は、国家から切り離された自由な領域に置かれているのではなく、いずれかの国の許可と監督を受けながら行われる仕組みになっています。
もっとも、第六条が定めているのは責任と、許可及び継続的監督の必要性です。
私人が天体の一部を所有できるかどうかを、この条文が直接決めているわけではありません。
所有の可否を正面から扱った条文は、別の条約にあります。
月協定は、自然人の所有もはっきり否定している
第11条3項は、国家も団体も個人も所有できないと書いている
月協定は、正式には「月その他の天体における国家活動を律する協定」といいます。
1979年に国連総会決議34/68号として採択され、1984年に発効しました。
その第11条2項は、月が主権の主張、使用若しくは占拠その他のいかなる手段によっても国家の専有の対象にはならない、と定めています。
ここまでは宇宙条約第二条と同じ方向です。
違うのは3項です。
月の表面又は地下若しくはこれらの一部又は本来の場所にある天然資源は、いかなる国家、政府間国際機関、非政府間国際機関、国家機関又は非政府団体若しくは自然人の所有にも帰属しない。
(出典: 慶應義塾大学 宇宙法センター データベース「月その他の天体における国家活動を律する協定」。以下、月協定の条文は同じ出典によります)
自然人とは、法人に対して個人を指す法律上の言葉です。
国家から国際機関、民間の団体、そして個人まで並べたうえで、いずれの所有にも帰属しないと書かれています。
3項には続きがあります。
要員や宇宙機、装備、施設、基地、設備、それらに接続する構造物を、月の表面や地下に配置した場合の規定です。
配置しても、月の表面や地下、月のいずれかの地域に対する所有権は生じない、と書かれています。
実際に人や設備を置いても、所有権にはつながりません。
この一文は、区画を買ったという主張と正面からぶつかります。


ただし月協定に入っている国は限られる
条約が拘束するのは、その条約に入っている国です。
月協定の第11条3項だけで、世界共通の結論が出るわけではありません。
文部科学省の資料によれば、2023年2月の時点で月協定の締約国は18か国、ほかに署名国が4か国です。
日本は未署名です。
同じ資料で宇宙条約の加盟国は105か国とされており、両者の差は小さくありません。
なぜこれほど少ないのでしょうか。
国立国会図書館の調査資料は、その理由を月協定の中身に求めています。
月協定は、天体とその天然資源を人類の共同財産と位置づけ、開発が可能になったときには国際レジームを構築してその枠組みで開発することを義務付けています。
そのため、宇宙開発で先行する国が自由な活動を制約されることを嫌った、と同資料は説明しています(出典: 国立国会図書館調査及び立法考査局「1 国際宇宙法」『宇宙政策の動向(科学技術に関する調査プロジェクト2016)』。以下、同資料の記載によります)。
月と天然資源を人類の共同財産とし、国際制度の設立を求めた条項
月協定第11条1項は、月及びその天然資源を人類の共同財産と位置づけています。
その中身は、同じ条の5項に表れています。
5項は、締約国が、月の天然資源の開発が実行可能となったときには、適当な手続を含め、その開発を律する国際レジームを設立することを約束する、という規定です。
7項は、設立される国際レジームの主な目的として、次の4点を挙げています。
- 月の天然資源の秩序ある安全な開発
- 天然資源の合理的な管理
- 使用の機会の増大
- 天然資源から得られる利益の、すべての締約国による公平な分配
つまり月協定は、個々の主体に所有を認める代わりに、国際的な仕組みをこれから作るという設計になっていました。
先に所有を止め、配分の枠組みは後から共同で決める、という順序です。
この順序は、各国が国内法で選んだ道と対照的な形になっています。



土地は持てないのに、掘り出したものは持てる。その線引きは、どこから来ているんだろう?
採取した資源の所有は、法律で認められ始めている
月協定が求めた国際レジームは設けられないまま、複数の国が国内法で、採取した資源の権利を定める道を選びました。
何が動いて、何が動いていないのかは、対象と主体を並べると見分けやすくなります。
| 文書 | 対象 | 主体 | 定めている内容 |
|---|---|---|---|
| 宇宙条約 第二条 | 月その他の天体を含む宇宙空間 | 国家 | 国家による取得の対象とはならない |
| 月協定 第11条3項 | 月の表面・地下・その場にある天然資源 | 国家・国際機関・非政府団体・自然人 | いずれの所有にも帰属しない |
| 米国 51 U.S.C. §51303 | 商業的に回収した小惑星資源・宇宙資源 | 米国民 | 占有・所有・輸送・使用・売却の権利を有する |
| 日本 宇宙資源法 第五条 | 計画に従って採掘等をした宇宙資源 | 許可を受けた事業者 | 所有の意思をもって占有することで所有権を取得 |
上の2行は天体そのものを扱い、下の2行は採取した資源を扱っています。
動いたのは下の2行です。


アメリカが2015年に、採取した資源の権利を定めた
最初に動いたのはアメリカでした。
2015年11月25日に成立した商業宇宙打上げ競争力法により、合衆国法典第51編に第51303条が置かれました(出典: Cornell Law School Legal Information Institute「51 U.S. Code § 51303」)。
この条文は、小惑星資源または宇宙資源の商業的な回収に従事する米国民が、得られた資源について、占有し、所有し、輸送し、使用し、売却する権利を含む権利を有すると定めています。
条文には2つの限定が置かれています。
ひとつは対象です。権利が及ぶのは回収した資源であって、小惑星や天体そのものではありません。
もうひとつは条件です。
条文は、アメリカの国際的義務を含む適用法令に従って得られたものであることを求めています。国内法が条約の上に立つ書き方にはなっていません。
国立国会図書館の資料は、この構造について、小惑星を所有する権限ではなく、小惑星から取得する資源を所有する権限を認めるものだと整理しています。
それによって、アメリカが批准している宇宙条約の領有権禁止原則への抵触を避けているとされる、という説明です。
日本の宇宙資源法は、許可を受けた事業者の所有権取得を定める
文部科学省の資料によれば、日本の宇宙資源法は世界で4番目の宇宙資源法として令和3年6月に整備され、同年12月に施行されました。
仕組みは3つの段階に分かれます。第一の段階は、対象を決めることです。同法第二条第一号は「宇宙資源」を、月その他の天体を含む宇宙空間に存在する水、鉱物その他の天然資源と定義しています。


第二の段階は、許可です。
第三条第一項は、宇宙資源の探査及び開発を人工衛星の利用目的として行う管理について、宇宙活動法(人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律)第二十条第一項の許可の特例を定めています。
申請する者は、事業活動の目的、期間、探査及び開発を行おうとする場所、その方法、事業活動の内容などを記載した事業活動計画を、申請書に併せて記載しなければなりません。
第三の段階が、所有権です。
第五条は、許可に係る事業活動計画の定めるところに従って採掘等をした宇宙資源について、採掘等をした者が所有の意思をもって占有することによって所有権を取得すると定めています。
許可の対象はあくまで宇宙資源の探査及び開発であり、月面の区画の所有ではありません。
3つの段階に加えて、同法第六条が条約との関係を定めています。
施行にあたっては、国際約束の誠実な履行を妨げないよう留意することとされています。また、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用の自由を行使する他国の利益を不当に害するものではない旨も置かれています。
国内法が条約を上書きする構造ではない、ということです。
なお、同じ資料によれば、ルクセンブルクは2017年に宇宙資源の探査及び利用に関する法を、UAEは2019年に宇宙分野の規制に関する連邦法を成立させています。
アルテミス合意は、資源の採取は国家による取得に当たらないと確認した
各国がこの解釈を共有する場として作られたのが、アルテミス合意です。
2020年10月13日に、日本、アメリカ、カナダを含む8か国が原署名国となりました。
条約ではなく、関係各国の共通認識を示すことを目的とした政治的な宣言です。
その第10節2項は、月、火星、彗星、小惑星の表面や地下からの回収を含む宇宙資源の採取と利用が、宇宙条約に適合する形で実施されるべきだとしています。
そのうえで、宇宙資源の採取はそれ自体では宇宙条約第二条にいう国家による取得を構成しない、と確認しています。
宇宙資源に関する契約その他の法的文書も、同条約と整合的であるべきだとされています(出典: NASA「The Artemis Accords」)。
同じ第10節の3項は、宇宙資源の採取活動について、国連事務総長および公衆、国際科学界へ知らせるとしています。
4項は、署名国がその経験を、COPUOS(国際連合宇宙空間平和利用委員会)での取り組みを含む多国間の努力に生かすとしています。宇宙資源の採取と利用に適用される国際的な慣行やルールを、さらに発展させる考えです。
署名国は増え続けており、NASAによれば2026年8月31日にトルコが71番目の署名国となりました(出典: NASA「Artemis Accords」)。
資源の扱いをめぐっては、反対の立場もある
ここまでの流れは、ひとつの方向にそろって見えます。
ただし、この解釈が国際的に決着したわけではありません。
国立国会図書館の資料は、まず従来の国際宇宙法が宇宙活動の主体を国と想定してきたことを確認しています。
そのうえで、宇宙条約が天体の取得を禁じ、月協定が太陽系内天体の資源に対する国、国際機関や非政府団体の所有権を否定していることを挙げています。
そして、宇宙活動の主体が民間企業にまで拡大し、資源採掘など天体の商業利用が検討されるに至ったことで、実際の宇宙活動と国際宇宙法との整合性が問題となっている、と述べています。
アメリカ法の構造についても、同資料は問いを残しています。
国家による天体の領有権が禁止されているなかで、そもそも私企業による天体資源の所有権がいかに担保されるのか、という問いです。
同資料は、国際宇宙法の検討よりも現実の商業活動の動きが先行している、とも指摘しています。
この指摘は2016年度の調査によるもので、その後にアルテミス合意(2020年)と日本の宇宙資源法(2021年)が続きました。
各国の実務は先に進みましたが、私人の資源所有をめぐる国際法上の位置づけについて、条約のかたちでの決着はついていません。
月の資源をめぐる取引は、すでに始まっている
国内第1号の宇宙資源法の許可は、ispaceが2022年に受けた
制度は、紙の上だけの話ではありません。


株式会社ispaceは、ミッション1に向けて2022年11月に、宇宙資源法に基づく国内第一号案件として、内閣府から宇宙資源の探査及び開発の許可を取得しました。
続いてミッション2について、2024年12月17日に2度目の許可を取得しています(出典: 株式会社ispace「ispace、「HAKUTO-R」ミッション2に関して宇宙資源法に基づく「宇宙資源の探査及び開発の許可」を内閣府より取得」PR TIMES。以下、ミッション2の計画に関する記載は同じ出典によります)。
このときの内閣府特命担当大臣のコメントでは、宇宙資源法に基づく第二号の許可案件であること、そして成功すれば月面資源の商業取引として日本初の事例となることが述べられています。



月の砂を地球に運ばないまま売り買いする。そんな取引が、どうやって成り立つんだろう?
レゴリスの所有権をNASAへ移す取引は、物の受け渡しを伴わない
ミッション2で計画されていた取引は、次のような形でした。


着陸時の衝撃で舞い上がったレゴリス(月の表面を覆う細かい砂や岩の層)が、着陸脚の先端に取り付けたフットパッドに堆積します。
これをローバーに搭載したカメラで撮影し、撮影画像を確認したうえで、レゴリスの所有権をNASAへ移転します。
発表資料は、この取引がレゴリスの物理的な受け渡しを伴うものではない、と明記しています。
欧州法人のispace EUROPEも、TENACIOUSローバーに搭載したスコップでレゴリスを採取し、撮影した採取物の所有権をその場でNASAへ譲渡する契約を結んでいました。
採取した資源を地球へ運ぶ必要はなく、月面に置いたまま所有権だけが動きます。
宇宙資源法第五条が、採掘等をした者が所有の意思をもって占有することで所有権を取得するとしている構造を、そのまま取引に組み込んだ形です。
ただし、この計画は実施されていません。
ミッション2の着陸機RESILIENCEは2025年6月6日に着陸シーケンスへ入りましたが、その後に管制センターとの通信が確立できず、ミッションは終了しました(出典: ispace「Status Update on ispace Mission 2 SMBC x HAKUTO-R Venture Moon」)。
ispaceは同年6月24日に、ハードランディングの技術的原因がレーザーレンジファインダーの異常にあったとする分析結果を公表しています(出典: ispace「ispace Releases Technical Cause Analysis for HAKUTO-R Mission 2」)。
許可と公表の仕組みが、月面ビジネスの前提になっている
事業者が月で資源を扱うには、事前に計画を出して許可を受ける必要があります。
宇宙資源法第三条は、事業活動の目的、期間、探査及び開発を行おうとする場所、方法、内容などを定めた事業活動計画の提出を求めています。
許可を出すのは内閣総理大臣で、経済産業大臣への協議を経ることになっています。
そのうえで第四条は、許可をしたときは、許可を受けた者の氏名または名称や事業活動計画の内容を公表するものとしています。
公表の方法は、インターネットの利用その他適切な方法によるもので、遅滞なく行うこととされています。
宇宙資源の探査及び開発を国際的協調の下で促進するとともに、紛争の防止に資することが、その目的です。
どの事業者が、月のどこで、どのような方法で何をするのか。
それが事前に公表される仕組みになっています。
月面で複数の国や企業の活動が重なったとき、調整の土台になるのはこのような手続です。
所有権の議論が決着していない段階でも、誰が何をしているかを共有する仕組みのほうは先に動きはじめています。


よくある質問
まとめ 月の土地の購入で分かっていることと、決まっていないこと
条文で確認できることは、次の3点です。
- 宇宙条約第二条は、月その他の天体を含む宇宙空間を国家による取得の対象から外しています
- 月協定第11条3項は、天然資源について国家・国際機関・非政府団体・自然人のいずれの所有にも帰属しないとし、設備を置いても所有権は生じないとしています
- アメリカの51 U.S.C. §51303と日本の宇宙資源法第五条が権利を認めたのは、採取した資源であって天体そのものではありません
決まっていないことも、同じだけあります。
- 月協定が求めた、資源開発を律する国際レジームは設立されていません
- 私企業による天体資源の所有権をどう担保するかについて、条約のかたちでの決着はついていません
- 月協定の締約国は、2023年2月時点で18か国にとどまります
月の土地を購入しても、その区画の所有者になれるかは国際法上決着していません。
一方で、月面で採取した砂の所有権が、地球へ運ばれないまま動く段階には入りました。
制度が形になりつつあるのは、土地の区画ではなく、資源と、そこで誰が何をしているかを共有するルールのほうです。
出典
- 慶應義塾大学 宇宙法センター データベース 「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(宇宙条約)」
- 慶應義塾大学 宇宙法センター データベース 「月その他の天体における国家活動を律する協定」
- e-Gov法令検索 「宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律(令和三年法律第八十三号)」
- Cornell Law School Legal Information Institute 「51 U.S. Code § 51303 – Asteroid resource and space resource rights」
- NASA 「The Artemis Accords」
- NASA 「Artemis Accords」
- 文部科学省研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室 「宇宙資源について 法整備の動向」(2023年2月10日)
- 国立国会図書館調査及び立法考査局 「1 国際宇宙法」『宇宙政策の動向(科学技術に関する調査プロジェクト2016)』
- 株式会社ispace 「ispace、「HAKUTO-R」ミッション2に関して宇宙資源法に基づく「宇宙資源の探査及び開発の許可」を内閣府より取得」(PR TIMES、2024年12月17日)
- ispace 「Status Update on ispace Mission 2 SMBC x HAKUTO-R Venture Moon」
- ispace 「ispace Releases Technical Cause Analysis for HAKUTO-R Mission 2」



