SEOPSが欧州Isarのロケットを5回分予約し相乗り枠を確保

アメリカの打ち上げインテグレーターSEOPSが2026年9月15日、ドイツのIsar Aerospaceのロケット「Spectrum」を5回分まとめて確保する契約を結んだと発表しました。
打ち上げは2028年から2030年にかけて、ノルウェーとカナダの射場から行われます。
Isar Aerospaceは9月5日に2回目の飛行で軌道到達に成功したばかりで、その直後に複数回のまとめ買いが決まった形です。

3行で分かるポイント

  • SEOPSはSpectrumの打ち上げを新たに5回分確保し、2025年に契約済みの1回と合わせて計6回分になりました。
  • 5回はすべてSEOPSの専用相乗りミッションで、そこに多数の小型衛星を相乗りさせて売り出します。
  • 背景には、世界の小型衛星が集中して使ってきた相乗り便の枠が2028年以降に細るという見通しがあります。
目次

まず押さえたい背景

Isar Aerospaceは、ドイツのミュンヘン近郊に本社を置く2018年設立の宇宙企業です。
ロケットの開発・製造・試験を自社で手がけ、5つの拠点に400人以上が働いています(出典: Isar Aerospace「Isar Aerospace signs Multiple Launch Service Agreement with US-based SEOPS for Five Additional Launches」)。

同社のロケットSpectrumは、全長28m、直径2mの2段式です。
1段目に9基、2段目に1基の自社製エンジン「Aquila」を積み、推進剤には液体酸素とプロパンを使います。
運べる重さは、地球のすぐ上を回る低軌道へ最大1,000kg、太陽同期軌道へ700kgです。
太陽同期軌道は、毎回ほぼ同じ地方時刻に同じ地点の上空を通る軌道で、地表を同じ明るさの条件で撮り続けたい観測衛星がよく使います。

Spectrumは2026年9月5日、ノルウェーのアンドーヤ射場からの2回目の飛行で軌道に到達し、搭載していた衛星をすべて放出しました。
ヨーロッパの民間企業が自力で衛星を軌道へ届けたのは、これが初めてです。

一方のSEOPSは、アメリカ・テキサス州ギディングスに本社と研究開発拠点、テネシー州ナッシュビルに事業所を置く会社です。
自分ではロケットを作らず、打ち上げ枠を買い付けたうえで、衛星をロケットに固定する分離機構の製造や、搭載作業、軌道上での放出までをまとめて請け負います。

何が発表されたか

今回の契約は、2028年から2030年にかけて実施する5回の専用相乗りミッションが対象です。
SEOPSは2025年11月にもSpectrumの専用打ち上げを1回契約しており、両社の合意は合わせて6ミッションになりました。
打ち上げは、アンドーヤ射場と、カナダ東海岸のカンソー近郊に建設中のスペースポート・ノバスコシアから行われます。

5回はいずれも、SEOPSが進める相乗りプログラム「Waymaker」に充てられます。
Waymakerは2028年開始予定で、低軌道と太陽同期軌道へ向かう便に多数の小型衛星を相乗りさせる仕組みです。
SEOPSによれば、初回ミッションは搭載できる質量の90%がすでに契約済みです。

Isar AerospaceのStella Guillen最高商務責任者は、2回目の飛行成功とすべての搭載物の放出がSpectrumへの需要を強めたと述べています。
SEOPSのEvan Hoyt社長は、新しい打ち上げシステムを作り上げて2回目の飛行で軌道に到達した例はごく少ないと評価しました。

宇宙業界にとっての意味

小型衛星の多くは、これまで大型ロケットの相乗り便に頼ってきました。
そこにSpaceXがTransporterミッションの予約受付を絞る見通しが出てきたと、宇宙業界メディアのPayloadは報じています。
同誌の取材にHoyt社長は、特定の1機種に依存せず複数のロケットを組み合わせた「ポートフォリオ」が必要だと語りました。

需要の逼迫は供給側の言葉にも表れています。
Guillen最高商務責任者は記者会見で、いまある需要をすべて満たそうとすれば2028年には200機近いロケットが要る、との見方を示しました。

欧州の新興打ち上げ企業が、実機で軌道に到達した直後に複数回のまとめ買いを取り付けたことは、欧州の打ち上げ手段が実験段階から商取引の対象へ移りつつあることを示しています。
買い手がアメリカの会社である点も、欧州の供給力が域内向けにとどまらないことを示す材料です。

今後の注目点

Isar Aerospaceは2027年に4回の飛行を計画し、そのなかに初の完全な商業ミッションを含めるとPayloadに説明しています。
2028年には打ち上げ頻度をさらに引き上げる計画で、ミュンヘン近郊では年40機規模の新しい生産設備の立ち上げが進んでいます。

カナダ側の射場も鍵になります。
スペースポート・ノバスコシアはカナダのMaritime Launch Servicesが運営する商業射場で、Isar Aerospaceは2026年7月に同社と契約を結び、Spectrum専用の発射台と組立・試験設備の建設を進めています。
2028年からの打ち上げには、この設備が予定どおり立ち上がることが前提になります。

ほしまる

今回の5回は、SEOPSの専用相乗りミッションなんだ。その席を、これから小さな衛星たちが分け合っていくんだよ。

出典

ほしまる
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