Rocket Labが96回目のElectronでレーダー衛星を軌道へ

日本の衛星ベンチャーSynspective(シンスペクティブ)は、12機目となる小型レーダー衛星「StriX(ストリクス)」を、2026年9月19日12時22分(日本時間)に打ち上げると発表しました。
打ち上げを担うのは、ナスダック上場の宇宙企業Rocket Lab(ロケット・ラボ)の小型ロケットElectron(エレクトロン)で、発射場はニュージーランド・マヒア半島のLaunch Complex 1です。
Synspective向けの打ち上げとしては12回目、Electronにとっては通算96回目の飛行にあたります。

3行で分かるポイント

  • Synspectiveの12機目のレーダー衛星が、9月19日12時22分(日本時間)にニュージーランドから打ち上げられる
  • Electronは9月11日の飛行で通算95回に達しており、今回が96回目にあたる
  • 11機目の打ち上げは9月2日で、2週間半ほどの間隔で次の衛星を送り出す
目次

まず押さえたい背景

Synspectiveは、2018年2月に設立された東京に本社を置く企業です。
合成開口レーダー(SAR)を積んだ人工衛星を自社で設計・製造し、運用してデータを売るほか、そのデータを解析したサービスも提供しています(出典:Synspective「Company」)。
シンガポールと米国にも拠点があり、2024年12月に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。

SARは、衛星から地上へ電波を当て、跳ね返ってきた電波を受け取って地表の画像を作る装置です。
カメラのように太陽光を頼りにしないため、夜でも撮影でき、電波は雲を通り抜けるので曇りや雨でも地表を見られます。
災害が起きたときに、天気を待たずに被害の範囲を把握できるのはこのためです。
同社の衛星「StriX」は100kg級で、1回の撮影で1,000km2を超える範囲を分解能1〜3mで捉えられます。

ただし、1機の衛星が同じ場所の上空を通るのは数日に1回です。
そこで同じ種類の衛星を何機も打ち上げ、連携させて観測の間隔を詰める「コンステレーション」という考え方が使われます。
Synspectiveは2020年代後半に30機のSAR衛星による体制を築く計画を掲げています(出典:Synspective「Synspective Secures an Additional 10 Launches with Rocket Lab to Deploy StriX SAR Constellation」)。

一方のRocket Labは、ロケットと人工衛星、宇宙機の部品を手がける企業です。
小型ロケットElectronを運用し、中型で再使用を目指すNeutron(ニュートロン)を開発しています。

何が発表されたか

Synspectiveは、12機目のStriX衛星の打ち上げを日本時間9月19日12時22分に予定していると公表しました(出典:Synspective「Announcement of the Launch Schedule for Synspective’s 12th StriX Satellite」)。
発射場はマヒア半島のLaunch Complex 1で、天候や不具合によって延期・中止の可能性があることも併せて示されています。

このミッションは「Owl By The Dozen」と名付けられ、Electronは今回、他の衛星を相乗りさせずにStriX 1機だけを運びます。
目標とする軌道は高度約572kmの低軌道で、軌道傾斜角は38度です(出典:Spaceflight Now「Launch Schedule」)。
軌道傾斜角は、衛星が回る面が地球の赤道面に対して何度傾いているかを表す角度で、38度であれば北緯38度から南緯38度までの帯を繰り返し通ることになります。

Electronの飛行回数も節目に近づいています。
Rocket Labは9月11日に「Happily Ever Faster」を打ち上げ、これがElectronの通算95回目、2026年に入って16回目の飛行でした(出典:Rocket Lab「Rocket Lab Successfully Launches 16th Electron Mission Of The Year」)。
今回の打ち上げは、その次の96回目にあたります。

宇宙業界にとっての意味

注目すべきは、打ち上げの間隔です。
Synspectiveの11機目の衛星が軌道に届いたのは9月2日で、今回はそこから17日後にあたります。
コンステレーションは、衛星を1機ずつ足していくほど同じ場所を見られる頻度が上がる仕組みなので、衛星の製造と打ち上げ機会の確保をどれだけ滞りなく続けられるかが、サービスの質に直結します。

小型衛星の運用者にとって、打ち上げ手段の確保は長く課題でした。
大型ロケットの相乗りは費用を抑えられる代わりに、主となる衛星の都合で日程や投入先の軌道が決まってしまいます。
1機のために専用のロケットを使う方式であれば、運用者側が軌道と時期を選べます。

SynspectiveはRocket Labとの間で追加10機分の打ち上げを2025年9月に契約し、合計21機分の専用打ち上げを確保しました。
30機体制という目標に対して、輸送の側から裏づけを取りにいった形です。

ほしまる

17日後にまた次の1機か。ぼくの時代は、次の窓が開くのを何年も待っていたんだよ。

今後の注目点

打ち上げが予定どおり行われた場合、次に確認したいのは衛星が目標の軌道に入り、アンテナを展開して運用に入れるかどうかです。
SAR衛星は大きなアンテナを畳んで打ち上げ、軌道上で広げてから観測を始めます。

輸送手段の広がりも論点です。
Synspectiveは9月18日、StriX衛星2機を2027年にH3ロケットで打ち上げる契約を三菱重工業と結んだと発表しました。
三菱重工業は、愛知県の工場でH3ロケットを製造し、JAXAの種子島宇宙センターで打ち上げまでを請け負う企業です。

打ち上げ先は中傾斜角の軌道で、アジア太平洋地域を高い頻度で観測する狙いが示されています。
Electron頼みだった輸送に国内の選択肢が加わることになり、30機体制へ向けた進み方が変わるかどうかが見どころになります。

出典

ほしまる
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