Space CargoがSpaceX帰還カプセル枠の3分の1を予約

ルクセンブルクのSpace Cargo Unlimitedは、SpaceXが開発中の無人帰還カプセル「Starfall」で2028年に予定する専用ミッションについて、1,000kgの搭載能力のうち333kgぶん、つまり3分の1にあたる枠の予約が埋まったことを明らかにしました。
最高経営責任者(CEO)のNicolas Gaume氏は、年内に半分まで埋める目標を示しています。
予約を押し上げているのは、微小重力を創薬や研究に使おうとする製薬企業と研究者です。

3行で分かるポイント

  • Starfallは、軌道上に運んだ荷物を最大1,000kg地上まで持ち帰るSpaceXの無人カプセルで、2028年の専用便はStarshipで打ち上げられる計画です。
  • その1,000kgのうち333kgが予約済みで、想定顧客のうち半分近くがライフサイエンスと生物工学の分野です。
  • Space Cargo Unlimitedは他社の帰還機にもミッションを分散させ、2029年には自社の帰還機を打ち上げる計画を掲げています。
目次

まず押さえたい背景

Space Cargo Unlimitedは、ルクセンブルクのFoetzに拠点を置く2015年設立の企業です。
微小重力の環境で材料や医薬品を作るための自律型の設備とサービスを提供し、企業や研究機関が地上で使う製品を軌道上で製造できるようにすることを事業にしています。
2019年には、ブドウの木の試料を国際宇宙ステーションへ送るMission WISEを実施しました。

微小重力が創薬に使われるのは、結晶のでき方が地上と変わるためです。
地上では重力によって液体の中に対流(温度差などで液体が流れる動き)が生じ、これが結晶の品質を落とします。
NASAは、微小重力では対流が大幅に少なくなり、より純度の高い結晶ができると説明しています(出典:NASA Science「Crystallization」)。

タンパク質の結晶はX線などで立体構造を調べる材料になり、その構造をもとに薬の候補を設計できます。
つまり軌道は、地上では作りにくい試料を得るための場所として使われています。

Starfallは、SpaceXが開発している無人の帰還カプセルです。
直径3.1m・高さ0.75mの円筒形で、機体そのものの質量は約2,100kg、これに最大1,000kgの荷物を積みます。
2026年6月23日にFalcon 9で試験飛行が行われ、カプセルは太平洋で回収されました(出典:Spaceflight Now)。

何が発表されたか

2028年に予定されるSpace Cargo Unlimited専用のStarfall便で、1,000kgの搭載能力のうち333kgの予約が埋まりました(出典:Payload「Exclusive: Space Cargo Unlimited Booked a Third of its Starfall Capacity」)。
Gaume氏は、年内に50%まで埋める目標を示しています。
同氏はStarfallが使える容積と電力の水準を大きな転換点と位置づけ、地上の研究室にある装置や実験をそのまま軌道で飛ばせるようにしたいと述べています。

このミッションは、Starshipの初の商業ミッションとして2028年に打ち上げられる計画です。
想定顧客のうち半分近くがライフサイエンスと生物工学の分野だと同社は説明しており、Gaume氏は現在の自社システムで飛ばしているのは200kgだと語っています(出典:Reuters)。
荷物を収める側の装置は「BentoBox」と呼ばれ、機体を問わず使える規格化された自律工場として設計されています。

宇宙業界にとっての意味

軌道上で作った材料や医薬品を地上で使うには、製造だけでなく安全に持ち帰る工程が必要です。
Space Cargo Unlimitedは、その帰還手段を1機種に頼らない形で確保しています。
ドイツのATMOS Space Cargoが開発するPHOENIXで7回のミッションを予定し、ESAの再使用機Space Riderでの実証飛行も計画しています。

PHOENIXは、軌道への輸送から制御された再突入・回収までを担う無人機です。
Space RiderはVega-Cで打ち上げられ、1,200Lの貨物室を備えて低軌道に約2か月とどまり、滑走路に着陸する無人の実験室です。

今回の数字は予約の段階で、実際に荷物が軌道から戻るのは2028年です。
それでも搭載能力の3分の1が製薬と研究の需要で埋まったことは、微小重力を使うサービスに具体的な買い手が付き始めていることを示しています。

今後の注目点

年内に半分という予約目標がどこまで進むかが、まず確認できる指標になります。
Starshipの初商業ミッションが2028年のどの時期に設定されるかも、計画全体の前提になります。

Space Cargo Unlimitedは2029年に自社の帰還機REV1を打ち上げる計画で、1トン級の搭載能力とキロワット級の電力、再使用性を掲げています。
公式サイトでは、今後5年で12回の軌道ミッションを計画しているとしています。

どの企業が何を積むのかは、今後の発表で分かる段階です。

ほしまる

予約の枠が埋まることと、実際に軌道から荷物が帰ってくることは別なんだ。だから2028年の1便目が、どこまで通しでできるかを見ておきたいね。

出典

ほしまる
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