Rocket LabがSynspectiveの12機目の衛星を投入

アメリカのロケット企業Rocket Labは2026年9月19日、日本の衛星企業Synspectiveの地球観測衛星「StriX」の12機目を、小型ロケット「Electron」で打ち上げました。
日本時間の同日12時22分にニュージーランドのマヒア半島から離陸し、衛星は高度572kmの地球低軌道に投入されています。

Synspectiveは、衛星との通信が正常で機体を制御できること、観測用アンテナの展開が成功したことを確認したと発表しました。
Rocket Labにとっては通算96回目、2026年では17回目のElectron打ち上げとなりました。

3行で分かるポイント

  • 電波で地表を撮影するSynspectiveの衛星「StriX」12機目が、高度572kmの軌道に入った
  • Rocket Labの小型ロケットElectronの通算96回目の飛行で、Synspective向けの打ち上げはこれまで全て成功している
  • Rocket Labは2020年代の終わりまでに、Synspective向けの専用打ち上げをさらに15回受注している
目次

まず押さえたい背景

Rocket Labは、アメリカのカリフォルニア州ロングビーチに本社を置く宇宙企業です(出典:SEC EDGAR「Rocket Lab Corp」)。
ロケットだけでなく衛星や宇宙機部品も手がけており、小型ロケットのElectronと、その派生であるHASTEを運用しています。

再使用を前提とした中型ロケットNeutronも開発中です。
今回の打ち上げに使われた発射場Launch Complex 1は、アメリカ企業の設備でありながらニュージーランドにあります。

一方のSynspectiveは、2018年2月に設立された東京都江東区の企業で、小型のSAR衛星を自社で開発・運用し、そのデータ販売と分析サービスを提供しています。

SAR(合成開口レーダー)は、衛星自身が地表に向けて電波を出し、跳ね返ってきた電波を捉えて画像を作る仕組みです。
太陽の光を使うカメラと違い、夜でも雲の下でも地表の様子を撮影できます。

Synspectiveの衛星StriXは、周波数9.65GHzのXバンドと呼ばれる電波を使い、質量は100kg級です。
同社はこれを従来のSAR衛星のおよそ10分の1の重さだと説明しています。
打ち上げ時は一辺1m弱の箱ほどの大きさで、軌道に入ってから約5mのアンテナを展開します。

こうした衛星を1機だけ飛ばしても、同じ場所の上空を通るのは数日に1回です。
そこで多数の衛星を連携させ、同じ場所を短い間隔で繰り返し撮れるようにする構成をコンステレーションと呼びます。
Synspectiveは2020年代後半に30機での運用を計画しており、今回の12機目はその途中段階にあたります。

何が発表されたか

今回の打ち上げは「Owl By The Dozen」と名付けられたミッションで、ニュージーランド時間9月19日15時22分にLaunch Complex 1から離陸しました。
Rocket Labは、StriXの12機目を高度572kmの地球低軌道へ正確に投入したとしています。
狙った高度に入れることは、衛星が軌道にとどまれる期間を長く確保することにつながります。

この飛行はElectronの通算96回目、2026年に入ってからは17回目にあたります。
Rocket Labは、Synspectiveとの複数年にわたる打ち上げ協力において、これまでの全てのミッションが成功していると発表しました。
さらに同社は、Synspectiveの商業SARコンステレーションを完成させるため、2020年代の終わりまでに15回の専用打ち上げを受注済みだとしています。
1機の衛星のために1機のロケットを使う専用打ち上げは、他の衛星との相乗りと違い、投入する軌道と時期を衛星側の都合で決められる方式です。

Synspective側は、衛星の初期の状態確認が順調であることを発表しています。
アンテナの展開に成功し、試験的な通信も正常だったことから、機体を制御できる状態にあると確認しました。
今後は数か月かけて、実際の観測とデータ取得を含む機能検証を進める予定です。
この衛星の開発は、JAXAが運営する宇宙戦略基金の技術開発テーマ「商業衛星コンステレーション構築加速化」の支援を受けています。

宇宙業界にとっての意味

地球観測の事業では、1機の衛星の性能だけでなく、同じ場所をどれだけ短い間隔で撮り直せるかが、提供できるサービスの内容を左右します。
災害の直後に被害を把握する用途や、地盤やインフラの変化を継続して追う用途では、撮影の間隔がそのまま情報の鮮度になるためです。
Synspectiveが30機体制を目指しているのは、この撮影間隔を詰めるためです。

つまり、衛星を作る能力と同じくらい、それを計画どおりに軌道へ運ぶ手段を確保できるかどうかが、事業の進み方を決めます。
小型衛星の運用者にとって、専用の打ち上げ枠を長期にわたって確保できることは、コンステレーションの構築計画を立てるうえでの前提条件になります。
Rocket Labの側から見れば、1社との間で12回の打ち上げを積み重ね、さらに15回分の受注を確保している状態は、小型ロケットの事業が単発の受注ではなく継続的な取引として成立し得ることを示しています。

今後の注目点

まず確認したいのは、今回の12機目が数か月の機能検証を経て、実際の観測データを出せる状態になるかどうかです。
そのうえで、残る15回の打ち上げがどのペースで消化され、30機での運用がいつ実現するかが焦点になります。

Rocket Labの側では、開発中の中型ロケットNeutronが加われば運べる衛星の規模が変わるため、その進捗も小型衛星の打ち上げ市場に影響します。

ほしまる

打ち上げのときは机くらいの大きさなのに、軌道に着いてから5mのアンテナを広げるんだ。ぼくもパラボラを開いた日のことは、よく覚えているよ。

出典

ほしまる
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