Hubble Networkが2億ドル調達し衛星60機体制へ

アメリカのスタートアップ企業Hubble Networkは2026年9月23日、「シリーズC」と呼ばれる資金調達で2億ドルを集めたと発表しました。
スマートフォンや紛失防止タグと同じ近距離無線のBluetoothで、地上の小さな機器から衛星へ直接データを届ける事業に、この資金を使います。

同社は今回、衛星経由のサービスを、試験期間を終えて一般の顧客に提供し始めたことも発表しました。

3行で分かるポイント

  • Hubble Networkが2億ドルを調達し、会社の価値は投資家の評価で16億ドルになりました
  • ふつうのBluetooth機器が、部品を替えずにソフトの更新だけで衛星とつながるサービスを一般提供し始めました
  • いま6機ある衛星を、2030年までに60機へ増やす計画です
目次

まず押さえたい背景

Hubble Networkは、アメリカ・シアトルに拠点を置く2021年創業の企業です。
Bluetoothの電波を衛星で受信する網を運用し、機器の位置情報やセンサーの測定値を世界中から集める通信サービスを提供しています。
創業者は、位置共有アプリ大手Life360の出身で現CEOのアレックス・ハロ氏と、Amazonで近距離通信網「Amazon Sidewalk」を手がけたベン・ワイルド氏です。

仕組みの前提として、IoT(Internet of Things)という言葉があります。
IoTは、コンテナ・車両・農業用センサーのような「モノ」がネットにつながり、自分の居場所や状態を自動で知らせる仕組みを指します。

携帯電話の回線を使えば遠くからでも通信できますが、電波の届かない海や山では使えず、電池も早く減ります。
Payloadの記事によると、携帯回線用のチップが1個最大50ドルなのに対し、Bluetoothチップは50セント未満で、電池は年単位でもちます。

ただしBluetoothはもともと数十m程度の近距離で使う規格で、出力の小さい電波です。
この電波を、上空数百kmの低軌道を回る衛星で拾うことが技術的な難所です。
CEOのハロ氏は発表の中で、Bluetoothチップと衛星をつなぐと言ったとき、業界の多くは物理的に無理だと考えていたと述べています。

何が発表されたか

今回のシリーズCは、アメリカの投資会社Smith Point Capitalが主導しました(出典:Hubble Network「Hubble Network Opens Satellite Coverage to All Bluetooth Devices, Raises $200 Million Series C at $1.6 Billion Valuation」)。
Smith Point Capitalは、SalesforceのCEOを共同で務めたキース・ブロック氏が創業し、サンフランシスコとニューヨークに拠点を置いて企業向けソフトウェアの成長企業に投資する会社です(出典:Smith Point Capital「Former Salesforce Co-CEO Keith Block Launches Enterprise Software Investment Firm, Smith Point Capital, LLC」)。
このほか、宇宙分野に投資するSeraphimや、スタートアップ育成で知られるY Combinatorなども参加しました。

シリーズCの「C」は、創業後に外部から受ける資金調達の3回目の大きな段階を意味します。
評価額の16億ドルは、投資家がこの会社全体にどれだけの価値があるとみたかを表す金額です。
同社は2025年9月にシリーズBで7,000万ドルを調達しており、累計の調達額は3億ドルになりました。

資金の主な使い道は衛星網の拡大で、2030年までに60機の衛星をそろえる計画です。
ここでいう衛星網は、多数の衛星を連携させて地球全体をカバーする「コンステレーション」を指します。
Payloadによると、次世代の衛星はBluetoothの電波を受けるアンテナをいまの10倍に増やし、その最初の2機を2027年に打ち上げる予定です。

サービス面では、ふつうのBluetooth機器がソフトウェア(ファームウェア)の更新だけで衛星と直接通信できるサービスを一般提供に移しました。
ネットワーク上で動いている機器は50万台を超え、1年前の10倍以上です。
地上でも1億台を超える中継機(ゲートウェイ)を170か国で運用しており、衛星と地上の両方で電波を拾います。

宇宙業界にとっての意味

衛星通信は、大型アンテナを使う放送や、専用端末を使う衛星電話から、身近な機器を衛星へ直接つなぐ方向へと広がってきました。
スマートフォンなどの端末を衛星へ直接つなぐ方式は、direct-to-deviceと呼ばれます。
Hubble Networkの特徴は、専用の通信モジュールを使わず、すでに広く普及しているBluetoothチップをそのまま使う点です。

安いチップと長い電池寿命を保ったまま衛星に届けば、物流の荷物、盗難車の追跡、建設現場の機材など、これまで通信のコストに見合わなかったモノも追跡の対象になります。
今回の調達は、この方式に投資家が大きな資金を投じたことを示しています。

一方で、衛星がまだ6機のため、Payloadによると1か所の上空を通る頻度は1日2回程度です。
通信をほぼ途切れさせないためには、衛星を増やす必要があります。

今後の注目点

最初の節目は、2027年に予定されている次世代衛星2機の打ち上げです。
アンテナを増やした衛星で、1機あたりどれだけの機器を扱えるかが確かめられます。

次に、2030年までに60機をそろえる計画が予定どおり進むかが注目点です。
あわせて、一般提供を始めたサービスの利用台数が、衛星の増加とともにどこまで伸びるかも見ていく必要があります。

ほしまる

数十mしか届かない電波を、はるか上空の衛星で拾うんだ。次世代衛星のアンテナが10倍になったら、どこまで拾えるようになるのかな?

出典

ほしまる
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