NASAは米国時間2026年9月24日、国際宇宙ステーション(ISS)へ向かう「Crew-14」ミッションの搭乗員4人を発表しました。
NASA、JAXA、ロシアの宇宙機関ロスコスモスの3機関から選ばれた4人で、打ち上げは2027年春以降の予定です。
JAXAの諏訪理宇宙飛行士にとっては、初めての宇宙飛行になります。
3行で分かるポイント
- アメリカ、日本、ロシアの3つの宇宙機関から選ばれた4人が、2027年春以降に宇宙ステーションへ向かいます
- 日本からは諏訪理宇宙飛行士が選ばれ、今回が初めての宇宙飛行です
- SpaceXの宇宙船で宇宙ステーションへ行き、長く滞在して科学実験などを行います
まず押さえたい背景
国際宇宙ステーション(ISS)は、地球の上空約250マイル(約400km)を時速約1万7,500マイル(約2万8,000km)で回る有人の実験施設です(出典:NASA「Space Station」)。
アメリカ、ロシア、欧州、日本、カナダの宇宙機関が共同で建設・運用しています。
2025年11月2日には、人が途切れず滞在し続けて25年を迎えました。
これまでに18か国から280人を超える人々が訪れています。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は日本の宇宙機関で、ロケットなどの輸送システム、人工衛星を使った宇宙利用、有人宇宙活動、宇宙科学、航空技術の研究を担っています(出典:JAXA「JAXAについて」)。
ロスコスモスはロシアの宇宙機関で、アメリカのNASA、カナダ宇宙庁(CSA)、JAXA、欧州宇宙機関(ESA)と並ぶISSの主要な参加機関のひとつです(出典:NASA「International Space Station Cooperation」)。
ISSでは、滞在メンバーが一定期間ごとに入れ替わります。
今回の「Crew-14」は、NASAの低軌道プログラムのもとで、SpaceXとの契約により行う14回目の搭乗員交代飛行です(出典:NASA「NASA Shares SpaceX Crew-14 Assignments for Space Station Mission」)。
使用する宇宙船は、SpaceXの有人宇宙船「クルードラゴン」です(出典:JAXA「JAXA諏訪理宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在 搭乗機決定」)。
何が発表されたか
NASAの発表によると、4人の役割は次のとおりです。
宇宙船の指揮をとるコマンダーがNASAのカイラ・バロン宇宙飛行士、コマンダーとともに宇宙船を運用するパイロットがNASAのクリス・バーチ宇宙飛行士です。
ミッションスペシャリスト(飛行中の作業や実験を受け持つ搭乗員)として、JAXAの諏訪理宇宙飛行士とロスコスモスのアルトゥン・キヴィリャン宇宙飛行士が加わります。
4人はISSで第75次・第76次長期滞在のメンバーになります。
第○次長期滞在とは、ISSの滞在期間ごとに付けられる通し番号です。
バロン宇宙飛行士は2017年にNASAの宇宙飛行士に選ばれ、今回が2回目のISS行きです。
米海軍では潜水艦の士官を務めていました。
2021年のCrew-3ミッションでは宇宙に177日間滞在し、2回の船外活動を行っています。
バーチ宇宙飛行士は2021年に選ばれ、今回が初飛行です。
生物工学の元大学教員で、オリンピックに出場した自転車トラック競技の選手でもありました。
キヴィリャン宇宙飛行士は2021年に宇宙飛行士候補に選ばれ、今回が初めてのISSミッションです。
諏訪宇宙飛行士は1977年生まれです(出典:JAXA「諏訪 理 宇宙飛行士」)。
プリンストン大学大学院で地球科学の博士号を取得したあと、国連の世界気象機関(WMO)や世界銀行で働いてきました。
2023年7月にJAXAに入り、2024年10月に宇宙飛行士として認定されています。
2026年1月にISS長期滞在の搭乗員に指名されており、今回の発表で乗る宇宙船が決まりました。
打ち上げについては、NASAは「2027年春以降」、JAXAは「2027年3月以降」としています。
宇宙業界にとっての意味
今回の発表で分かるのは、3つの機関の宇宙飛行士が1機の民間宇宙船に同乗し、長期滞在を行う運用が2027年も続くということです。
NASAは、Crew-14の搭乗員が月や火星への将来の探査に備える科学実験や技術実証を行い、地球上の人々の役にも立てると説明しています。
日本にとっては、日本人宇宙飛行士によるISS長期滞在が次の世代に引き継がれる節目になります。
JAXAは2026年1月の指名時に、諏訪宇宙飛行士が日本実験棟「きぼう」を含むISSの設備の維持・運用や、様々な科学実験を担う予定だと発表しています(出典:JAXA「国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在搭乗員の指名」)。
同じ発表でJAXA理事長は、この滞在が日本の有人宇宙活動を継続させ、将来の月・火星探査につながるものだと述べています。
2023年に選抜されたJAXAの宇宙飛行士が、認定から約2年で実際の搭乗機に割り当てられたことも、今回の発表から読み取れる事実です。
今後の注目点
具体的な打ち上げ日は、JAXAが改めて知らせるとしています。
まず注目したいのは、2027年春以降のどの時点で打ち上げ日が決まるかです。
あわせて、ISSに滞在する期間の長さや、諏訪宇宙飛行士が担当する実験の中身がいつ公表されるかも確認したい点です。
第75次・第76次長期滞在でISSにいるほかのメンバーとの顔ぶれも、今後の発表で分かってきます。