米国のRocket Labは2026年9月26日、小型ロケット「Electron(エレクトロン)」の97回目の打ち上げに成功したと発表しました。
ニュージーランドの発射場から打ち上げたロケットは、日本の衛星企業Synspective(シンスペクティブ)の地球観測衛星「StriX(ストリクス)」13機目を、高度559kmの軌道に投入しました。
2社の契約では、残りの衛星を運ぶ打ち上げが14回予定されています。
3行で分かるポイント
- Rocket Labの小型ロケットが、日本企業の地球観測衛星13機目を高度559kmの軌道へ運んだ
- この衛星は電波で地表を撮影するため、夜間や悪天候でも観測できる
- 2社の協力はまだ続き、この10年代の終わりまでに打ち上げが14回予定されている
まず押さえたい背景
Rocket Labは、米カリフォルニア州ロングビーチに本社を置く企業です。
商業・政府・防衛向けに、ロケット、衛星、宇宙機の部品を提供しています(出典:Rocket Lab「MISSION SUCCESS: Rocket Lab Launches 97th Electron Mission」)。
運用中のロケットは小型のElectronとHASTEで、再使用できる中型ロケット「Neutron」を開発しています。
Electronは、重さ数百kg程度までの小型衛星を1機ずつ、希望の軌道へ運ぶのに向いたロケットです。
Synspectiveは、2018年2月に東京で創業した衛星企業で、シンガポールと米国にも拠点があります(出典:Synspective「Company」)。
自社で衛星を設計・製造・運用し、撮影したデータの販売と、そのデータを機械学習などで分析するサービスを手がけています。
同社の衛星StriXは、合成開口レーダー(SAR)衛星です。
カメラで光を撮る代わりに、衛星から電波を地表に当て、跳ね返ってきた電波から画像を作ります。
電波は雲を通り抜け、太陽の光も要らないため、昼夜や天候を問わずに撮影できます。
Synspectiveによると、StriXは100kg級の小型・低コストの衛星で、1,000km²を超える範囲を1〜3mの解像度で撮影できます。
何が発表されたか
今回のミッション名は「Owlright Owlright Owlright」です。
ニュージーランドにあるRocket Labの発射場「Launch Complex 1」から、現地時間の9月26日午後0時39分に打ち上げられました。
Electronは、Synspective専用の便としてStriX衛星1機を運び、高度559kmの低軌道に直接投入しました。
低軌道は、地表からおおむね2,000km以下の高さを回る軌道で、地球観測衛星がよく使います。
Rocket Labによると、今回はElectronの通算97回目、2026年に入って18回目の打ち上げです。
Rocket Labは、2社の複数年にわたる協力のなかで、Electronが13機すべてのStriX衛星を失敗なく軌道に届けたとしています。
また、Electronを「世界で最も打ち上げ回数の多い小型軌道ロケット」と位置づけています。
宇宙業界にとっての意味
SAR衛星は1機だけだと、同じ場所の上空を通るまでに時間がかかります。
そこでSynspectiveは、多数の衛星を連携させて運用する「コンステレーション」を作り、同じ地点をより短い間隔で撮れるようにしようとしています。
今回の打ち上げで、その衛星群が13機に増えました。
コンステレーションを作るには、衛星を予定どおり、狙った軌道へ届け続ける必要があります。
Electronのように1機ずつ専用で運ぶロケットは、相乗りと違って、打ち上げの時期と投入する軌道を衛星側の都合に合わせやすい方式です。
13機すべてが同じロケットで成功していることは、Synspectiveの計画が打ち上げ面では順調に進んでいることを示しています。
Rocket Labにとっても、同じ顧客から繰り返し受注する打ち上げは、Electronの打ち上げ頻度を支える柱のひとつです。
今後の注目点
Rocket Labによると、Synspectiveの残りの衛星群を届けるため、この10年代の終わりまでに14回の打ち上げが予定されています。
14機目以降の打ち上げが予定どおりの間隔で続くかが、まず注目点です。
もうひとつは、衛星が増えたあとの観測サービスの広がりです。
撮影できる頻度が上がると、SynspectiveのSARデータの販売や分析サービスがどう変わるかを、今後の同社の発表で確認できます。
ほしまる雲の下も夜の地面も見える衛星が、1機ずつ仲間を増やしているんだね。あと14回の打ち上げで、どこまで空が埋まっていくのか楽しみだよ!