ロケットラボがシンスペクティブのレーダー衛星13機目を打ち上げ

米国のロケット企業ロケットラボは、日本時間2026年9月26日9時39分、ニュージーランドの発射場から小型ロケット「エレクトロン(Electron)」を打ち上げました。
搭載していたのは、東京の宇宙ベンチャー、Synspective(シンスペクティブ)が開発した小型レーダー衛星「StriX(ストリクス)」の13機目です。
衛星は高度559kmの軌道に投入され、今後数か月をかけて観測機能の検証が進められます。

3行で分かるポイント

  • 日本の衛星ベンチャーが開発した、雲や夜でも地表を撮影できる小型衛星の13機目が軌道に届いた
  • 打ち上げたのは米国のロケットラボで、同社にとって通算97回目のエレクトロン打ち上げだった
  • 同じ会社の衛星を運ぶ打ち上げは、今後さらに14回予定されている
目次

まず押さえたい背景

ロケットラボ(Rocket Lab)は、米カリフォルニア州ロングビーチに本社を置く宇宙企業です。
小型ロケット「エレクトロン」による打ち上げサービスに加え、人工衛星の製造や宇宙機の部品の供給も手がけています(出典:Rocket Lab Corp「Form 8-K Exhibit 99.1」)。
発射場はニュージーランドに2基、米バージニア州に1基の発射台を持ち、衛星を大量に運ぶための大型ロケット「ニュートロン(Neutron)」も開発しています。

シンスペクティブ(株式会社Synspective)は、東京都江東区に本社を置く企業です。
小型SAR衛星の開発・運用と、その衛星で撮った画像データの販売、データを使った解析サービスを事業にしています(出典:Synspective「会社概要」)。

SAR(合成開口レーダー)衛星は、地表に電波を当て、跳ね返ってきた電波から画像を作る衛星です。
カメラのように太陽の光を使うのではなく自分で電波を出すので、夜でも撮影でき、雲も電波を通すため天気にも左右されません。

シンスペクティブは、StriXを小さく軽くすることで価格を下げ、たくさんの機体を作れるように設計したと説明しています(出典:Synspective「StriX衛星」)。
このように多数の衛星を連携させて運用する仕組みを「コンステレーション(衛星群)」と呼びます。
1機だけでは同じ場所の上空に次に来るまで時間がかかりますが、数を増やせば同じ場所を撮り直すまでの間隔を短くできます。

何が発表されたか

今回のミッションは「Owlright Owlright Owlright」と名づけられ、ニュージーランドのマヒア半島にあるロケットラボの発射場から打ち上げられました(出典:Synspective「当社13機目のSAR衛星打上げについて」)。
エレクトロンは、StriXの13機目を高度559kmの地球低軌道に投入しました(出典:sorae「ロケットラボ、Synspectiveの小型SAR衛星『StriX』13機目の打ち上げに成功」)。

sorae によると、これはロケットラボにとって通算97回目のエレクトロン打ち上げで、2026年に入って18回目にあたります。
シンスペクティブ向けの打ち上げとしては13回目で、これまでの13機はすべて軌道への投入に成功しています。

シンスペクティブは、今後数か月をかけて観測やデータ取得などの機能検証を行う予定です。
軌道に届いた直後の衛星は、すぐに商用の画像を撮り始めるわけではありません。
アンテナや機器が正しく動くか、狙った品質の画像が得られるかを確かめてから、本格的な運用に移ります。

また同社は、この衛星が宇宙戦略基金事業の「商業衛星コンステレーション構築加速化」事業の補助を受けて開発されたとしています。
宇宙戦略基金は、日本政府が宇宙分野の技術開発や事業化を支援するために設けた基金です。

宇宙業界にとっての意味

コンステレーションで事業をする会社にとって、計画どおりの機数を軌道に並べられるかどうかは、サービスの質に直結します。
機数が揃わなければ、同じ場所を撮り直す間隔を縮められないためです。
シンスペクティブは、衛星の製造だけでなく、打ち上げの機会を継続して確保する必要があります。

打ち上げの面では、シンスペクティブは2024年6月にロケットラボと追加10回の打ち上げ契約を結んでいます(出典:Synspective「会社概要」)。
sorae は、今回のあともシンスペクティブ向けに14回の専用打ち上げが計画されていると伝えています。

専用打ち上げとは、ほかの衛星と相乗りせず、1機のロケットで1社の衛星だけを運ぶ方式です。
相乗りと違い、打ち上げ時期や投入する軌道を顧客の都合に合わせやすくなります。

今回で、13回続いた打ち上げがすべて軌道投入に成功したことになります。
衛星事業者と打ち上げ事業者の組み合わせが継続して結果を出していることは、残る打ち上げ計画を進めるうえでの実績になります。

今後の注目点

まず注目されるのは、13機目の機能検証が終わり、実際の観測データの取得と提供が始まる時期です。
シンスペクティブは、検証に数か月をかけるとしています。

次に、残る14回の打ち上げがどのようなペースで進むかです。
打ち上げが積み重なるにつれて、同じ地点を撮り直す間隔がどこまで縮まり、それがデータ販売や解析サービスの提供範囲にどう反映されるかが、今後の発表で確認すべき点になります。

ほしまる

13機そろっても、まだ打ち上げが14回残っているんだね。数が増えるたびに、同じ場所を見に来るまでの待ち時間が短くなっていくんだ。

出典

ほしまる
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