衛星通信のMeridian SpaceがSpinLaunchから独立

アメリカ・カリフォルニア州のスタートアップSpinLaunchから、衛星通信の事業がMeridian Spaceという独立した会社として切り離されました。
宇宙ビジネスの専門メディアPayloadが2026年9月28日に報じたもので、Meridian Spaceの最高経営責任者(CEO)であるMassimiliano Ladovaz氏が「2社は独立した会社に分かれる」と説明しています(出典:Payload「Exclusive: Meridian Space Spins Out from SpinLaunch」)。
Meridian Spaceは、10月1日以降に予定されている打ち上げで、自社のアンテナ技術を初めて宇宙で試します。

  • 独自の方法で打ち上げ費用を下げようとしているSpinLaunchから、衛星通信を担う部門が別会社として独立しました。
  • 新会社は、少ない電力で動くアンテナを使い、小さくて軽い通信衛星をつくることを目指しています。
  • 最初の試験用の衛星は、SpaceXの相乗り打ち上げで10月1日以降に宇宙へ向かう予定です。
目次

まず押さえたい背景

SpinLaunchはカリフォルニア州を拠点とするスタートアップで、燃料を燃やして飛ぶロケットとは違う「運動エネルギーを使った打ち上げ」の開発で知られています。
同社の公式サイトによると、直径100mの鋼鉄製の真空容器の中で炭素繊維製のアームを回転させ、打ち上げ機を最大で時速8,000kmまで加速する方式です。
成層圏に達したあとは小さな推進段が軌道まで運び、通常のロケットを構成する燃料と構造の最大70%を減らせると同社は説明しています(出典:SpinLaunch公式サイト)。

SpinLaunchは2020年から衛星通信の技術にも取り組んでおり、この部門がのちにMeridian Spaceと呼ばれるようになりました。
Meridian Spaceはカリフォルニア州ロングビーチに所在地を置き、地表に比較的近い低軌道を回る多数の衛星で通信サービスを提供する計画を掲げています(出典:Meridian Space公式サイト)。
このように多数の衛星を連携させて1つの網にする仕組みを「コンステレーション」と呼びます。

同社の技術の中心は「リフレクトアレイアンテナ」です。
平らな板に小さなアンテナ素子を多数並べ、素子ごとに電波の反射の仕方を調整することで、パラボラアンテナのように電波を狙った方向へ集める仕組みです。

何が発表されたか

Ladovaz氏によると、Meridian Spaceは衛星通信インフラ事業を引き継ぎます。
SpinLaunchは低コストの打ち上げ手段の開発を続け、Golden Dome計画を支える極超音速(一般に音速の5倍以上)分野や、月での経済活動への応用も進めるとしています。
SpinLaunchの経営陣や今後の計画は、近く改めて公表される予定です。

Meridian Spaceの最初の実証衛星は、SpaceXが複数の衛星を相乗りで運ぶ「Transporter-18」で、10月1日以降に打ち上げられる予定です。
この衛星では、自社開発のリフレクトアレイアンテナを使い、顧客向けの通信回線を初めてつなぐことを目指します。

当面は、既存の小型衛星の規格「キューブサット」の機体にアンテナを載せる「Meridian Express」というプログラムを顧客に提供し、2027年には打ち上げ準備が整う可能性があるとしています。
最初の衛星群は、NanoAvionicsの衛星バスで製造する契約を結んでいます。
NanoAvionicsはリトアニアの首都ビリニュスに拠点を置く会社で、キューブサットから最大200kgの小型衛星までの衛星バスを製造しています(出典:NanoAvionics「About」)。
衛星バスとは、電源や姿勢の制御など、衛星が宇宙で働くための基本機能をまとめた土台部分です。

長期的には、平たい形の衛星バスにアンテナを載せ、250機を超えるコンステレーションを1回の専用打ち上げで配備することを目標にしています。
Payloadによると、衛星1機の質量は70kgで、全世界向け衛星群の通信容量は毎秒2テラビットに達すると見込まれています。

宇宙業界にとっての意味

自前の衛星通信網を持ちたい組織は現在、SpaceXのStarlinkやAmazonのAmazon Leoのような世界規模の通信網を利用するか、数十億ドル規模になりうる費用をかけて独自の網を築くかの選択を迫られている、とPayloadは整理しています。
Meridian Spaceは、この2つとは別の「第3の道」を示そうとしています。

狙う顧客は、国の政府、地域の通信事業者、通信会社など、自分たちで衛星通信網を持ち運用したい組織です。
Ladovaz氏は、衛星本体、打ち上げ、地上設備を含めて10億ドル未満でシステムを構築できると述べています。
同氏の説明では、宇宙では電力が貴重な資源であり、少ない電力で大容量の通信ができれば衛星を小さくでき、打ち上げ回数も減らせます。
技術は提携先が製造しやすいように設計されているため、顧客が望む国で衛星を造れる道も開けるとしています。

ただし、これらは会社側の説明で、実際の性能やコストはこれからの実証と受注で確かめられる段階です。

今後の注目点

直近の節目は、Transporter-18での実証衛星の打ち上げと、顧客向け回線の実証が計画どおり進むかどうかです。
Meridian Spaceは最初の顧客との契約締結に取り組んでいるとしており、どの国や事業者が採用するかも注目されます。

SpinLaunch側は、昨年、大気の薄い天体に据え付ける運動エネルギー式の打ち上げ装置に関する特許を取得しています。
Payloadはこれを、月から地球へ、あるいはさらに遠くの宇宙へ荷物を送る方向性を示すものとみています。
SpinLaunchが近く公表するとしている経営陣と計画の内容が、次に確認すべき点です。

出典

ほしまる
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