NASAとボーイングがスターライナー再開へ無人試験と追加飛行の方針

NASAとボーイングは2026年9月28日(米国時間)、ボーイングの宇宙船「スターライナー(Starliner)」の今後の開発計画を発表しました。
改良した機体を確かめるため、まず人を乗せない試験飛行を行います。
宇宙飛行士を再び乗せるのは2028年までを目指すとしています。

あわせてNASAは、国際宇宙ステーションへの5回目と6回目の飛行を追加で発注する意向と、新しいロケットで人を運べるよう認定する方針も示しました。

  • ボーイングの宇宙船は、2024年の有人試験で推進系にトラブルが起き、改良を続けてきました
  • 人を乗せない試験飛行を2026年12月か2027年1月に行い、宇宙飛行士を乗せるのは2028年までを目指します
  • NASAは飛行を2回分追加する意向で、今のロケットが引退したあとに使う新しいロケットの認定も進めます
目次

まず押さえたい背景

ボーイングは、アメリカの首都ワシントン近郊に本社機能を置く航空宇宙企業です。
旅客機、防衛関連の製品、宇宙システムの開発・製造・保守をしています。
ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は、アメリカのコロラド州デンバーに本拠を置くロケット会社で、「アトラスV」と新型の「ヴァルカン(Vulcan)」というロケットを運用しています。

NASAの「商業乗員輸送プログラム」は、アメリカから国際宇宙ステーション(ISS)まで宇宙飛行士を送り迎えする仕事を、民間企業との協力で担う計画です。
すでにスペースXの宇宙船「クルードラゴン」が運用中で、ボーイングのスターライナーもこのプログラムに参加しています。

スターライナーは、人が乗る「クルーモジュール」と、エンジンや電源を積んだ「サービスモジュール」の2つでできたカプセル型の宇宙船です(出典:Boeing「Starliner」)。
最大7人が乗れ、クルーモジュールは最大10回まで繰り返し使えるように設計されています。
海に着水するのではなく、陸地に降りるのも特徴です。

2024年6月5日、スターライナーはブッチ・ウィルモア飛行士とスニ・ウィリアムズ飛行士を乗せた初の有人試験飛行(クルー・フライト・テスト)に出発しました(出典:NASA「NASA Releases Report on Starliner Crewed Flight Test Investigation」)。
ところが軌道上で推進系に異常が起き、機体は2024年9月に無人で地球へ戻りました。
2人は2025年3月、スペースXの宇宙船で帰還しています。

問題が起きたのは、機体の向きや位置を細かく調整する小型エンジン「スラスター」です。
スラスターの動作が、地上試験で安全性を確かめた範囲の外に出てしまいました。
NASAはこの試験飛行を、最も重い区分である「タイプA」の事故として扱っています。

何が発表されたか

NASAの調査チームは2026年2月に調査結果を公表し、NASAに対して合計61項目の改善を勧告しました(出典:NASA「NASA, Boeing Share Update on Commercial Starliner Development Plans」)。
これを受けてボーイングは、次の改良を進めています。

  • サービスモジュールの熱対策
  • スラスターのバルブ設計の追加変更
  • クルーモジュールへの新しいスラスターとバッテリーの取り付け
  • パラシュートの小さな修正

改良が効いているかどうかは、人を乗せない「スターライナー1」で確かめます。
打ち上げは早ければ2026年12月、または2027年1月になる可能性があるとしています。
そのうえで、2028年までに「スターライナー2」で宇宙飛行士を乗せる計画です。

NASAの低軌道プログラムの責任者、デイナ・ワイゲル氏は、ステーションの乗員と一般の人々の安全を最優先にすると述べました。
そのうえで、目的をしぼった実証項目を設けてスターライナーの推進系を試験するとしています。

NASAはさらに、スターライナーでISSを往復する5回目と6回目の飛行について、契約上の追加の選択肢(オプション)を使う意向も示しました。
ロケットについては、アトラスVの最後の打ち上げが終わったあとに備えて、ボーイングやULAと協力し、ヴァルカンを人を運べるロケットとして認定する方針です。
人を乗せるロケットには、宇宙飛行士の安全に関わる厳しい基準を満たしているかどうかの確認が求められます。

NASAのジャレッド・アイザックマン長官は、これまでの問題に対処し、この宇宙船がISSを支える飛行に戻るのを見届けたいと述べています。

宇宙業界にとっての意味

NASAがスペースXとボーイングとの協力を通じて乗員輸送を行ってきたのは、アメリカからISSへ人を運ぶ手段を民間の力で確保するためです。
スターライナーの有人飛行が止まっている間、この役割を担える宇宙船は現在、クルードラゴンだけです。
今回の発表は、2社目の手段をもう一度使える状態にする道筋と、その日程をNASAとボーイングがはっきり示した点に意味があります。

乗り物の「引っ越し」も見逃せません。
スターライナーはこれまでアトラスVで打ち上げられてきました。
今後もISSへの飛行を続けるには、宇宙船だけでなく、それを運ぶロケットも人を乗せられると認められる必要があります。
今回の発表には、NASAがヴァルカンのこの認定に取り組むと明言した点も含まれています。

今後の注目点

最初の節目は、2026年12月か2027年1月に予定されている無人のスターライナー1です。
改良したスラスターや熱対策が軌道上で計画どおりに働くかが、2028年までに宇宙飛行士を乗せるスターライナー2の前提になります。

あわせて、5回目・6回目の飛行の正式な発注と、ヴァルカンの有人認定がどのような段階を経て進むかも確認していく必要があります。

出典

ほしまる
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