エアバスがユーテルサットに次世代OneWeb衛星32機を初納入

欧州の航空宇宙企業エアバスの防衛・宇宙部門エアバス・ディフェンス・アンド・スペースは2026年10月2日、衛星通信会社ユーテルサットに、次世代のOneWeb衛星32機を納入したと発表しました(出典:Airbus「Airbus delivers first batch of next-generation satellites for Eutelsat’s OneWeb constellation」)。
OneWebは、地上に比較的近い高度を回る多数の衛星で、インターネット通信を提供する衛星網です。

32機は、ユーテルサットが計画する次世代OneWeb衛星669機の最初の一群です。
32機はフランス・トゥールーズの工場から出荷する準備が進められていて、米国での打ち上げを控えています。

3行で分かるポイント

  • エアバスが、通信衛星網OneWebの新しい世代の衛星32機をユーテルサットに引き渡しました。
  • 新しい衛星は、運用できる期間の終わりが近づいた古い衛星と順番に入れ替わり、通信サービスを途切れさせないための機体です。
  • 32機は計669機の最初の一群で、米国での打ち上げを控えています。
目次

まず押さえたい背景

ユーテルサットは、パリに本社を置く衛星通信会社です。
2026年1月の発表時点では、静止軌道(地上から見ると空の一点に止まって見える軌道)を回る衛星34機と、600機を超える低軌道衛星の網を運用していました。
事業はテレビ映像の配信、移動体と固定拠点向けの通信、政府向けサービスです(出典:Eutelsat「Eutelsat procures a further 340 OneWeb low earth orbit satellites from Airbus」)。

エアバスは欧州最大の航空宇宙企業で、旅客機、ヘリコプター、防衛、宇宙の各事業を手がけています(出典:Airbus「About us」)。
今回の衛星を造ったエアバス・ディフェンス・アンド・スペースは、このうち防衛と宇宙を担う部門です。

低軌道の衛星は、地球のすぐ近くを高速で回るため、1機が同じ地域の上空にいられる時間は短くなります。
そこで、多数の衛星を連携させて地球全体を途切れなくカバーする「コンステレーション(衛星群)」という仕組みが使われます。
OneWebでは、600機を超える衛星が高度1,200kmの12の軌道面にそろって並び、地球上のどこにでも高速インターネットを届けているとエアバスは説明しています(出典:Airbus「Eutelsat orders 229 additional OneWeb satellites from Airbus」)。

何が発表されたか

エアバスの発表によると、納入された32機は、エアバスのトゥールーズにあるコンステレーション衛星の生産施設から出荷の準備に入っています。
この32機が、ユーテルサットの次世代OneWeb衛星669機の第1陣です。

669機は、何回かに分けて発注されました。
ユーテルサットは2024年12月に100機、2026年1月に340機をエアバスへ発注し、この時点で合計440機になりました。
2026年9月10日には、さらに229機について「作業開始の承認(ATP)」をエアバスと結びました。
ATPは、この229機に向けた初期の製造作業を始めることを認める取り決めで、これで次世代機は合計669機になりました。

新しい衛星には、デジタル・チャネライザーと呼ばれる高度な装置が載ります。
衛星が受けた電波を細かい周波数の区画に分け、どの区画をどこへ送るかを衛星の上で柔軟に切り替えるための装置です。
ユーテルサットは、これによって衛星上の処理能力と効率、運用の柔軟性が高まるとしています。
229機の発注を伝えるエアバスの発表によると、この発注分の衛星は、Ku帯と呼ばれる周波数帯を使うOneWebの通信機器に加えて、ほかの用途の機器も相乗りで搭載(ホステッドペイロード)できます。

エアバス・ディフェンス・アンド・スペースで宇宙システム部門を率いるアラン・フォーレ氏は、今回の納入について、生産を欧州に戻したことの象徴であり、衛星を数多く、一定のペースで納入できる力を確かめるものだと述べています。
エアバスは最近、衛星の量産ラインを欧州へ戻しました。

宇宙業界にとっての意味

低軌道の衛星網は、打ち上げて終わりではありません。
衛星には運用できる期間があり、サービスを続けるには古い機体を新しい機体へ順次入れ替える必要があります。
エアバスとユーテルサットは、今回の次世代機を、運用期間の終わりが近づいた初期の衛星を置き換え、利用者へのサービスを途切れさせずに通信網全体の能力を高めるためのものと位置づけています。

衛星の造り手から見ると、600機規模の衛星網を入れ替えるには、同じ設計の衛星を短い間隔で造り続ける量産能力が必要です。
エアバスは、今回の納入が欧州で重要な通信インフラを造る能力を示すものだとしています。
ユーテルサットのジャン=フランソワ・ファラシェ最高経営責任者(CEO)は、9月の追加発注の際に、この契約でOneWebをさらに強化する一方、欧州の衛星通信網計画IRIS²(アイリス・スクエア)が新たな容量と機能をもたらすと述べています。

今後の注目点

次の節目は、32機の米国での打ち上げです。
打ち上げ後、新しい衛星が軌道上で初期の衛星と入れ替わり、サービスに組み込まれていくかが確認点になります。

生産面では、トゥールーズの量産ラインが、残りの第2陣以降をどのような間隔で送り出せるかが注目されます。
追加の229機は、現時点では初期の製造作業を対象とした取り決めの段階にあり、その後の契約の進み方も今後の確認点です。

出典

ほしまる
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