北海道スペースポートがSPACE COTANによる15年運営へ

北海道大樹町は2026年10月1日、町が所有する宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」の運営を、コンセッション方式という仕組みに切り替えました。
施設の持ち主は町のままで、運営する権利を地元の民間企業SPACE COTAN(スペースコタン)株式会社が持ちます。
期間は2041年9月30日までの15年間です。

3行で分かるポイント

  • 大樹町の宇宙港の運営を、2026年10月1日から民間企業のSPACE COTANが担っています。
  • 対象はロケットの発射場、滑走路、格納庫、展示施設で、期間は15年間です。
  • ロケットを高い頻度で打ち上げられる体制づくりと、新しい発射場の整備の検討を掲げています。
目次

まず押さえたい背景

大樹町は北海道の十勝地方にある町で、40年以上にわたって航空宇宙産業の誘致を進めてきました。
ロケットを打ち上げる東と南の方角が海に開けていることが、立地の強みです。
こうした取り組みの拠点が北海道スペースポート(HOSPO)で、2021年4月に本格的な運用を始めました(出典:PR TIMES「北海道スペースポート(HOSPO)の運営をコンセッション方式へ移行」)。

宇宙港(スペースポート)とは、ロケットや宇宙機を打ち上げ・運用するための施設を備えた拠点のことです。
空港が飛行機の発着を支えるように、宇宙港は発射台や組み立て施設、滑走路などで打ち上げを支えます。

SPACE COTANは、大樹町に本社を置き、2021年4月に設立された会社です。
宇宙港の設計・建設・管理運営のほか、軌道投入ロケットや、宇宙空間に達したあと地上へ戻る弾道飛行ロケット、宇宙飛行機(スペースプレーン)の打ち上げ支援を事業としています(出典:北海道スペースポート「About」)。
大樹町の説明では、同社はHOSPOの管理運営に加え、整備資金の調達支援、射場の詳細設計、国の認定取得、国内外の顧客開拓なども担っています(出典:大樹町「北海道スペースポート(HOSPO)について」)。

町は2023年4月、滑走路や格納庫、展示施設の管理運営を任せる指定管理者にSPACE COTANを選んでいました。
このときの期間は2025年3月末までの2年間でした(出典:日経BP「北海道大樹町、商業宇宙港『北海道スペースポート』の指定管理者にSPACE COTAN」)。

何が発表されたか

今回の移行で使われたコンセッション方式は、利用料金を取る公共施設について、所有権を自治体などの公共側が持ったまま、施設を運営する権利(運営権)を民間事業者に設定する方式です(出典:内閣府「公共施設等運営事業(コンセッション事業)」)。
たとえるなら、建物は町の持ち物のまま、その「運営を任される権利」を一定期間まとめて民間に渡す形です。

大樹町とSPACE COTANの発表によると、SPACE COTANがこの方式の運営事業者に選ばれ、2026年10月1日から運営を始めました。
運営の対象は次の4つです。

  • LC1:小型人工衛星を打ち上げるロケット用の射場
  • 全長1,300mの滑走路
  • 格納庫(ハンガー)
  • 大樹町宇宙交流センター「SORA」

事業期間は2041年9月30日までの15年間です。
黒川豊町長は、民間ならではの柔軟な発想とスピード感が加わることで、HOSPOの発展と日本の宇宙産業への貢献がより加速すると確信している、とコメントしています。
SPACE COTANの小田切義憲社長兼CEOは、大樹町と十勝地域の人々と一体となり、世界中の打上事業者から選ばれるスペースポートづくりに取り組むと述べています。

宇宙業界にとっての意味

ロケットの発射場は、打ち上げたい会社にとって欠かせないインフラです。
今回、町が持つ発射場と関連施設の運営が、15年という長い期間にわたって民間企業に任されることになりました。

発表では、移行後の取り組みとして、ロケットの高頻度打ち上げの実現、LC1に続く射場整備の検討、世界の打上事業者から選ばれるスペースポートの構築を挙げています。
「高頻度」とは、打ち上げの間隔を短くして回数を増やすことを指します。
回数を増やすには、発射場側も機体の受け入れや準備を短い間隔で繰り返せる体制が要ります。

HOSPOは、民間の打上げ事業者や衛星の開発企業、大学・研究機関、政府機関を顧客として掲げています(出典:北海道スペースポート公式サイト)。
運営を担う会社が長期間変わらない形になったことで、こうした顧客との関係づくりや設備の計画を、同じ会社が継続して進められる体制になりました。
一方で、その体制が実際に打ち上げ回数の増加や顧客の獲得につながるかは、今後の運営実績を見て判断することになります。

今後の注目点

まず注目したいのは、発表で検討するとしたLC1に続く射場の整備が、どの規模・時期で具体化するかです。
あわせて、高頻度打ち上げに向けた運用体制が、実際の打ち上げ回数としてどう表れるかも確認したい点です。

もうひとつは、海外の打上事業者を含めた顧客の獲得です。
「世界中の打上事業者から選ばれる」という目標に対し、国内外のどの事業者がHOSPOを使うことになるのかが、15年間の運営の成果を測る材料になります。

出典

ほしまる
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