アストロスケール英国が英国国防省から約31億円の防衛案件を受注

株式会社アストロスケールホールディングスは2026年9月30日、英国の子会社Astroscale Ltd(以下、アストロスケール英国)が英国国防省から新しい防衛案件を受注したと発表しました。
契約は英国時間の9月29日に結ばれ、金額は1,500万ポンド(約31億2,000万円)です。

契約は複数年にわたる予定です。
英国国防省の要件により、提供するサービスの内容は公表されていません。

3行で分かるポイント

  • アストロスケールの英国子会社が、英国国防省と1,500万ポンド(約31億2,000万円)の契約を結びました。
  • 契約は複数年にわたり、売上は複数の事業年度に分けて計上される見通しです。
  • どのようなサービスを提供するかは、国防省側の要件により公表されていません。
目次

まず押さえたい背景

アストロスケールホールディングスは東京に本社を置き、2013年に設立された宇宙企業です。
事業の柱は「軌道上サービス」です。
これは、すでに宇宙空間を回っている衛星などに対して、宇宙空間で行うサービスを指します。
同社は2024年6月に東京証券取引所グロース市場へ上場し、日本・英国・米国・イスラエル・フランスに拠点を持っています(出典:Astroscale「About」)。

今回契約したアストロスケール英国は2017年に設立された英国の拠点で、オックスフォードシャー州ハーウェルにあります。
得意とするのは「ランデブー・近接運用」と呼ばれる技術です。
これは、高速で地球を回る衛星に別の衛星を近づけ、ぶつからないように距離を保ったまま動かす技術です。

両方とも秒速数kmで動いているため、相手との位置や速度のずれを精密に測りながら制御する必要があります。
同社はこの技術を、過去のミッションELSA-d(2021年)とADRAS-J(2024年)で実証してきました(出典:Astroscale「Astroscale Awarded £5.15M UK Defence Contract for Orpheus Mission to Enhance Space Situational Awareness」)。

英国国防省は、英国と海外領土の防衛を担う政府機関です(出典:GOV.UK「About us – Ministry of Defence」)。

何が発表されたか

アストロスケールホールディングスの発表によると、契約金額は税抜1,500万ポンドです。
円換算の約31億2,000万円は、2026年9月29日時点の1ポンド=208.54円で計算しています(出典:日本インタビュ新聞「アストロスケールHD、英国防省から31.2億円の新規防衛案件を獲得、複数年契約」)。

契約期間は複数年にわたる予定で、同社はこの売上を複数の事業年度に分けて計上する見通しです。
アストロスケール英国が提供するサービスの内容は、英国国防省の要件により非開示とされています(出典:SPACE CONNECT「アストロスケール英国、英国国防省から約31億円の防衛案件を受注」)。

業績予想は、会社が決算期の初めに公表する1年間の売上や利益の見込みです。
今回の契約は、2027年4月期通期の連結業績予想(子会社を含むグループ全体の見込み)の前提には含まれていません。
業績への影響については、同社が現在精査しています。

宇宙業界にとっての意味

アストロスケール英国と英国国防省の関係は、今回が初めてではありません。
2025年6月には、国防省の研究機関である国防科学技術研究所(Dstl)から、515万ポンドの「Orpheus(オルフェウス)」ミッションを受注しています。
Orpheusは、2機の小型衛星を近い間隔で並べて飛ばし、宇宙天気と宇宙空間の状況に関するデータを集めるミッションです。
宇宙天気とは、太陽の活動によって地球の周りの環境が変わることで、通信や測位に影響することがあります。

2026年4月8日には、設計が十分に固まったことを確認する審査「詳細設計審査(CDR)」を完了しました。
これにより、衛星を組み立てる段階へ進む準備が整いました。
打ち上げは2027年の予定です(出典:Astroscale「Astroscale UK Completes Critical Design Review for Orpheus Mission, Advancing UK Space Domain Awareness Capabilities」)。

Orpheusが目指す「宇宙状況把握」は、軌道上で何が起きているかを理解・予測し、対応できるようにする能力です。
今回の契約額1,500万ポンドは、Orpheusの515万ポンドの約3倍です。
内容は非開示のため、Orpheusと同じ分野の案件かどうかは判断できません。
それでも、同じ顧客から続けて契約を得ていることは、英国の防衛分野で同社の取引が広がっていることを示しています。

今後の注目点

今後の注目点は3つあります。

  • 業績予想への影響です。同社は影響を精査中としており、業績予想を修正するかどうかが次の確認点になります。
  • 売上をどの事業年度にどれだけ計上するかです。
  • 先行するOrpheusミッションが、予定どおり2027年の打ち上げに進むかどうかです。

今回の案件のサービス内容は非開示のため、今後、国防省や同社から追加の説明が出るかどうかも見ておきたい点です。

出典

ほしまる
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