NASAがSpaceXの有人輸送契約を9億4,600万ドル拡大

NASAは9月18日、宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)へ運ぶSpaceXとの契約を9億4,600万ドル増額したと発表しました。
追加されたのは、Crew-15、Crew-16、Crew-17の3回の飛行です。

これでSpaceXが請け負う飛行は合計17回、契約総額は59億2,000万ドルとなり、契約の実施期間は2030年までになりました(出典:NASA「NASA Awards SpaceX Three Crew Flights to Space Station」。以下、今回の契約に関する数値は同じ発表によります)。

3行で分かるポイント

  • NASAが、宇宙飛行士を国際宇宙ステーションへ運ぶSpaceXとの契約に9億4,600万ドルを追加し、飛行3回分を新たに発注しました。
  • 追加された3回の準備完了時期は2027年と2028年に置かれ、契約の実施期間は2030年までです。
  • SpaceXが担当する飛行は合計17回、契約の総額は59億2,000万ドルになりました。
目次

まず押さえたい背景

国際宇宙ステーションは、アメリカ、ロシア、ヨーロッパ、日本、カナダの宇宙機関が共同で運用する有人の施設です。
2025年11月2日には、人が連続して滞在し続けて25年という節目を迎えました。
運用は2030年まで続ける方針が示されており、その後の低軌道での活動は、民間が所有・運用する施設へ引き継ぐ計画です。

NASAは現在、宇宙飛行士を運ぶ宇宙船を自前では保有していません。
スペースシャトルの退役後に始めたコマーシャル・クループログラム(商業乗員輸送計画)では、企業が宇宙船を開発し、保有し、運用します。
NASAはその輸送を「サービス」として買う立場です。

2014年、NASAはこの方式の本契約にあたるCCtCap(商業乗員輸送能力契約)を、総額68億ドルでBoeingとSpaceXの2社に発注しました。
内訳はBoeingが42億ドル、SpaceXが26億ドルです。
Boeingはアメリカの航空宇宙大手で、本社はワシントンD.C.近郊にあり、737 MAXや787などの旅客機のほか、防衛・宇宙分野の装備や人工衛星を手がけています。

SpaceXがNASAの有人飛行に使う宇宙船はDragonで、NASAのミッションでは最大4人が搭乗します。
Falcon 9ロケットで打ち上げられ、自動でステーションにドッキングし、帰りは海に着水して回収されます。
SpaceXが有人輸送の認定を受けたのは2020年11月です。

何が発表されたか

今回の措置は、新しい契約ではなく、2014年のCCtCapを増額する変更契約です。
金額は9億4,600万ドルで、固定価格かつ納入時期・数量をあらかじめ確定しない方式が取られています。
固定価格方式では、実際の費用が見積もりを超えても、原則として請け負った企業側が差額を負担します。

この金額に含まれるのは、地上での運用、打ち上げ、軌道上での運用、帰還と回収、各回の貨物輸送、そしてステーションにドッキングしている間の「救命艇」機能です。
救命艇機能とは、飛行士を運んだ宇宙船が滞在の間ずっとステーションにつながれたままで、緊急時にはそれに乗って地球へ戻れる状態を保つことを指します。

契約総額の積み上がり方も分かります。
2022年8月にCrew-10からCrew-14までの5回を約14億3,600万ドルで追加した時点で、SpaceXとのCCtCap総額は約49億2,700万ドルでした(出典:NASA「NASA Awards SpaceX More Crew Flights to Space Station」)。
そこに今回の3回分が乗り、59億2,000万ドルに達したことになります。
現在はCrew-12の飛行士がステーションに滞在しています。

宇宙業界にとっての意味

要点は、ISSの運用が続く2030年までのアメリカからの有人アクセスが、まとめて押さえられたことです。
NASAは宇宙船を持たないため、必要な飛行の回数を買い増していく形になります。
今回の追加が新規開発ではなく既存契約の増額で済んでいるのは、この購入方式の性質をそのまま示しています。

NASAは、この変更によってSpaceXの飛行が17回になり、2社の民間パートナーとともにステーションへのアクセスを維持できるとしています。
CCtCapのもう一方のパートナーであるBoeingの飛行について、今回の発表は追加を扱っていません。
2社体制を掲げる方針と、実際に発注される飛行の配分は、現時点では一致していない状態です。

今後の注目点

次の節目は、追加された3回の準備完了時期にあたる2027年と2028年です。
契約の実施期間が終わる2030年は、ISSの運用を続けるとされている期限と重なります。

NASAは2030年より後の低軌道での活動を、民間が所有・運用する施設へ移す計画を示しています。
そこへ人をどう運ぶのかは、今回の契約の先にある論点です。

ほしまる

ドッキング中の救命艇っていうのは、港に着けた船を、乗ってきた人がいつでも乗り込めるようにそのまま浮かべておくようなものなんだよ。

出典

ほしまる
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