宇宙機の運用を手がける東京のスタートアップ、JAOPSが2026年10月1日、シードラウンドで総額2億6,000万円を調達したと発表しました。
引受先は、ベンチャーキャピタルのUntroD Capitalと、Midtown Frontier Fundです。
資金は運用体制の拡張と、同社にとって初めてのミッションコントロールセンター(宇宙機を地上から見守り、指令を送る管制拠点)の構築に必要なツールやシミュレーターの開発に使われます。
3行で分かるポイント
- 衛星などの運用を請け負う東京の会社JAOPSが、創業初期向けの出資で2億6,000万円を集めました。
- 集めたお金で、自社として初めての管制拠点を作るための道具や模擬装置を開発します。
- 運用の担当者を自前でそろえなくても宇宙機を動かせる「運用の請け負い」を広げる計画です。
まず押さえたい背景
衛星や探査機は、打ち上げたら終わりではありません。
地上から電波で機体の状態を受け取り、異常がないか見張り、撮影や軌道変更などの指令を送り続ける「運用」が要ります。
その仕事を行う部屋や設備がミッションコントロールセンター(MCC)です。
JAOPSは2023年11月に設立され、東京都新宿区に本社を置く宇宙運用企業です(出典:PR TIMES「JAOPS、UntroD CapitalとMidtown Frontier Fundよりシードラウンドで2.6億円を調達、宇宙ミッション運用の「Operations as a Service」実現へ」)。
衛星や宇宙ミッションの運用者に向けて、運用ツール、シミュレーター(機体の動きを地上で再現し、操作の練習や手順の確認に使う模擬装置)、管制設備を提供しています。
同社の公式サイトでは、運用ソフトウェアの設計・試験・導入・販売、衛星や無人機の運用、宇宙飛行士や運用チームの訓練を事業に挙げています。
共同創業者らは、国際宇宙ステーション(ISS)、地球観測、月着陸船や月面探査車のミッションでの実務経験を持つとしています。
出資した2社も紹介します。
UntroD Capitalは東京都港区に本社を置くベンチャーキャピタル(成長が見込まれる新興企業に出資する投資会社)で、2015年から「リアルテックファンド」の名で、社会課題を解く研究開発型のスタートアップに投資してきました。
Midtown Frontier Fundは、月への輸送を手がける上場企業ispace(月着陸船や月面探査車を開発する東京の会社)の創業メンバーを中心に立ち上げたファンドで、先端技術分野の創業初期の企業に投資しています。
何が発表されたか
調達額は総額2億6,000万円で、プレスリリースでは約170万米ドル相当と添えています。
ラウンドは「シードラウンド」で、これは事業がまだ立ち上げの段階にある企業が、最初期に外部から出資を受ける資金調達の区分です。
引受先はUntroD Capital Japanと、ミッドタウン・フロンティア・ファンド有限責任事業組合(運営協力:株式会社Midtown)です。
資金の使い道は、JAOPSの運用能力の拡張と、同社初のMCCの構築に必要なツールとシミュレーターの開発です。
JAOPSが掲げる事業モデルは「Operations as a Service(OaaS)」で、宇宙事業者が自社で運用チームや運用体制を整えなくても、信頼できる運用を受けられる仕組みを指します。
クラウドサービスで、サーバーを自前で持たずに必要な機能を借りるのと似た発想です。
運用システムにはオープンソースソフトウェア(設計図にあたるソースコードが公開され、誰でも使い改良できるソフトウェア)を使っています。
顧客は日本、スペイン、フランス、英国、韓国、米国の6か国にいます。
CEOのAlejandro Sela氏は、3大陸にわたる顧客から信頼を得られたのは、チームがひとつひとつのミッションで実績を積み重ねてきたからだとコメントしています。
宇宙業界にとっての意味
衛星を持つ事業者にとって、運用は打ち上げ後もずっと続く仕事です。
機体の監視、指令の計画、トラブルへの対応を担う人と設備を、自前で用意し続ける必要があります。
OaaSは、その部分を外部の専門会社に任せる選択肢を作るものです。
ミッドタウン・フロンティア・ファンド有限責任事業組合の中村貴裕氏は、宇宙インフラはミッションを安全かつ効率的に運用できて初めて価値を生むと述べ、JAOPSの6か国にまたがる顧客基盤はこのモデルがすでに実践されていることを示していると評価しています。
これまでJAOPSはツールや支援を提供する立場でしたが、自社のMCCを持てば、運用そのものを自社の拠点で引き受けられるようになります。
今回の調達は、その拠点づくりに向けた最初の一歩という位置づけです。
今後の注目点
最初に見たいのは、同社初のMCCがいつ、どこで稼働を始めるかです。
あわせて、そのMCCでどの顧客のどのような宇宙機を運用するのかも注目点になります。
JAOPSの公式サイトは、複数のミッションを同時に扱うMCCを世界各地に展開する構想を掲げています。
今回の1拠点目が、この構想にどうつながるのかも見ておきたいところです。
出典
- PR TIMES(株式会社JAOPS)「JAOPS、UntroD CapitalとMidtown Frontier Fundよりシードラウンドで2.6億円を調達、宇宙ミッション運用の「Operations as a Service」実現へ」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000158023.html
- JAOPS「About」 https://www.jaops.com/company/about
- JAOPS 公式サイト トップページ https://www.jaops.com
- UntroD Capital「About Us」 https://untrod.inc/en/about/
- 株式会社Midtown「About Us」 https://www.midtown-inc.com/about
- ispace 公式サイト トップページ https://www.ispace-inc.com/