2026年9月18日、パーソルマーケティングとamulapo(アミュラポ)は、神奈川県の宇宙分野の人材育成事業を共同で受託したと発表しました。
2社は、宇宙業界で求められるスキルを学ぶ全4回の研修と、県内の宇宙関連企業と働きたい人が出会うイベントを運営します。
研修は2026年10月8日に始まり、大学生、大学院生、社会人が無料で参加できます。
3行で分かるポイント
- 人材サービスの会社と宇宙の体験コンテンツ・イベントの会社が組み、神奈川県の宇宙人材育成事業を引き受けた
- 国が整理した「宇宙の仕事に必要なスキルの一覧」を使い、技術職と事務・営業などの職種の両方を扱う研修を全4回行う
- 最終回と同じ日に、県内の宇宙関連企業と就職・転職希望者が出会うイベントも予定されている
まず押さえたい背景
パーソルマーケティングは東京都新宿区に本社を置く会社です。
営業や販売の仕事を中心に、人材派遣(自社で雇った人を他社の職場へ送り出して働いてもらう仕組み)や、アウトソーシング(企業の業務を外部から請け負うこと)を提供しています。
amulapoも東京都新宿区に本社があり、2020年2月に設立されました。
xR(仮想現実などで現実にない体験を作る技術の総称)やロボット、AIを使った宇宙体験コンテンツの制作、宇宙をテーマにしたイベントの企画・運営、宇宙機器などの研究開発支援、地域で宇宙産業を生み出す取り組みの支援を行っています。
研修の土台になるのが「宇宙スキル標準」です。
宇宙スキル標準は、ロケットや人工衛星の研究・設計・開発・製造・打上げ・運用・デザイン・提供などに携わる人が身につけるべきスキルを、内閣府宇宙開発戦略推進事務局が定義・整理したものです(出典:内閣府「宇宙スキル標準について」)。
宇宙業界で働くのに、どのような力がどの仕事で必要になるのかをまとめた一覧表のようなものです。
試作版を経て、2026年2月に決定版が公表されました。
内閣府は、企業、自治体、教育機関などでの人材育成やキャリア形成に使われることを想定しています。
何が発表されたか
2社が受託したのは、神奈川県の「令和8年度宇宙スキル標準研修事業及び宇宙関連産業人材マッチング事業」です(出典:株式会社amulapo「パーソルマーケティングとamulapo、神奈川県の宇宙人材確保・育成事業を共同受託」PR TIMES。以下、事業の内容は同リリースによります)。
県のサイトでは「神奈川宇宙キャリア支援事業」という名前で案内されており、主催は神奈川県産業労働局産業部産業振興課です。
研修は全4回で、2026年10月8日から2027年2月中旬まで開かれます。
第1回は宇宙スキル標準の概要と、就職・採用活動での使い方を学びます。
第2回はプロジェクトマネジメント(計画、予算、人員を管理して開発を期限内に進める仕事)、設計・解析、製造・加工・試験、打上げや衛星の運用など、ものづくりの現場のスキルを扱います。
第3回は戦略、法務・知財(特許などの知的財産の管理)、財務・調達、人事、営業・マーケティングといった、技術職以外の仕事がテーマです。
第4回では、他業界から転職した人の経験などをもとに、参加者が自分の経験と宇宙の仕事のつながりを考えます。
各回は講義、パネルディスカッション(複数の登壇者が壇上で意見を交わす形式)、講師との交流会で構成されます。
会場は、第1回がbelle関内601、第2回と第3回がTECH HUB YOKOHAMA、第4回が川崎市産業振興会館です。
対象は神奈川県内に住む、働く、学ぶ人、または県内での就業を希望する大学生・大学院生・社会人です。
定員は各回50名程度で、参加費は無料、募集期間は2026年10月5日までです。
第4回と同じ日には、県内の宇宙関連企業と就業希望者をつなぐマッチングイベントも開かれる予定です。
役割分担は、パーソルマーケティングが会場運営と就業支援、amulapoが宇宙分野の知識と人脈を生かした研修・イベントの設計です。
宇宙業界にとっての意味
両社の発表は、内閣府がロケットや人工衛星の分野で人材が不足していると指摘していることを事業の背景に挙げています。
あわせて、業界の外にいる人には宇宙産業の仕事の中身やキャリアの道筋が見えにくく、参入をためらう心理的な壁があるとも述べています。
今回の研修は、この「中身が見えにくい」という点に、国の宇宙スキル標準という共通のものさしを使って取り組む形です。
第3回で法務、財務、人事、営業などを扱うことから、研修の対象はエンジニアに限られません。
県の案内でも、未経験者や文系の人も参加できると明記されています。
神奈川県には、JAXA宇宙科学研究所の相模原キャンパスや宇宙関連企業があり、県は人材の確保・育成に取り組んでいると両社は説明しています。
宇宙スキル標準の活用先として内閣府が挙げる自治体が、実際に研修の教材として使う例になります。
今後の注目点
直近の予定は、10月8日の第1回研修です。
マッチングイベントの詳細は2026年12月頃に公表される予定で、何社の県内企業が参加するのか、どのような職種の募集が並ぶのかが次の注目点になります。
もうひとつは、研修やイベントが実際の採用にどれだけつながるかです。
現時点で発表されているのは研修とイベントの実施内容までで、参加者の就職・転職実績などの成果は、事業が終わったあとの報告を待つ段階です。