米陸軍が宇宙専門の兵士の職種を新設し約3000人から600人超を選抜

2026年10月1日、アメリカ陸軍は、宇宙作戦を専門とする新しい職種「40D 戦術宇宙作戦スペシャリスト」を発足させました。
約3,000人の応募者から選ばれた600人超の兵士が、元の職種からこの新職種に移りました。
これまで将校だけの専門分野だった陸軍の宇宙作戦に、兵士の側にも専門の職種ができたことになります。

3行で分かるポイント

  • 米陸軍が宇宙作戦を専門にする兵士の職種を新しく作り、10月1日に600人超が移った
  • 応募は約3,000人で、陸軍は人数を当面約1,000人、2032年までに最大1,500人とする計画
  • これまで兵士は別の職種から一時的に宇宙の仕事へ回され、また元の職種に戻っていた
目次

まず押さえたい背景

今回の発表元は、アメリカ陸軍宇宙ミサイル防衛コマンド(USASMDC)です。
USASMDCは、陸軍の宇宙部隊とミサイル防衛部隊を編成・訓練・装備し、世界各地での作戦に送り出す組織です。
司令部機能は、アラバマ州のレッドストーン兵器廠とコロラド州コロラドスプリングスの2か所に分かれています(出典:U.S. Army「Army announces its service component command for U.S. Space Command」)。

ニュースを読むうえで欠かせないのが「MOS(軍事職種区分)」という言葉です。
陸軍では兵士一人ひとりに「通信」「防空」「情報」といった職種が割り当てられ、訓練の内容や配属先、昇進の道筋はこの職種によって決まります。

将校には、MOSとは別に「機能領域(Functional Area)」という専門区分があります。
宇宙作戦の将校区分「40A 宇宙作戦将校」は1999年から存在しています(出典:U.S. Army「Army announces new Space Operations Branch」)。

一方、兵士には宇宙専門の職種がありませんでした。
宇宙関連の任務は、防空砲兵・通信・軍事情報といった兵科の兵士が一時的に担当し、任期を終えると元の兵科へ戻っていました。
Payloadの記事は、この仕組みでは宇宙作戦の知識が部隊に残りにくかったと報じています。

何が発表されたか

陸軍は2026年6月12日に「宇宙作戦兵科」を発足させています。
兵科は、職種やキャリアをまとめて管理する陸軍の大きな区分です。
この兵科には、40A将校と、新しく作る兵士の職種40Dの両方が属しています。

40Dは2026年10月1日に発足し、600人超の兵士が元の職種からこの職種に移りました(出典:U.S. Army「Army codifies decades of space expertise, welcomes over 600 Soldiers to new Space Operations Branch」)。
USASMDCの最先任上級曹長リッキー・ジャクソン氏によると、応募は約3,000人あり、その中から600人超を選びました。
選ばれた兵士の出身は軍事情報・防空砲兵・通信が中心でしたが、40Dはほかの兵科の兵士も応募できます。

対象となる階級は、スペシャリスト(E-4)からサージェント・メジャー(E-9)までです。
現役だけでなく、州兵や予備役の兵士も応募できます。
応募の条件には、最高機密(Top Secret)の秘密取扱資格を取得できることが含まれます(出典:U.S. Army「Army seeks Soldiers to become space operations specialists」)。

訓練は、コロラドスプリングスにある宇宙ミサイル防衛センター・オブ・エクセレンスで行われます。
専門分野は、敵の衛星通信への対抗、成層圏での作戦、航法戦(GPSのような位置や時刻を知るための信号をめぐる攻防)、敵の偵察センサーへの対抗です。
40Dの中心となる任務は、電波などの電磁波を使って相手の作戦を妨げることと、宇宙からの脅威に対抗することです。
配属先は、陸軍で唯一の宇宙専門の旅団である第1宇宙旅団のほか、インド太平洋・中東・アフリカ・欧州を担当する各地の司令部などです。

宇宙業界にとっての意味

今回のニュースのポイントは、宇宙を「一時的に担当する仕事」から「専門職として続けるキャリア」に変えたことです。
6月の発表で陸軍は、宇宙関連のポストへ回していた兵士を元の兵科に戻せるため、防空砲兵・通信・軍事情報の各兵科の人手不足の緩和につながると説明しています。
USASMDC副司令官のドナルド・K・ブルックス准将は、27年間将校が担ってきた陸軍の宇宙作戦がこれで「標準化」されると述べています。

規模の面では、陸軍は40Dの定員を当面約1,000人とし、2032年までに最大1,500人まで増やす計画です。
人工衛星そのものを打ち上げ、運用する組織ではなく、地上部隊のすぐそばで衛星通信や測位の信号を扱う職種に、これだけの人数を割り当てています。
宇宙を使う能力が、陸軍の地上作戦の一部として定着しつつあることを示す動きです。

今後の注目点

今回移った600人超は、ここから訓練を受け、各地の部隊へ配属されていきます。
今後は、定員を計画どおり約1,000人まで埋められるか、そして2032年の最大1,500人に向けてどのような規模で募集が続くかが注目点です。

もうひとつは、兵科の整備が進むなかで、第1宇宙旅団や各地の司令部での運用がどう変わるかです。
陸軍は、40Dの兵士が40A将校と並んで宇宙作戦兵科の中核になると位置づけています。

出典

ほしまる
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