ExolaunchがSpaceXの帰還便Starfallを初めて予約

ドイツのExolaunchが、SpaceXの再突入カプセル「Starfall」で飛ぶ地球帰還ミッションについて、顧客の荷物をまとめて積み込む役割を引き受ける合意を結びました。

打ち上げは大型ロケットStarshipで、時期は2029年より早くはならない見通しです。
Exolaunchにとって、荷物を地球へ持ち帰るミッションも、Starshipを使う契約も初めてになります。

3行で分かるポイント

  • Exolaunchは、荷物を地球へ戻すカプセル「Starfall」1機分の荷物をとりまとめる役を引き受けます。
  • 積めるのは最大1,000kgで、バイオや医薬品、宇宙空間での製造に関わる荷物を想定しています。
  • Exolaunchはこれまで47回のミッションで790機を超える衛星を軌道へ送り出してきましたが、地球へ持ち帰る側の仕事は今回が初めてです。
目次

まず押さえたい背景

Exolaunchはドイツのベルリンに本社を置く会社で、人工衛星をロケットに載せ、軌道で切り離すまでの段取りを請け負っています。
衛星をロケットに固定する分離機構や、小型衛星を押し出す放出装置を自社で製造し、打ち上げ前の試験や輸送、通関、規制対応までまとめて引き受ける立場です。
このように、顧客とロケット会社の間に立って荷物のとりまとめを担う会社をインテグレーターと呼びます。

同社はこれまでに47回のミッションで790機を超える衛星を放出し、200を超える企業・機関を顧客に持ちます。
SpaceXがFalcon 9で運航するTransporterとBandwagonという相乗り(rideshare)の定期便には、2020年の開始以来すべてに関わってきました。
相乗りとは、1機のロケットに多数の小型衛星を同乗させ、打ち上げ費用を分け合う方式です。

一方のStarfallは、SpaceXが開発している荷物の帰還用カプセルです。
軌道から大気圏へ飛び込み、海に着水して中身を回収します。

大きく加速するための主推進装置は持たず、姿勢を変えるガス噴射と、減速用の3枚のパラシュート、炭素繊維の耐熱シールドで降りてくる設計です。
積める荷物は最大1,000kgで、荷物を含めた総重量は3,100kgになります。
2026年6月23日にはFalcon 9で試験機が打ち上げられました(出典:Spaceflight Now「SpaceX launches reentry capsule demo mission called ‘Starfall’」)。

何が発表されたか

今回の合意で、ExolaunchはStarfall 1機に顧客の荷物を積み込むペイロードインテグレーターを務めます。
技術面の調整だけでなく、輸送や運用の段取り、各国の規制への対応まで、顧客に代わって引き受ける役回りです。
カプセル内部で荷物を保持する機材については、自社で新たに作るか外部から調達するかを検討している段階にあります。

載せる荷物として想定しているのは、バイオテクノロジー、医薬品、宇宙空間での製造に関わるものです。
打ち上げ時期は「NET 2029」と示されています。
NETは「それより早くはならない」という意味の表し方で、2029年が最短であり、後ろにずれる可能性を含みます。

Exolaunchは2026年6月に、スウェーデンの投資会社EQTに買収されることでも合意しています。
EQTは運用資産総額2,690億ユーロの投資会社で、プライベート・エクイティ部門としては宇宙分野への投資が今回初めてです。
取引の完了は2026年第4四半期の見込みで、金額は公表されていません(出典:EQT「EQT to acquire Exolaunch」)。

PayloadのインタビューでExolaunchの最高マーケティング責任者Jeanne Allarie氏は、相乗り打ち上げを事業として成立させ規模も広げてきた実績を挙げ、EQTの後ろ盾を得たことで、手薄なこの市場に応えられると述べています。

宇宙業界にとっての意味

微小重力の環境では、地上とは違う性質の医薬品や材料を作れる可能性があるとして、宇宙での製造を事業にしようとする会社が現れています。
ルクセンブルクのSpace Cargo Unlimitedもその1社で、宇宙を工場として使い、医薬品や材料、農作物の改良につなげることを掲げています。
ただし、宇宙で作ったものを商品にするには、地球へ戻す手段が欠かせません。

Starfallは1機で1,000kgを持ち帰れます。
Space Cargo Unlimitedは2028年に飛ぶStarfall 1機分の1,000kgをすべて確保し、そのうち3分の1をすでに顧客へ販売しました。
これに対して今回のExolaunchの合意は、相乗り打ち上げで積み上げてきた「多数の顧客の荷物を1機に集める」やり方を、帰り便に持ち込む動きです。
少量の荷物しか出せない顧客でも、1機を丸ごと借りなくても帰還の機会を得られる形になります。

今後の注目点

直近では、EQTによる買収が2026年第4四半期に完了するかどうかが節目になります。
カプセル内部の保持機材を自社開発するか調達するかの判断と、実際にどの顧客の荷物が載るかの発表が、この計画の具体化を測る手がかりです。

Exolaunchは2027年と2028年にFalcon 9の専用便Exo-1とExo-2も確保しており、相乗りの枠売りから1機単位の運航へ事業を広げている途中にあります。
打ち上げ時期そのものは、Starshipが商業ミッションをどの時点で担えるようになるかに左右されます。

出典

ほしまる
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