米国のSpaceXは米国太平洋夏時間の2026年9月26日午前7時ごろ、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地からFalcon 9ロケットを打ち上げました。
米宇宙軍の機密任務「USSF-385」で、積み荷の詳細は公表されていません。
ロケットの1段目はこれが10回目の飛行で、打ち上げの約8分半後に太平洋上の無人船に着地しました(出典:Spaceflight Now「SpaceX Falcon 9 to launch classified mission for U.S. Space Force from West Coast」)。
3行で分かるポイント
- SpaceXのロケットが、米宇宙軍の機密任務の衛星をカリフォルニアから打ち上げた
- ロケットの下半分にあたる部分は10回目の飛行で、今回も海上の船に着地して回収された
- 積み荷は非公表だが、Starlinkの技術を活用した政府向け衛星ネットワークだと報じられている
まず押さえたい背景
米宇宙軍(U.S. Space Force)は米国の軍で、宇宙分野を担当しています。
今回のように、国の安全保障にかかわる衛星の打ち上げをロケット会社に発注しています。
任務名の「USSF」は宇宙軍の英語名の略です。
Falcon 9は、SpaceXが運用している2段式のロケットです。
ロケットは燃料を使い切った部分を切り離しながら加速します。
Falcon 9はその最初の部分(1段目、ブースターとも呼ばれます)を地球に戻して着地させ、次の打ち上げで使い回します。
使い捨てにせずに済むので、同じ機体で何度も飛べる点が大きな特徴です。
ブースターが着地する「ドローンシップ」は、海上で着地台の役目を果たす無人の船です。
今回、太平洋で待機していたのは「Of Course I Still Love You」という名前の船でした。
積み荷として報じられているのは「Starshield(スターシールド)」の衛星です。
Starshieldは、SpaceXの衛星インターネット網であるStarlinkの技術を活用した政府向け衛星ネットワークです(出典:Spaceflight Now)。
Starlinkは、多数の小型衛星を連携させて地上にインターネット回線を届けるしくみです。
何が発表されたか
打ち上げは、ヴァンデンバーグ宇宙軍基地の第4東発射施設(SLC-4E)から行われました。
現地メディアKEYTによると、打ち上げ可能な時間帯は9月26日の午前5時56分から午前8時56分までの3時間でした(出典:KEYT「USSF-385 Mission Scheduled for Early Saturday Launch From Vandenberg SFB」)。
予備日として9月27日も確保されていましたが、打ち上げは初日に行われました。
Spaceflight Nowによると、ロケットは濃い霧の中を離陸し、南向きの軌道をとっています。
1段目のブースター「B1100」は今回が10回目の飛行で、10回目の着地にも成功しました。
これまでに、機密の偵察任務「NROL-95」と、Starlinkの打ち上げ8回に使われています。
直前の飛行は8月22日のStarlinkの打ち上げで、そこから35日後の再飛行でした(出典:Teslarati「SpaceX completes another secret Pentagon launch, adding to suspected Starshield buildout」)。
積み荷の中身や数は、SpaceXも宇宙軍も明らかにしていません。
SpaceXは顧客の要請として、2段目と積み荷の映像を中継で流しませんでした。
Spaceflight Nowは、今回をStarshield衛星を打ち上げる一連の任務の3回目とみています。
同じシリーズとされる8月15日のUSSF-366と9月10日のUSSF-153では、それぞれ23機の衛星が軌道に投入されました。
9月17日のUSSF-259では約17機が、別の軌道へ投入されています。
宇宙業界にとっての意味
今回のポイントは、国の安全保障にかかわる機密の打ち上げでも、すでに9回飛んだブースターが使われたことです。
このブースターは、NROL-95とStarlinkの打ち上げ8回に使われ、今回で10回目の飛行となりました。
一般的に、ロケットの1段目は機体の中でも大きく高価な部分です。
これを約1か月で再び飛ばせることは、打ち上げの回数を増やすための土台になります。
宇宙軍からの受注の規模も大きくなっています。
Teslaratiによると、宇宙軍は2026年7月、2027年末までにヴァンデンバーグから行うFalcon 9の打ち上げ18回分として、16億ドルの発注をSpaceXに出しました。
同じ報道では、USSF-385はSpaceXにとって2026年の112回目の任務で、Falcon 9としては同年108回目の飛行でした。
SpaceXが打ち上げを請け負うだけでなく、その衛星もSpaceXの技術を基にしているとみられる点には注意が必要です。
この点を宇宙軍やSpaceXは公式には明らかにしておらず、Starshieldとの関係は報道各社の分析にとどまります。
今後の注目点
注目したいのは、今回の打ち上げで何機の衛星が軌道に入ったかです。
軍の機密任務でも、宇宙軍が公開している衛星のカタログに、打ち上げ後に登録される場合があります。
USSF-366とUSSF-153では、打ち上げ後に23機ずつ登録されたとTeslaratiは報じています。
今回の登録数や軌道が過去2回と同じかどうかで、報道されている「シリーズ3回目」という見方が確かめられます。
ヴァンデンバーグから機密任務を打ち上げるペースも追いたい点です。
今回は8月15日以降、同じ発射施設から4回目の宇宙軍の打ち上げでした。
7月に発注された18回分の打ち上げがどのような間隔で進むかは、次の任務の発表で見えてきます。
出典
- Spaceflight Now「SpaceX Falcon 9 to launch classified mission for U.S. Space Force from West Coast」
- KEYT(News Channel 3-12)「USSF-385 Mission Scheduled for Early Saturday Launch From Vandenberg SFB」
- Teslarati「SpaceX completes another secret Pentagon launch, adding to suspected Starshield buildout」
- KeepTrack「USSF-385 Caps 4 Starshield Launches in 43 Days, X Report 26 Sep 2026」