Hydrosatが熱赤外の新衛星Osirisを公開し広域観測へ

地表の温度を測る衛星を運用するアメリカのHydrosat(ハイドロサット)が、2026年9月16日、パリで新しい衛星群「Osiris(オシリス)」の計画を公開しました。
1機あたり25mの細かさで地表の熱を測りながら、一度に160〜340kmの幅を撮影する設計です。
最初の2機は2027年に打ち上げる予定としています。

3行で分かるポイント

  • Hydrosatが、地表そのものが出す熱を測る新しい衛星「Osiris」の計画を公開しました。
  • 熱の画像は25mの細かさで、一度に撮る幅は160〜340km。可視光と近赤外のセンサーも同じ衛星に載ります。
  • 最初の2機は2027年の打ち上げ予定。現在運用中の2機は1日あたり1,000万km²以上を撮影しています。
目次

まず押さえたい背景

Hydrosatは、アメリカの首都ワシントンD.C.に本拠を置き、熱赤外線の衛星データとその解析サービスを提供する会社です。
カリフォルニア州カールズバッド、ルクセンブルク、オランダのワーヘニンゲンにも拠点があります。
農業の水管理に使う「IrriWatch」と、熱の画像と解析を扱う「Discovery Platform」を提供しています(出典: Hydrosat「About Us」)。

熱赤外線の観測は、ふつうのカメラ衛星とは見ているものが違います。
可視光のカメラは太陽の光の反射を撮るため、夜は写りません。
熱赤外線のセンサーは、地表そのものが出している熱を捉えるので、夜でも観測できます。

水が足りない作物は葉から水を蒸発させる働きが鈍って温度が上がるため、地表の温度を測ると、見た目の色が変わるより早く水不足の兆候をつかめます。
Hydrosatは、熱赤外線のデータが持つこの性質を、農業や水管理、環境監視に使うサービスの核に置いています(出典: Hydrosat「Hydrosat Awarded NASA Commercial Satellite Data Acquisition Contract」)。

比較の目安として、地球観測衛星Landsat 8の熱赤外センサーは解像度が100m、観測幅は185kmで、同じ場所を撮り直すのは16日ごとです(出典: USGS「Landsat 8」)。

何が発表されたか

Osirisの熱赤外センサーは、3つの波長帯を使い、25mの解像度で、160〜340kmの幅を撮影します。
バンドとは、センサーが受け取る光を波長ごとに分けた区分で、数が多いほど地表の状態を細かく見分けられます。
各衛星にはもうひとつ、可視光と近赤外を9つのバンドで捉える解像度10mのセンサーが載ります。

観測は、陸地と沿岸を昼夜を問わず帯状に撮り続ける「ストリップマップ」という方式です。
衛星が進む方向に沿って切れ目なく撮影していく撮り方で、Hydrosatは解析にそのまま使える形のデータを数分以内に届けるとしています。

最初の2機の打ち上げは2027年の予定です。
共同創業者兼CEOのPieter Fossel氏は、340kmの観測幅によって政府や企業が地域全体を監視できるようになり、重要インフラの保護や安全保障の任務に必要な規模と精度を両立させると述べています。
すでに軌道上にあるVanZyl-1とVanZyl-2の2機は、累計で5億km²を超える画像を集め、1日あたり1,000万km²以上を撮影しています(出典: Hydrosat「Hydrosat Unveils Osiris Constellation, The Future of Thermal Intelligence」)。

宇宙業界にとっての意味

熱赤外線による地表観測は、これまでLandsatのような公的な地球観測衛星が担ってきた分野です。
そこへ民間企業が、より細かい解像度と高い頻度を売りにして入ってきている、というのが今回の発表の位置づけです。

実際に、政府側の調達も動いています。
HydrosatはNASAの商業衛星データ取得(CSDA)プログラムの契約を2026年6月24日に受注しました。
CSDAは、NASAが民間企業から地球観測データを購入し、NASAや米政府の資金で研究する人たちに使えるようにする仕組みです(出典: NASA「Commercial Satellite Data Acquisition Program」)。
この契約は複数社に発注枠を与える形式で、全体の上限額は4億7,600万ドル、期間は2028年11月までです。

海外政府との動きもあります。
2026年9月7日、Hydrosatはカザフスタンの国家宇宙インフラの開発・運用を担うKazakhstan Gharysh Sapary(KGS)と覚書を結びました。
覚書は正式契約の前に協力の方向性を確認する取り決めで、今回は中央アジア向けに自国専用の熱赤外衛星群をつくる技術面・運用面・商業面の道筋を検討する枠組みです。

今後の注目点

当面の節目は、2027年に予定されている最初の2機の打ち上げです。
そこに向けて、最終的に何機の衛星でコンステレーションを構成するのか、どのロケットで打ち上げるのかがどう示されるかが見どころになります。

もうひとつは、公開された25mの解像度と160〜340kmの観測幅が、軌道上の実際の運用でどこまで出るかです。
カザフスタンとの案件も、覚書の段階から正式な契約へ進むかどうかが次の確認点になります。

ほしまる

25mって、学校のプールの長さくらいの区画ひとつずつに温度の値がつく細かさなんだ。それが160km以上の帯でまとめて撮れるんだよ。

出典

ほしまる
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