Satrec Initiativeが10cm級の光学衛星を4機製造へ

韓国の衛星メーカーSatrec Initiative(サトレック・イニシアティブ)が、地表を10cm級の細かさで撮影する光学観測衛星を4機つくり、打ち上げる計画を明らかにしました。
パリで開かれた宇宙ビジネスの国際会議World Space Business Weekでの発言で、2026年9月17日にSpaceNewsが伝えています。
同じハンファグループのハンファシステムズが進める64機のレーダー衛星群と組み合わせ、レーダーと光学の両方で地球を撮る構想です。

3行で分かるポイント

  • Satrec Initiativeが、地表を10cm級の細かさで撮る光学観測衛星を4機つくり、打ち上げます。
  • ハンファシステムズが2026年7月に発表した64機のレーダー衛星群と組み合わせ、2031年までに同じ場所を30分ごとに撮り直す体制を目指します。
  • 10cm級の細かさを出すには高度400kmを下回る低い軌道が必要なため、まず高度500km付近の試験衛星から始めて少しずつ高度を下げます。
目次

まず押さえたい背景

Satrec Initiativeは、韓国の地球観測衛星メーカーです。
衛星本体のほか、地上設備、衛星画像の販売、AIによる画像解析までを手がけています(出典:Satrec Initiative「Company」)。
ハンファによれば、30年以上の技術経験と40を超える衛星ミッションの実績があります(出典:Hanwha「A clearer view from space」。以下、ハンファグループ内の関係も同ページによります)。
同社は韓国のハンファグループに属し、宇宙・航空・防衛を手がけるハンファエアロスペースが筆頭株主です。

ハンファシステムズは、同じハンファグループに属する防衛電子機器とICTの会社です。
暗視装置の生産から始まった防衛部門と、情報システムを担うICT部門を持ち、人工衛星向けには光学・赤外線とSARの両方のセンサーを供給しています(出典:Hanwha Systems「Company Overview」・Hanwha Systems「SPACE・AIR」)。

SAR(合成開口レーダー)は、衛星から地表へ電波を当て、跳ね返ってきた電波から画像をつくる装置です。
自分で電波を出すため太陽光が要らず、雲があっても夜でも撮影できます。
一方の光学衛星は、カメラで太陽光を受けて撮るので夜や曇天には弱いものの、色や形が人間の目で見たままに写ります。
この二つは、互いの弱点を補う関係にあります。

コンステレーションは、多数の衛星を連携させて運用する仕組みです。
衛星1機では同じ場所の上空に戻るまで時間がかかりますが、機数を増やすと撮り直しの間隔を短くできます。

何が発表されたか

Satrec Initiativeが示したのは、10cm級の光学画像を得る衛星4機の製造と打ち上げです。
同社が現在運用するSpaceEye-Tは解像度25cmで、2025年3月15日にFalcon 9で打ち上げられました。
25cmから10cm級へ、数値の上では2倍以上細かくなります(この比較は編集部によるもの)。

細かさを決める鍵のひとつが軌道の高さです。
カメラの性能が同じなら、地表に近いほど細かく写せます。
そこで4機は、高度400kmを下回る非常に低い軌道に置かれる計画です。

ただしこの高さには薄いながら大気が残っていて、衛星は空気の抵抗を受けて少しずつ高度を失います。
さらに、酸素分子が紫外線で分解されてできた原子状酸素が、衛星の表面を削ります。
このため計画では、まず高度500km付近に試験衛星を置き、少しずつ軌道を下げながらデータを取り、その結果を後続機に反映させます。

Satrec InitiativeのEugene Kim執行副社長は、超高分解能のSARと超高分解能の光学を組み合わせることで、防衛や情報の分野で衛星をサービスとして提供する新しい機会が開けると述べました。
画像の解析は、2018年7月にSatrec Initiativeから分社した子会社SI Analyticsが担います。
同社は大田を拠点に、AIで衛星画像を解析するプラットフォームを提供しています(出典:SI Analytics「Company」)。

宇宙業界にとっての意味

商用の地球観測では、光学画像の細かさが競争軸のひとつになっています。
欧州のエアバスは、フランスのトゥールーズに本社を置く航空宇宙企業で、旅客機やヘリコプターから防衛・宇宙システムまでを手がけています。
同社は20cm級の解像度を持つPléiades Neo Nextの初号機を、2028年初めにVega Cロケットで打ち上げる計画です(出典:Airbus「The first Airbus Pléiades Neo Next satellite will be launched early 2028」)。
Satrec Initiativeが目指す10cm級は、この水準をさらに上回る値です。

もうひとつの論点は、撮った画像をそのまま売るのではなく、解析した結果まで含めて提供する形です。
今回の構想では、レーダー衛星群と光学衛星、そしてSI AnalyticsのAI解析が一つの組み合わせとして語られています。
衛星の製造から画像の解析までを同じ企業グループ内で担う体制は、地球観測市場での売り方に関わる動きです。

今後の注目点

当面の焦点は、高度500km付近から始める試験衛星が、どこまで軌道を下げられるかです。
大気の抵抗と原子状酸素にどこまで耐えられるかが、10cm級の実現と衛星の寿命を左右します。

あわせて、64機のレーダー衛星群が2031年までに実現する30分間隔という目標に向けてどの程度の速さで配備されるかも、光学衛星4機が持つ意味を決める条件になります。
打ち上げ時期や機体ごとの仕様といった具体的な日程は、これからの発表で明らかになる段階です。

ほしまる

近づけば細かく撮れるけれど、その分だけ大気に削られてしまう。試験衛星はどこまで高度を下げられるんだろう?

出典

ほしまる
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