スペースXが米宇宙軍の機密ミッションUSSF-259を打ち上げ

スペースXは日本時間2026年9月17日10時07分(現地時間9月16日午後6時07分)、アメリカ宇宙軍のミッション「USSF-259」をファルコン9ロケットで打ち上げました。
射場はアメリカ・カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地で、発射台はSLC-4Eです。

搭載された衛星の名称や数、詳しい目的は公表されていません。
第1段ブースターは打ち上げから約8分半後に太平洋上の回収船へ着陸し、13回目の飛行を終えました。

3行で分かるポイント

  • アメリカ宇宙軍向けの打ち上げが成功しましたが、積まれた衛星が何機で何をするものかは公表されていません
  • この打ち上げは、アメリカ宇宙軍が安全保障の打ち上げをまとめて発注する契約枠によるもので、1か月で3回目です
  • 使われた第1段ブースターは13回目の飛行で、着陸にも成功しました
目次

まず押さえたい背景

アメリカ宇宙軍は、アメリカ軍のなかで宇宙分野の任務を担う組織です。
自分たちでロケットを運用するのではなく、打ち上げを民間企業に発注しています。
今回の打ち上げも、アメリカ宇宙軍の宇宙システムコマンド(SSC)が「国家安全保障宇宙打ち上げ(NSSL)」と呼ばれる調達の枠組み(フェーズ3レーン1の契約)を通じてスペースXに発注したものです(出典:Spaceflight Now「SpaceX launches national security payload for U.S. Space Force from Vandenberg」。以下、打ち上げの経過と機体の情報は同記事によります)。

安全保障の打ち上げでは、ロケットの飛行そのものは中継され、離陸時刻や着陸の成否は公開されます。
一方で、上に載っている衛星の名称・機数・目的は伏せられます。
これが「機密ミッション」と呼ばれる状態です。
外部から分かるのは、ロケットがどの方向へ飛び、どのあたりの軌道を目指したかという情報までにとどまります。

スペースXは、一般向けの衛星インターネット「Starlink」とは別に、政府の用途に向けた衛星事業「Starshield」を手がけています。
SpaceNewsは2024年6月、アメリカ国防総省が将来の軍用衛星通信の構成に、スペースXが製造・運用する政府所有の衛星「Starshield」を100機以上組み入れる計画だと報じました(出典:SpaceNews「Pentagon embracing SpaceX’s Starshield for future military satcom」)。
今回のUSSF-259に積まれたものがこの系統の衛星かどうかは、公表されていません。

何が発表されたか

打ち上げに使われたのはファルコン9ロケットです。
9月15日に予定されていた最初の打ち上げの試みは、推進剤の充填前に取りやめになり、翌日に実施されました。
ペイロードは低軌道(地球に近い高度を回る軌道)へ、赤道に対して約80度傾いた軌道に投入される計画とされています。

第1段ブースターの機体番号はB1097で、今回が13回目の飛行です。
これまでにNROL-172、Twilight、Transporter-17、Sentinel-6Bと、8回のスターリンク衛星の打ち上げに使われてきました。
打ち上げから約8分半後、太平洋上に展開したドローン船「Of Course I Still Love You」への着陸に成功しています。
この船への着陸は224回目、ファルコンのブースター着陸は通算661回目にあたります。

ミッションの中身については、公開されている文書のなかでUSSF-259が「TH-1」と記されている点が手がかりとして伝えられています。
同じ契約枠では、8月15日にUSSF-366、9月10日にUSSF-153が打ち上げられ、こちらは公開文書で「R1」「R2」と記され、それぞれ23機の衛星を積んでいました。
SSCは、これらのミッションの詳細について確認に応じていません。

宇宙業界にとっての意味

同じ契約枠での打ち上げが1か月で3回続いたことは、安全保障目的の打ち上げが例外的な行事ではなく、繰り返される業務になっていることを示しています。
衛星を1機ずつ大型ロケットで上げるのではなく、小型の衛星をまとめて低軌道へ運ぶ形が、直近2回の23機という機数から見て取れます。

もうひとつの要点は、機密扱いのペイロードに、13回飛んだ使用済みブースターが使われたことです。
再使用したブースターは、打ち上げ費用を抑えられる一方で、機体ごとに飛行の履歴が積み上がります。
その機体が軍の機密ミッションに充てられているという事実は、再使用機の扱いが安全保障の打ち上げでも受け入れられていることを意味します。

同時に、中身が公表されないミッションが増えるほど、外部から宇宙で何が起きているかを把握する手がかりは、公開文書の記号や軌道の追跡データに限られていきます。

今後の注目点

当面の焦点は、SSCがこのミッションについて追加の情報を出すかどうかです。
「R1」「R2」に続く「TH-1」という呼称が何の系統を指すのかは公表されておらず、軌道上に投入された衛星の機数や軌道も明らかにされていません。
あわせて、同じNSSLフェーズ3レーン1の契約枠で次にどのミッションが並ぶのか、そこでも使用済みブースターが使われるのかが、今後の打ち上げで確認できる点になります。

ほしまる

打ち上げの時刻や着陸の回数はここまで細かく分かるのに、上に載っているものは分からないんだね。公開と非公開の線は、どこに引かれているんだろう?

出典

ほしまる
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