再突入機を開発する米Inversionは2026年9月10日、惑星の大気で探査機を減速させて軌道に入れる「エアロキャプチャ(aerocapture)」の実証について、NASAから検討契約を受注したと発表しました。
自社の再突入機Arcを地球大気での実証に使えるかを調べます。
今回確認した公式発表とPayloadの報道では、契約額の記載は見つかりませんでした。
3行で分かるポイント
- NASAがInversionに、Arcを使ったエアロキャプチャ実証の検討契約を発注
- 検討範囲はミッション設計、空力、軌道解析、機体定義の4項目
- エアロキャプチャは数十年の研究を経ても飛行では実証されていない
何が発表されたか
Inversionはロサンゼルスに本社を置き、再突入機Arcを開発しています。
発表によると、今回の契約でInversionは、Arcがエアロキャプチャ実証をどう支えられるかを、ミッション設計、空力、軌道解析、機体定義の観点から検討します。
共同創業者兼CEOのJustin Fiaschetti氏は、Arcは宇宙から大気圏へ移る過程を精密に制御するよう設計されたと述べています。
同社はY Combinator、Spark Capital、Lockheed Martin Venturesから出資を受けています。
契約額と、発注したNASAの部門名は、いずれの資料にも記載がありませんでした。
宇宙業界にとっての意味
エアロキャプチャは、探査機が惑星の大気を制御しながら1回通過する間に空力で減速し、そのまま周回軌道に入る方式です。
推進剤を減らせる分、観測機器を増やしたり、使える打ち上げ機の幅を広げたり、飛行時間を短縮したりできると同社は説明しています。
一方で同じ発表は、数十年の研究を経てもエアロキャプチャは飛行で実証されたことがないとしています。
NASAは技術を成熟させるために地球での実証を目指しており、今回の検討はその前段にあたります。
地球への貨物輸送や防衛用途を掲げてきた再突入機が、惑星探査の技術実証の候補として名前が挙がった案件です。
今後の注目点
Payloadの報道では、Arcの初の軌道上実証は2027年以降に計画されています。
今回の契約は検討段階で、実証機の製造や飛行が決まったわけではありません。
Fiaschetti氏は、機動性のある再突入機であれば、他の惑星でのエアロキャプチャに相当する軌道を地球で飛べると述べています。
発表では、応用先として火星、天王星、海王星の探査が挙げられています。
検討結果を受けてNASAが実証機の調達へ進むかどうかが、次の分かれ目になります。
ほしまる大気を1回通り抜けるあいだだけで軌道に入るんだね。狙いを外したら、どうなっちゃうんだろう?