アメリカ宇宙軍が予算未成立で約1割の計画を進められないと説明

アメリカ宇宙軍のトップに就いたダグラス・シース氏(Douglas Schiess)が2026年9月15日、米メリーランド州で開かれた航空宇宙分野の年次会議で記者団に対し、議会の予算が成立しない状態が続けば、宇宙軍の計画のうち約1割は前に進められないと説明しました。
計画の約9割は前年度から続くもので、つなぎの予算措置のままでも継続できます。
一方、新しく始める計画は、議会が個別に例外を認めない限り着手できない状態にあります(出典: Breaking Defense「Budget impasse imperils 1 in 10 Space Force programs, new chief says」)。

3行で分かるポイント

  • アメリカ宇宙軍の計画の約9割は前年度から続くもので、つなぎの予算のままでも続けられる
  • 残る約1割は、正式な予算が成立するか、議会が個別に例外を認めない限り始められない
  • つなぎの予算の期限は12月中旬で、宇宙軍は2027会計年度に712億ドルを求めている
目次

まず押さえたい背景

アメリカ宇宙軍(U.S. Space Force)は、2019年に発足したアメリカ軍の組織です。
公式サイトでは、宇宙において、宇宙から、そして宇宙に向けて国の利益を守ることを任務に掲げています。
所属する隊員はガーディアン(Guardians)と呼ばれ、衛星の防護、軍事・人道活動の支援、宇宙への打ち上げ、GPSをはじめとする宇宙からのサービスの提供などを担っています(出典: U.S. Space Force「About the U.S. Space Force」)。

今回の発言の前提にあるのが、つなぎの予算措置です。
アメリカの会計年度は10月1日に始まりますが、それまでに正式な予算法が成立しないことがあります。
その場合、政府の活動を止めないために、前年度に認められていた内容の範囲で支出を続けさせる暫定的な措置が取られます。

この枠の中では、前年度に予算が付いていた計画はそのまま動かせます。
逆に、前年度になかった新しい計画は、議会がアノマリー(anomaly)と呼ばれる個別の例外を認めない限り、始めることができません。

発言の場となったのは、民間団体のAir & Space Forces Association(AFA)が9月14日から16日にかけてメリーランド州ナショナルハーバーで開いた年次会議「Air, Space & Cyber Conference」です。
AFAはバージニア州アーリントンに本部を置き、35万人を超える会員を擁する団体で、航空・宇宙分野の防衛力を支持する活動や、隊員とその家族の支援を掲げています(出典: Air & Space Forces Association「AFA Mission」・「Air, Space & Cyber Conference」)。

何が発表されたか

シース氏は2026年9月3日に就任したばかりで、チャンス・サルツマン氏(Chance Saltzman)の後任として、アメリカ宇宙軍で3人目のトップとなりました。

記者団への説明でシース氏は、宇宙軍の計画の約9割は前年度から続くもので、つなぎの予算のもとでも継続できるとしたうえで、残る約1割は新たな予算法かアノマリーがなければ進められないと述べました。
そのうえで、10月1日を迎えるにあたってつなぎの予算があることはありがたいが、正式な予算があればもっとありがたい、という趣旨の発言をしています。
今回のつなぎの予算は、12月中旬まで続く見通しです。

金額の面では、宇宙軍は2027会計年度に712億ドルを要求しています。
2026会計年度の400億ドルに対し、約1.8倍にあたる規模です。
人員については、2020年代の終わりまでに、ガーディアンと文民職員を合わせた規模をおよそ2倍の約2万人へ増やす方針が示されました。

同じ会議でシース氏は、ガーディアンが現在、宇宙を利用した攻撃から他の部隊を守ることができる軌道上の兵器を運用していると述べています。
これを公表することには、ロシアや中国の衛星の能力に対する抑止の意味があるという説明です。

宇宙業界にとっての意味

今回の状況の要点は、前年度から続く計画と、これから始める計画とで扱いが分かれるところにあります。
すでに動いている計画は止まらない一方、新しく始める計画は、正式な予算法か議会の個別の例外がなければ着手できません。
つなぎの予算のもとでは2026会計年度の内容の範囲で動くことになり、712億ドルという要求は議会の判断を待つ状態が続きます。

会議では、宇宙軍の最先任上級曹長を務めるジョン・ベンティベニャ氏(John Bentivegna)が、宇宙の管制や宇宙優勢といった新しい任務について、必要なシステムを開発して装備できるようにするための調達の仕組みを前に進める必要があると述べました。
新しい任務に向けて何をいつ始められるかは、議会の予算審議の進み方に左右される段階に入っています。

今後の注目点

当面の区切りは、つなぎの予算が続くとされる12月中旬です。
それまでに2027会計年度の予算法が成立すれば、止まっている約1割の計画に着手できるようになります。

成立しない場合は、対象の計画ごとにアノマリーが認められるかどうかが焦点になります。
あわせて、2020年代の終わりまでに約2万人という人員の目標に対して、予算の裏づけがどこまで得られるかも確認点になります。

ほしまる

「予算がまったく無いわけじゃなくて、去年と同じ範囲のまま、というのが分かりにくいところだね。新しく始めることだけができないんだ。」

出典

ほしまる
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