カザフスタンのBeelineがスターリンクでスマホ衛星通信を開始

カザフスタンの携帯電話会社Beeline Kazakhstanは2026年9月28日、人工衛星とスマートフォンを直接つなぐ通信サービス「Starlink Mobile」の提供をカザフスタンで始めました。
地上の携帯電話の電波が届かない山や遠隔地、都市の外の幹線道路などでも、アプリやメッセージを使えるようにするサービスです。

親会社のVEONが翌29日に発表しました。
提供を始めた段階では、Beelineの利用者は無料で使えます。

3行で分かるポイント

  • カザフスタンの携帯電話会社Beelineが、宇宙の衛星とスマートフォンを直接つなぐ通信サービスを始めました
  • 衛星電話や専用アンテナは不要で、いま使っているスマートフォンのまま使えます(現時点では対応するAndroid端末のみ)
  • 2025年11月の協力の取り決め、12月の試験を経て、一般の利用者が使えるサービスになりました
目次

まず押さえたい背景

Beeline Kazakhstanは、カザフスタンで携帯電話と家庭向けインターネットを提供している通信会社です。
携帯電話の利用者は1,180万人、固定インターネットの利用者は約100万人で、通信や金融、エンターテインメントの機能をまとめたスマートフォン向けアプリ「Janymda」も運営しています(出典:VEON「VEON’s Beeline Kazakhstan Becomes First Operator in Country to Launch Starlink’s Satellite to Mobile Service」)。

同社の株式の過半数を持つVEONは、5か国で携帯電話などの通信とデジタルサービスを提供している通信グループです。
米国のNASDAQに上場しており、2024年12月に本社をオランダのアムステルダムからアラブ首長国連邦のドバイへ移しました(出典:VEON「VEON Completes the Move of its Headquarters to Dubai」)。

ふつうのスマートフォンは、地上に建てられた基地局(電波塔)と電波をやりとりして通信します。
基地局から遠い山や草原では電波が届きません。
Starlink Mobileは、衛星を「宇宙にある基地局」として使う仕組みです。

VEONの発表によると、Starlink Mobileは地球の比較的近くを回る低軌道に650機の衛星を打ち上げ、6大陸の遠隔地にある端末へデータ、音声、動画、メッセージを届けています。
衛星には、電波を向ける方向を電子的に切り替えられるフェーズドアレイアンテナが積まれています。

利用者の側は、LTE(4Gとも呼ばれる携帯電話の通信規格)に対応したスマートフォンがあれば使えます。
地上の基地局よりはるかに遠く、しかも高速で動いている衛星と、小さなスマートフォンのアンテナで直接電波をやりとりする点に、この方式の難しさがあります。

カザフスタンは陸地面積が世界で9番目に広い国で、VEONの発表によれば、Beelineはこれまでも住民100人ほどの遠隔地の村に太陽光発電で動く基地局を置いてきました(出典:VEON「VEON’s Beeline Kazakhstan Partners with Starlink Direct to Cell to Launch Satellite Connectivity to Kazakhstan」)。

何が発表されたか

Beeline Kazakhstanは、同国の携帯電話会社として初めてStarlink Mobileのサービスを始めたと発表しました。
対象は、地上の携帯電話網が届かない場所でのアプリとメッセージの利用です。
空を広く見渡せる場所ほどつながりやすく、山や遠隔地、都市の外の幹線道路で使えるとしています。

利用の開始や設定は、アプリのJanymdaから行います。
提供を始めた期間は、利用者は無料で試せます。
Via Satelliteによると、現時点で使えるのは対応するAndroid端末で、ほかのOSへの対応も予定されています(出典:Via Satellite「Kazakhstan Population Gets Access to Starlink Connectivity Through Beeline」)。

サービス開始までの流れも示されています。
2025年11月、トカエフ大統領の米国公式訪問に合わせて、Beeline Kazakhstanとカザフスタンの人工知能・デジタル発展省がStarlinkと協力の覚書を結びました。
覚書は、正式な契約の前に、協力の方向性を確認するための取り決めです。

翌12月には最初の実地試験を行い、今回の一般向けの提供につながりました。
今回のサービスも、この省と連携して進めています。
Beeline KazakhstanのJabbor Kayumov最高経営責任者(CEO)は、国内で最初にStarlink Mobileを市場に出せたことを誇りに思うと述べています。

宇宙業界にとっての意味

これまで、衛星を経由して屋外で通話や通信をするには、衛星電話のような専用の端末が必要でした。
今回の方式は、衛星の事業者が利用者と直接契約するのではありません。
携帯電話会社が、自社の利用者に向けてサービスを提供する形です。

VEONは、Starlinkは宇宙の基地局のように働き、通常のローミング(海外で現地の通信会社の回線を借りて使う仕組み)の相手と同じような形で、携帯電話会社の網につなげられると説明しています。
衛星を運用する事業者にとっては、携帯電話会社がすでに持っている大量の利用者に、手元のスマートフォンのままで届けられる形になります。

VEONは2025年11月の時点で、Starlinkと複数の国を対象とした非独占の包括的な契約を結んだと発表しています。
ウクライナでは、グループのKyivstarがメッセージの実証を行っていました。
Via Satelliteは、カザフスタンが中央アジアで、衛星とスマートフォンの直接通信を試験から利用者向けのサービスへ進めた最初の国々のひとつだと伝えています。

VEONは用途として、救急や救助、道路や電気・ガス・水道などの保守、登山者や旅行者、遠隔地の現場で働く人を挙げています。
また、災害で地上の設備が壊れた地域で通信を保つ役割も示しています。

今後の注目点

まず注目したいのは、Android以外のOSへの対応がいつ始まるかです。
次に、無料の期間がいつ終わり、そのあとの料金がどうなるかです。
2025年11月の発表では、2026年にメッセージの提供を始め、そのあとにデータ通信を加える計画が示されていました。

今回は一部のアプリも使えるとされており、使える機能が今後どこまで広がるかも確認点です。
VEONはStarlinkと複数の国を対象にした契約を結んでいるため、ほかの市場でも同じサービスが始まるかどうかにも注目が集まります。

出典

ほしまる
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