ホワイトハウスが移転中の米宇宙コマンドの司令官にミラー中将を指名

米国のホワイトハウスは2026年9月29日(米国時間)、米宇宙軍のデビッド・ミラー中将を米宇宙コマンドの司令官に指名しました。
米宇宙コマンドは、宇宙での米軍の作戦を指揮する組織です。
いまは司令部をコロラド州からアラバマ州ハンツビルへ、段階的に移している最中です。
上院で承認されれば、ミラー氏は大将に昇進し、退役を控えるスティーブン・ホワイティング大将の後を継ぎます。

3行で分かるポイント

  • 宇宙での米軍の作戦を指揮する組織のトップに、宇宙軍のミラー中将が指名された
  • 上院で承認されれば大将に昇進し、2027年1月までに退役する見込みの現司令官と交代する
  • 司令部はアラバマ州へ移る途中で、移転は2031年に終える予定になっている
目次

まず押さえたい背景

米宇宙コマンド(U.S. Space Command、略称SPACECOM)は、米国防総省の「統合軍」のひとつです。
統合軍とは、所属の異なる複数の軍の部隊をまとめ、ひとつの指揮系統で作戦を動かす司令部のことです。
米宇宙コマンドは地上の装備や宇宙の装備を運用する各軍の部隊を世界規模で指揮します(出典:Defense News「White House nominates next general to helm US Space Command」)。

任務は、宇宙の能力を各軍や同盟国の部隊に提供することと、宇宙空間そのものを守ることです。
組織は2019年に再び設立されました。

ミラー氏が所属する米宇宙軍(U.S. Space Force)は、宇宙を専門とする米軍の軍種で、米宇宙コマンドとは別の組織です。
軍の階級は星の数で表され、中将は三つ星、大将は四つ星です。
米宇宙コマンドの司令官は四つ星の大将が務めます。
今回の指名は、ミラー氏を大将に昇進させるとともに、司令官に就けるという内容です。

新しい司令部が置かれるのは、アラバマ州ハンツビルにあるレッドストーン・アーセナルです。
この敷地には、陸軍資材コマンド、ミサイル防衛庁、NASAのマーシャル宇宙飛行センターなどが置かれ、ハンツビル地域にはすでに65の連邦機関が拠点を置いています(出典:ハンツビル市「U.S. Space Command Headquarters is moving to Huntsville」)。

何が発表されたか

ミラー氏を大将へ昇進させる指名の通知は、9月29日付の米連邦議会の議事録に掲載されました(出典:Air & Space Forces Magazine「White House Taps Miller to Lead US Space Command」)。
米宇宙軍の制服組トップであるダグラス・シース作戦部長は、SNSへの投稿で指名を祝っています。
投稿では、ミラー氏を統合軍の重要な指揮官ポストにふさわしい候補だと評価しました。

ミラー氏は2025年11月から、宇宙作戦部の副部長として戦略・計画・予算・要求性能を担当しています。
それ以前の2024年から2025年には、コロラド州ピーターソン宇宙軍基地に拠点を置く宇宙作戦コマンドの司令官でした。
この組織は2025年11月に「戦闘部隊コマンド」へ改称され、ミラー氏は改称前の最後の司令官にあたります(出典:Via Satellite「Miller Tapped to Head SPACECOM, Oversee Move To Huntsville」)。
さらにその前には、米宇宙コマンドで作戦・訓練・部隊育成を担当する部長を務めていました。
キャリアの初期には、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の運用要員や教官も経験しています。

現司令官のホワイティング氏は、2024年1月からこの職にあります。
2027年1月までに退役する見込みです。
ミラー氏が承認されれば、2019年の再設立以降で4人目の司令官となります。
宇宙軍出身の司令官としては3人目です。

宇宙業界にとっての意味

Via Satelliteは、ミラー氏が司令部移転を監督する立場になると報じています。
移転は2025年9月2日にトランプ大統領が発表したもので、米宇宙コマンドの約1,400の職がレッドストーン・アーセナルへ移ります。
期間は5年間です(出典:ハンツビル市)。
Via Satelliteによると、この移転をめぐっては、米議会で党派間の激しい対立が続いてきました。

国防総省が発表から1年の節目にまとめた資料では、すでに140人を超える軍人と文官がアーセナル内の3つの施設で働いています(出典:米国防総省「One Year In, U.S. Space Command Headquarters Relocation Moving Expeditiously to ‘Rocket City, USA’」)。
これは司令部全体の人員の約10%にあたります。
2028会計年度までに司令部の職員を900人超まで増やす計画です。
予算は、2026会計年度に機密情報を扱うデジタル基盤の整備に1億4,750万ドル、恒久的な指揮統制施設の計画と設計に5,700万ドルが充てられています。

移転を2031年に終える計画どおりに進めば、新しい司令官の在任期間は、人員の移転と施設の整備が進む時期と重なります。

今後の注目点

次の節目は、上院軍事委員会での指名承認公聴会です。
9月30日時点で日程は決まっていません。
委員会での審議を経て上院本会議で承認されれば、ホワイティング氏の退役に合わせて交代します。
退役の時期は、2026年末か2027年初めとされています。

移転では、2026年末までに約200人をアーセナルに置くことと、恒久的な指揮統制施設の整備がどこまで進むかに注目です。
コロラド州からの移転には議会で反対意見もあり、公聴会で移転の進め方が取り上げられるかどうかも見ておきたい点です。

出典

ほしまる
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