出光興産は2026年9月8日、米国のカリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)内に、宇宙用CIGS太陽電池の開発ラボを開設したと発表しました。
顧客との技術協議と試作・評価を米国側で行い、国内では2027年をめどに量産技術のベンチプラント立ち上げを進めています。
3行で分かるポイント
- 開設場所はUCSB内の産学官連携型イノベーション拠点「OASIS」
- ラボは技術協議・試作評価・信頼性実証を担い、市場ニーズを日本の研究開発拠点へ戻す
- 国内のベンチプラントは千葉県袖ケ浦市の次世代技術研究所内で2027年の稼働開始予定
何が発表されたか
開設場所は、UCSB内にある産学官連携型イノベーション拠点「OASIS」です(出典: 出光興産「米国に宇宙用CIGS太陽電池の開発ラボを開設」。以下、ラボと量産計画の記載は同リリースによります)。
OASISは宇宙関連企業が集まる地域にあり、実験スペースとオフィス環境が整備された施設と説明されています。
ラボが担う機能として、顧客および宇宙関連企業との技術協議、市場ニーズの把握と日本の研究開発拠点へのフィードバック、試作・評価および信頼性実証、技術解析と顧客課題に応じた技術提案の4つが挙げられています。
CIGS太陽電池は銅・インジウム・ガリウム・セレンを主成分とする化合物半導体を使う太陽電池で、同社は高い放射線耐性による長寿命と、レアメタルの使用量を抑えられる点を特徴としています。
宇宙業界にとっての意味
出光興産のCIGS太陽電池は材料自体の放射線耐性が高く、保護用のカバーガラスを省いた薄く軽い設計ができます。
低軌道(高度約700km)でカバーガラス無しの状態のまま、9年間にわたり出力特性を維持した実績を公表しています(出典: 出光興産「宇宙用CIGS太陽電池」)。
2025年にはJAXAの新型宇宙ステーション補給機HTV-X1のSDX実証装置に搭載されました。
量産技術の開発は、JAXAの宇宙戦略基金のテーマ「衛星サプライチェーン構築のための衛星部品・コンポーネントの開発・実証」に採択され、最大30億円の補助金を活用します(出典: 出光興産「JAXA『宇宙戦略基金』の補助金交付が決定」)。
今回のラボは、その量産技術の開発を、顧客がいる市場側の情報と結び付ける位置に置かれた形です。
今後の注目点
国内のベンチプラントは、千葉県袖ケ浦市の次世代技術研究所内の研究開発拠点に設けられ、稼働開始予定は2027年です。
出光興産は、ベンチプラント稼働後に市場環境と技術の進展を踏まえて本格的な量産設備の導入も検討するとしており、導入の時期や規模は今回のリリースでは示されていません。
開発ラボの投資額や人員規模についても、今回確認した公式リリースでは記載が見つかりませんでした。
米国の衛星メーカーとの技術協議が、どのような製品仕様として国内の量産技術に反映されるかが次の焦点です。
ほしまる宇宙の放射線は、太陽電池をじわじわ弱らせるんだ。ぼくも40年ぶんの旅で、パネルの出力が少しずつ落ちていくのを見てきたよ。