インフォステラが経産省事業でフィジーとソロモン諸島に地上局を建設

衛星と通信するための地上設備をサービスとして提供するインフォステラは、2026年10月5日に発表しました。
経済産業省の令和7年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業(大型実証 非ASEAN加盟国)」の補助を受け、フィジー共和国とソロモン諸島で地上局をつくる実証事業を始めます。
事業費は総額26億5,800万円を見込み、そのうち補助金額は13億2,900万円です。

  • 東京の宇宙ベンチャーのインフォステラが、南太平洋のフィジーとソロモン諸島に、衛星と交信するアンテナ施設をつくる
  • 地球を撮影する衛星の画像を、撮ってからすぐ地上へ届けられるかを試す。違法な漁業の監視に使えるかも確かめる
  • 事業費26億5,800万円のうち、半分の13億2,900万円を経済産業省の補助金でまかなう
目次

まず押さえたい背景

インフォステラは東京都新宿区に本社を置く、2016年1月設立の会社です。
周回衛星向けの「GSaaS(Ground Segment as a Service)」を提供しています(出典:PR TIMES「インフォステラ、経済産業省の『グローバルサウス未来志向型共創等事業(大型実証 非ASEAN加盟国)』に採択」)。
GSaaSとは、衛星と交信する地上設備を、衛星を運用する会社が自前で持たずに必要な分だけ借りて使える仕組みです。

ここでいう地上局は、衛星に指令を送ったり、衛星が撮った画像などのデータを受け取ったりする地上のアンテナ施設です。
衛星から地上へデータを送ることを「ダウンリンク」と呼びます。
地球の周りを回る周回衛星は、ひとつの地上局の上空を短い時間で通り過ぎます。
そのため、世界の様々な場所に地上局があるほど、衛星はデータを下ろす機会を多く得られます。

インフォステラの中心となる製品は、クラウド型の地上局プラットフォーム「StellarStation」です。
事業者ごとに異なる地上局の通信インタフェースを変換して統一し、世界中の地上局をクラウド上でまとめて運用できるようにしています。
衛星運用者は一度設定するだけで世界中の地上局を使えます。
地上局を持つ側は、自分の衛星と交信していない時間に他の衛星運用者へ貸し出し、収益にできます。

何が発表されたか

インフォステラが始めるのは「衛星による地球観測の即時性向上に資する地上局サービス実証事業」です。
実証の内容は次の3つです。

  • フィジーとソロモン諸島に地上局を建設し、StellarStationの地上局ネットワークに組み込む
  • 実際に周回している地球観測衛星の画像データを、撮影後すぐにダウンリンクする実証を行う
  • 厳しい現地環境での稼働率、即時性の向上と違法漁業監視などへの適用可能性、現地の無線行政への対応を、まとめて検証する

現地では2社が協力します。
Fintel社はフィジーの企業で、国際海底ケーブル事業や固定回線のインターネット接続事業を主に手がけています。
SATSOL社はソロモン諸島の首都ホニアラに拠点を置き、2010年に設立された地元資本の通信会社です。
インターネット接続サービスやデジタルテレビなどを提供しています(出典:SATSOL「About Us」)。

両社は、インフォステラが設置・運用する地上局を現地で受け入れるため、設置場所の準備や保守、運用支援を担当します。

インフォステラの倉原直美代表取締役は、太平洋島嶼国の地上局は日本の衛星事業者にとって重要度が高く、この地域での確保は同社の長年の課題だったとコメントしています。
一方で、気象条件や社会の安定性、高額な設置費用と維持費用といった理由から、単独で設置するのは難しい場所だったとも述べています。

宇宙業界にとっての意味

インフォステラは、太平洋島嶼国地域がこれまで地球観測用の地上局インフラの「空白地帯」だったと説明しています。
同社によると、気候変動で激しさを増す自然災害への素早い対応や、太平洋の違法漁業の監視で、衛星画像を準リアルタイム(撮影からほぼ時間を置かず)で受け取って使うことが世界的な課題になっています。
海の上の船の動きを把握する取り組みは「海洋状況把握(MDA)」と呼ばれます。

同社はこの事業の価値として、欧米企業や他国に頼らない日本主導の地上局設備を持ち、日本の「データ主権」を強めることを挙げています。
データ主権とは、自国のデータをどこで受け取り、誰が管理するかを自分たちで決められる状態を指します。
同社はさらに、日本の衛星事業者がアジア太平洋地域で画像を準リアルタイムにダウンリンクできるようにすることも挙げています。

また倉原氏は、民間だけではリスクの高い投資に政府の支援が入ったことで、海外展開に積極的に挑めるとしています。
事業費の半分を補助金でまかなう今回の枠組みは、民間単独では難しいとされてきた地域の地上局整備を、国の補助事業で進める例です。

今後の注目点

次の節目は、フィジーとソロモン諸島での地上局の建設と、StellarStationへの組み込みです。
そのあと、実際の地球観測衛星を使った即時ダウンリンク実証が行われます。
建設の完了時期や実証期間は公表されていません。

結果を見るうえでは、発表で検証項目に挙がっている3点が手がかりになります。
厳しい気象条件の中でどれだけ安定して動くか、違法漁業の監視などで商業的に使えるか、現地の無線に関する行政手続きに対応できるかです。
実証のあと、衛星事業者が使える商用サービスとして提供されるかも注目点です。

ほしまる

太平洋の真ん中で撮った画像は、近くにアンテナがないと、次に受け取れる場所まで衛星の中で待つことになるんだ。島にアンテナができると、その待ち時間がどう変わるのかな?

出典

ほしまる
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