SPACE COTANと三井住友海上が宇宙港のリスク管理で包括連携

北海道大樹町で商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」を運営するSPACE COTANは、2026年9月30日、損害保険会社の三井住友海上火災保険と包括連携協定を結んだと発表しました。
目的は、宇宙港のリスク管理を強めることと、宇宙産業に新しく参入する企業が挑戦しやすい環境を整えることです。
ロケット打上げへの保険の手配や、企業同士を引き合わせる支援などで協力します。

3行で分かるポイント

  • 北海道の宇宙港を運営する会社と大手損害保険会社が、幅広い分野で協力する協定を結びました。
  • 宇宙港の事業で起こりうるリスクを評価し、ロケット打上げに必要な保険の手配や相談に一緒に取り組みます。
  • 宇宙の仕事に新しく加わる企業を増やすため、企業同士を引き合わせる支援や情報交換も行います。
目次

まず押さえたい背景

SPACE COTANは、北海道広尾郡大樹町に本社を置き、2021年4月に設立された会社です。
宇宙港(ロケットの発射場や実験施設)の設計・建設・管理運営と、ロケットの打上げ支援を手がけています(出典:北海道スペースポート「About」)。

宇宙港は、空港の宇宙版にあたる施設です。
ロケットを打ち上げる射場や、機体を組み立て・試験する設備を、複数の事業者が使えるように整えて貸し出します。

HOSPOは大樹町にある民間に開かれた商業宇宙港で、2021年4月に本格稼働しました。
大樹町は東と南に海が広がり、射場を広げられる広い土地があります(出典:SPACE COTAN「SPACE COTAN、三井住友海上火災保険と包括連携協定を締結」。以下、HOSPOと協定の内容は同リリースによります)。

現在は、人工衛星の打上げに対応する射場「Launch Complex 1(LC1)」を整備中です。
その先には、打上げ回数を増やせる「LC2」、大型ロケットや有人ロケットに対応する「LCX」の構想があります。

三井住友海上火災保険は東京都千代田区に本社を置く損害保険会社です。
自動車・火災・傷害などの保険に加え、人工衛星の打上げで加入する宇宙保険を扱っています。
同社は1975年に日本で初めて宇宙保険の引受を始めました(出典:三井住友海上「宇宙保険特設コンテンツ」)。

宇宙保険には、打上げ前の地上でのロケットや衛星の損害、打上げから宇宙到達までの衛星の損害を補償するものがあります。
打上げや衛星の運用で第三者に損害を与えたときの賠償責任を補う「宇宙賠償責任保険」もあります。

何が発表されたか

両社が結んだのは「包括連携協定」です。
包括連携協定は、ひとつの取引を決める契約ではなく、幅広い分野で協力していく方向性を確認する取り決めです。
今回の協定の目的は「リスクマネージメントの強化および宇宙産業拡大に向けた参入環境の整備」とされています。
リスクマネジメントとは、事業で起こりうる事故や損失を洗い出し、起こりにくくする対策や、起きたときの備えを用意することです。

連携する項目は次の4つです。

  1. スペースポート事業に伴うリスクの評価・マネジメントと保険の手配
  2. SPACE COTANが支援するロケットの打上げに伴う保険手配、コンサルティング、リスクソリューション提供
  3. 「宇宙版シリコンバレー」の構築に向けたビジネスマッチング支援
  4. 関係各所を交えた情報交換

ビジネスマッチングは、技術や製品を持つ企業と、それを必要とする企業を引き合わせる取り組みです。
「宇宙版シリコンバレー」は、SPACE COTANが大樹町とともに掲げる目標で、宇宙関連の企業を北海道に集めることを指します。
協定に伴う金額や、保険商品の具体的な内容は発表に含まれていません。

宇宙業界にとっての意味

リリースによると、ロケットの高頻度な打上げと宇宙産業の発展には、多様な分野からの参入が欠かせません。
一方で、参入する企業には、事業リスクへの備え、事業者同士が連携する機会、制度面の支援といった、安心して挑戦できる環境が求められているとSPACE COTANは説明しています。
今回の協定は、このうちリスクへの備えと事業者同士の連携に、保険会社が加わる形で取り組むものです。

ロケットの打上げでは、機体の損傷だけでなく、落下物などで周辺の第三者に損害を与える可能性もあります。
宇宙港の運営者と保険会社が早い段階からリスク評価に関わることで、射場を使う事業者がどのような備えをすればよいかを整理しやすくなります。
HOSPOでは2025年7月に、台湾企業の日本法人「jtSPACE」が、海外資本としては国内初となるサブオービタルロケットの打上げを行いました。
利用する事業者が増えるほど、宇宙港側でリスクと保険の窓口を整える意味は大きくなります。

今後の注目点

当面の節目は、人工衛星の打上げに対応するLC1の整備です。
LC1が使えるようになれば、HOSPOで扱う打上げの規模が変わり、それに応じた保険やリスク評価が必要になります。

協定にもとづいて、打上げ事業者向けにどのような保険の手配や相談の仕組みが用意されるのか、具体的な形が今後の確認点です。
ビジネスマッチングによって、どの分野の企業が大樹町での事業に加わるのかも注目されます。

ほしまる

保険って、ロケットのどの段階のどんな損害まで面倒を見てくれるんだろう?打上げ前と宇宙に着いたあとでは、種類が分かれているんだよ。

出典

ほしまる
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