NASAは、アルバニア共和国がアルテミス合意に署名すると発表しました。
署名式は米東部夏時間9月21日の正午から、ワシントンのNASA本部で開かれます。
アルバニアは73か国目の署名国になる予定です。
アルテミス合意は、月や火星の探査を各国が安全に進めるための実務的な原則をまとめたもので、2020年に始まりました。
3行で分かるポイント
- アルバニア共和国が9月21日にワシントンのNASA本部でアルテミス合意へ署名し、73か国目の署名国になる予定です。
- アルテミス合意は、月や火星での活動について各国が共有する原則をまとめたもので、2020年に米国と7か国で始まりました。日本も最初の8か国のひとつです。
- 署名国は2025年11月に59か国、2026年5月に67か国と増え、9月14日にはジブチが72か国目として署名しました。
まず押さえたい背景
アルテミス合意は、月や火星、その先を探査する国々が、安全性と透明性を保ち、互いに調整しながら活動するための原則集です。
NASAは、政府と民間企業の双方で月面活動への関心が高まったことを受けて作られた、この種の実務的な原則としては最初のものだと説明しています(出典:NASA「Artemis Accords」)。
策定したのは米国とNASA、米国務省、それに創設メンバーの7か国です。
署名が始まったのは2020年10月13日で、このとき署名したのは米国のほか、日本、カナダ、英国、イタリア、オーストラリア、ルクセンブルグ、UAEでした。
内閣府は、この合意を「アルテミス計画を念頭に、宇宙探査・利用を行う際の諸原則について各国の共通認識を示す宣言」と説明しています(出典:内閣府「アルテミス合意へ署名」)。
つまり条約ではなく、各国が同じ原則を共有していることを示す文書という位置づけです。
主な原則は10項目に分かれています。
平和目的での活動、探査計画の公開(透明性)、相互運用性、遭難した宇宙飛行士への援助、宇宙物体の登録、科学データの公開、歴史的な遺産の保護、宇宙資源の採取と利用、活動の干渉回避、軌道上のデブリ(宇宙ごみ)対策です。
このうち相互運用性とは、各国が別々に作った機器や手順を、組み合わせて使えるようにしておくことを指します。
規格がそろっていなければ、近くで活動していても互いの装置を使い回せません。
干渉回避には「セーフティゾーン」という考え方が盛り込まれ、活動が重ならないよう互いに配慮して調整することが求められています。
何が発表されたか
署名式は米東部夏時間の9月21日正午から、ワシントンのNASA本部で開かれます(出典:NASA「NASA Invites Media to Albania Artemis Accords Signing Ceremony」)。
NASA副長官のMatt Anderson氏が主催し、アルバニアの欧州・外務大臣であるFerit Hoxha氏と、駐米大使のErvin Bushati氏を迎えます。
米国務省の関係者も同席します。
式典は対面のみで、報道機関の参加申し込みは当日の午前10時までと案内されています。
直前の署名は、その1週間前でした。
ジブチ共和国が9月14日にNASA本部で署名し、72か国目、アフリカでは8か国目の署名国になっています。
この式典もAnderson氏が主催しました。
NASAの発表では、Anderson氏はジブチの署名にあたり、トランプ大統領がNASAに対して、アメリカ人を月面へ戻し、月に持続的な拠点を築き、火星への有人探査の基礎をつくるよう指示していると述べています。
アルバニアが予定どおり署名すれば、署名国は73か国になります。
宇宙業界にとっての意味
署名国が増えることの意味は、月面で活動が重なったときに参照できる共通の前提が、それだけ広い範囲で共有されることです。
探査計画を公開する、科学データを公開する、デブリを出さないよう計画する、他国の活動を妨げない。
こうした項目に同意した国が増えれば、事前に連絡を取れる相手と、その際に持ち出せる共通の物差しが増えます。
日本は最初に署名した8か国のひとつで、月面での活動を計画する国や企業が増えるほど、この枠組みで調整できる範囲も広がります。
ただし、原則を文章として共有するだけでは、実際の運用手順までは決まりません。
2026年5月にはペルーのリマで4回目となる年次ワークショップが開かれ、30か国の関係者とNASA、米国務省の担当者が集まりました。
議題は月面での非干渉、相互運用性、科学データの共有、デブリ低減で、技術的な議論と机上演習が行われています。
このときの署名国は67か国でした。
今後の注目点
まず、9月21日の式典が予定どおり行われ、アルバニアが73か国目となるかどうかです。
次に、署名国の増え方です。
2025年11月に59か国、2026年5月に67か国、9月14日に72か国と推移してきました。
そのうえで見ておきたいのは、原則を実際の月面運用にどう落とし込むかという作業です。
年次ワークショップで扱われている非干渉や相互運用性、データ共有の具体化が、今後の月面計画にどう反映されるかが、次に確認すべき点になります。
ほしまる原則に署名する国が73にもなると、次は月面での実際の手順にどう落とし込むかだね。ぼくも結果を待っているよ。
出典
- NASA「NASA Invites Media to Albania Artemis Accords Signing Ceremony」
- NASA「Artemis Accords」
- NASA「NASA Welcomes Djibouti as Newest Artemis Accords Signatory」
- NASA「NASA Joins Artemis Accords Workshop as Global Signings Rise」
- NASA「NASA Celebrates Five Years of Artemis Accords, Welcomes 3 New Nations」
- 内閣府「アルテミス合意へ署名」