JAXAは2026年9月18日、宇宙戦略基金の技術開発テーマ「(追加公募)高頻度打上げに資するロケット部品・コンポーネント等の開発」の公募を始めました。
ロケットに使う部品を数多く安く作るための技術開発を、補助という形で支援します。
締切は2026年11月19日正午で、採択結果の通知・発表は2027年3月頃の予定です。
3行で分かるポイント
- JAXAの宇宙戦略基金が、ロケット部品を量産しやすく軽く安くする技術開発の公募を、2026年9月18日に追加で始めました。
- 同じテーマの最初の公募では2025年11月に5件が採択され、うち札幌市のMJOLNIR SPACEWORKSは4年間で上限約18億円の支援を受けると発表しています。
- 基金は2030年代前半に国内の打上げ能力を年間30件程度確保する目標を掲げており、今回の公募はその輸送分野に置かれています。
まず押さえたい背景
宇宙戦略基金は、JAXAに設置された総額一兆円規模の基金です。
「輸送」「衛星等」「探査等」の3分野で、民間企業や大学等が複数年度(最大10年)にわたって技術開発に取り組めるよう資金を配分します。
JAXA自身が研究するのではなく、宇宙分野の資金配分機関として外部の開発を支える仕組みです(出典:JAXA宇宙戦略基金「宇宙戦略基金について」)。
輸送分野には数値目標が置かれています。
基金の基本方針は「2030年代前半までに、基幹ロケット及び民間ロケットの国内打上げ能力を年間30件程度確保」をKPI(目標の達成度を測る指標)として掲げています。
打上げの回数を増やすには、ロケットの機体をその回数だけ用意することになります。
機体は、タンクやバルブ、制御装置といった多数の部品と、それらをひとまとまりの機器にした装置(コンポーネント)の集まりです。
今回のテーマが対象にしているのは、この部品・コンポーネントの側です。
支援は「補助」の形で、事業者が進める開発の費用を基金が負担する枠組みになります。
何が発表されたか
公募期間は2026年9月18日から2026年11月19日正午までです。
テーマの目標は「国際競争力のある高頻度打上げを実現するロケット部品・コンポーネント等の量産化・小型軽量化・低コスト化等の技術開発を支援」することで、目指す姿として国内衛星打上げ需要を満たす高頻度打上げ体制と、宇宙輸送システムにおける自律的かつ持続的なサプライチェーンの構築が挙げられています(出典:宇宙戦略基金「(追加公募)高頻度打上げに資するロケット部品・コンポーネント等の開発」)。
審査日程は、一次審査(書面)が2026年12月上旬から2027年1月下旬、二次審査(ヒアリング)が2027年2月頃、結果通知・発表が2027年3月頃です。
このテーマは宇宙戦略基金の第二期に属します。
最初の公募は2025年5月16日から7月17日正午まで行われ、2025年11月21日に5件が採択されました。
今回は「追加公募」として、同じテーマでもう一度提案を募る形です。
宇宙業界にとっての意味
最初の公募で採択された1件を見ると、支援の規模が分かります。
株式会社MJOLNIR SPACEWORKSは北海道札幌市に本社を置く2020年設立の企業で、航空機や宇宙機器、飛翔体および関連機器の設計・製造を手がけています。
固体のプラスチック燃料と液体の酸化剤を使うハイブリッドロケットエンジンや、溶接をせずに作る宇宙用タンクを開発してきました。
同社は「超軽量気蓄器のシステム設計技術の構築および製造プロセスの開発」で採択され、4年間で上限約18億円の支援を受けると発表しています。
気蓄器は高圧のガスをためておく容器で、同社は気蓄器やタンクをロケットの大部分を占める重要部品と説明しています。
機体を繰り返し作るには、部品を供給する企業の側でも量産に対応することになります。
基金がこのテーマで「自律的かつ持続的なサプライチェーンの構築」を掲げているのは、その供給側を国内に確保するためです。
今回の追加公募は、部品・コンポーネントを担う企業への資金供給を、同じテーマでもう一段広げるものになります。
今後の注目点
次の節目は2027年3月頃の結果通知・発表です。
どの部品・コンポーネントが支援対象に選ばれるかによって、国内のロケット供給網のどこを補強しようとしているかが見えてきます。
前回の採択では、支援の上限額と期間は採択された企業側の発表で示されました。
今回も、採択後に各社がどのような規模と期間で開発を進めるかが確認する点になります。
あわせて、2025年11月に採択された5件が量産化や軽量化をどこまで進めるかも、年間30件程度という打上げ能力の目標を見るうえでの材料です。
ほしまるロケットの話だと機体に目が行くけれど、毎年そろえる部品の数はどれくらいになるんだろう?