NASAのアルテミス合意にコートジボワールが75カ国目として署名

西アフリカのコートジボワールが2026年9月24日、アルテミス合意に署名しました。
アルテミス合意は、月や火星の探査を平和的で透明な形で進めるために、NASAとアメリカ国務省が各国と共有する共通の原則です。
NASAによると、コートジボワールは75番目の署名国です。

3行で分かるポイント

  • コートジボワールが、月や火星の探査の進め方を定めた国際的な共通ルール「アルテミス合意」の75番目の署名国になりました
  • 署名式は同国最大の都市アビジャンで開かれ、同国の高等教育・科学研究大臣が署名しました
  • NASAは、署名によって月探査でNASAと協力する機会が開けるとしています
目次

まず押さえたい背景

アルテミス合意は、2020年にNASAとアメリカ国務省が、ほかの7つの創設国とともに立ち上げた枠組みです。
政府や民間企業による月での活動への関心が高まってきたことを受けて作られました。
NASAは、月や火星の探査を進める国々の間で、透明性・安全性・調整を高めるための初めての実務的な原則だと説明しています(出典:NASA「NASA Welcomes Côte d’Ivoire as Newest Artemis Accords Signatory」)。

中身は、宇宙で活動するときの「お互いの約束ごと」です。
NASAの合意紹介ページでは、平和目的での利用、活動の透明性、機器どうしをつなげられるようにする相互運用性、緊急時の支援、宇宙に打ち上げた物体の登録、科学データの共有、歴史的な着陸地点などの保護、宇宙資源、ほかの国の活動とぶつからないようにする調整、宇宙ごみ(役目を終えた衛星や破片など)の抑制が挙げられています(出典:NASA「Artemis Accords」)。
同ページは、この合意が宇宙条約などの既存の国際約束へのコミットメントを強めるものだとしています。
宇宙条約は、宇宙活動の基本原則を定めた国際条約です。

今回署名したコートジボワール側で宇宙政策を担うのが、コートジボワール宇宙機関(ASCI)です。
同国の高等教育・科学研究省によると、ASCIは2025年5月に創設され、本部は国立工科大学フェリックス・ウフェ=ボワニ校に置く予定です。
同省は、まず国内の宇宙分野の専門家を育成し、その先で同国初の超小型衛星(キューブサット)の開発につなげる方針を示しています(出典:コートジボワール高等教育・科学研究省「Agence spatiale de Côte d’Ivoire」)。
キューブサットは、一辺10cmほどの立方体を単位として組み立てる小さな人工衛星で、大学や新しく宇宙に参入する国でも比較的取り組みやすい衛星の形式です。

何が発表されたか

NASAの発表によると、コートジボワールは9月24日(木曜日)にアルテミス合意に署名しました。
署名式は同国最大の都市アビジャンで、アフリカの宇宙関連展示会「Africa Space Expo ASPEX 2026」の会期中に開かれました。
同国を代表して署名したのは、高等教育・科学研究大臣のアダマ・ディアワラ氏です。
アメリカ国務省のジュナイド・ムニール臨時代理大使が式に立ち会いました。

NASAのマット・アンダーソン副長官は、アメリカとコートジボワールはすでに地上で協力しており、今回その協力を地球の外へ広げると述べました。
さらに、合意への参加によって両国の科学者や技術者、研究機関がともに取り組む新しい機会が開けるとしています。

コートジボワール宇宙機関のティディアン・ウアタラ長官は、今回の署名は大きな成果であり、同国の目標にとっても、アフリカ連合(アフリカの国々が加盟する地域機構)のほかの加盟国にとっても重要だと述べています。

宇宙業界にとっての意味

アルテミス合意は、NASAが進める「アルテミス計画」とつながっています。
アルテミス計画は、人類を再び月面に送り、その先の火星探査への足がかりにすることを目指す計画です(出典:NASA「Artemis Accords」)。
NASAは発表の中で、合意に署名した国には、NASAとともに将来の月探査に取り組む機会が開けるとしています。

月で活動する国や企業が増えると、着陸地点が近くなったり、同じ場所の資源に関心が集まったりする場面が出てきます。
合意の項目に「活動の調整」や「宇宙資源」「宇宙ごみの抑制」が入っているのは、こうした場面での振る舞いをあらかじめ共有しておくためです。
政府だけでなく民間企業の月面活動への関心の高まりが、合意が作られた理由のひとつとして挙げられていることからも、署名国の広がりは月面ビジネスを考える企業にとって無関係ではありません。

今回の署名国は、2025年に宇宙機関を創設したばかりの国です。
宇宙開発の実績が大きい国だけでなく、これから人材育成や衛星開発を始める段階の国も枠組みに加わっている点が、今回のニュースの特徴です。

今後の注目点

ひとつ目は、コートジボワールが署名を具体的な協力にどうつなげるかです。
アンダーソン副長官は、原則で合意したあとは実際の作業に取りかかれると述べていますが、どの分野で何をするかは今回の発表には含まれていません。

ふたつ目は、ASCIの体制づくりです。
高等教育・科学研究省は、専門家の育成を皮切りに、1U(10cm角ひとつ分)のキューブサットから始め、3U(10cm角3つ分)へ段階的に進める計画を示しています。
署名がこの人材育成や衛星開発の計画とどう結びつくかが、次に確認すべき点です。

三つ目は、ウアタラ長官が触れたアフリカ連合のほかの加盟国の動きです。
今後、アフリカからの署名がさらに続くかどうかも注目されます。

出典

ほしまる
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