米空軍が無人機から基地を守る点防衛の兵器システムと新職種を発表

米空軍のケン・ウィルズバック空軍参謀総長は2026年9月14日、無人機(ドローン)やミサイルから空軍基地を守る「点防衛」について、新しい兵器システムと専用の職種を設けると発表しました。
新しい職種は2年以内に運用を始める計画です。

米空軍と米宇宙軍を支える団体が首都ワシントン近郊で開いた年次会議の場での発表です。

  • 米空軍が、基地をドローンやミサイルから守る仕事を、空軍の中心的な任務のひとつに位置づけ直しました
  • 物理的に撃ち落とす手段と、電波などで無力化する手段をまとめた「点防衛兵器システム」をつくります
  • 基地防衛を専門にする隊員の職種を新設し、2年以内に運用を始める計画です
目次

まず押さえたい背景

米宇宙軍は、2019年12月に発足した米軍の軍種です(出典:米国家情報長官室「U.S. Space Force」)。
宇宙軍は空軍省の中に置かれていて、空軍長官が全体の責任を負います。
宇宙で米国と同盟国の利益を守り、宇宙の能力を軍全体に提供するための部隊を編成・訓練・装備することが役割です。
今回発表した米空軍も同じ空軍省に属するため、両軍は同じ組織の傘下にあります。

発表の場は、エア・アンド・スペース・フォーシズ協会(AFA)が主催する「エア・スペース・アンド・サイバー会議」です。
AFAは米バージニア州アーリントンに本部を置く非営利団体で、米空軍と米宇宙軍の強化を訴え、隊員とその家族を支援しています(出典:Air & Space Forces Association 公式サイト)。

「点防衛(ポイント・ディフェンス)」は、広い空域全体ではなく、基地のような特定の場所を狙ってくる攻撃から、その場所を守る防衛を指します。
守る対象を「点」に絞る考え方です。
今回の発表で対象として示されたのは空軍基地で、脅威として小型のドローンから巡航ミサイルまでが挙げられています(出典:Stars and Stripes「Air Force to add career field to strengthen defenses against attacks on bases」)。
巡航ミサイルは、翼とエンジンで飛行機のように低い高度を飛び、目標に向かうミサイルです。

何が発表されたか

ウィルズバック参謀総長は会議の講演で、点防衛を「片手間の仕事として扱うことはもうできない」と述べました(出典:Air & Space Forces Magazine「Air Force Leaders Say Point Defense Is No Longer ‘Side Hustle,’ Eye Acquisition Changes」)。
発表の柱は次の2つです。

ひとつ目は「点防衛兵器システム」の確立です。
キネティック(運動エネルギー型)の手段と、ノンキネティック(非運動エネルギー型)の手段をまとめ、空軍基地を守るとしています(出典:Defense News「US Air Force to stand up point defense career field within 2 years, Wilsbach says」)。
キネティックは弾を当てるなど物理的に壊す方法で、ノンキネティックは電波で操縦信号を妨害するなど、壊さずに無力化する方法です。
兵器システムの具体的な構成は、この発表では示されていません。

ふたつ目は、点防衛を専門とする隊員の新しい職種です。
職種は2年以内に運用を始める計画で、職種全体の人事や育成を担う管理者として、上級曹長2人がすでに選ばれています。

米空軍はこの1年、基地をドローンから守る仕組みづくりを進めてきました。
人工知能(AI)を使った探知システム、電子戦(電波を使って相手の機器を妨害する戦い方)、ドローンを物理的に撃ち落とす兵器などを試してきたと報じられています(出典:Task & Purpose「Air Force to create new career field to defend bases from drones and missiles」)。

同じ会議で、トロイ・E・ミンク空軍長官は、点防衛専用の「ポートフォリオ調達責任者(PAE)」を将来置く考えを示しました。
PAEは、ある分野の装備の調達をまとめて担当する責任者のポストです。
ミンク長官は、すぐに置くわけではないものの、その方向に向かっていると述べています。

宇宙業界にとっての意味

今回の発表は、宇宙機そのものではなく、地上の基地を守る話です。
それでも宇宙業界から見て押さえておきたいのは、参謀総長が航空・宇宙の力について語った次の点です。
ウィルズバック参謀総長は、米国の航空・宇宙の力は長いあいだ、攻撃を受けない安全な場所から活動してきたが、その時代は終わったと述べました。

きっかけのひとつとして、2023年12月に正体不明のドローンがバージニア州のラングレー空軍基地の上空を飛び回った出来事が挙げられています。
この出来事を受けて、空軍は基地防衛への取り組みを急ぎました。
安価なドローンでも重要な施設に近づけるようになったことで、施設の守り方が変わりつつあります。

装備の調達面でも動きがあります。
小型無人機に対する防空システムには2026会計年度に5,180万ドルが充てられ、空から侵入を阻む無人機システムについては、2028年7月まで最大9,000万ドルの契約が結ばれています(Task & Purposeの報道による)。

専用のPAEが置かれれば、対ドローン装備の買い方がひとつの窓口にまとまります。
その場合、装備をつくる企業にとっては、発注する側の相手が明確になるという変化になります。

今後の注目点

まず見るべきは、新しい職種の具体像です。
何人規模で、どの基地に配置し、どのような訓練を受けるのかは、2年以内の運用開始に向けて順に決まっていく段階です。

次に、点防衛兵器システムの中身です。
どのセンサーや迎撃手段を組み合わせるのかが明らかになれば、関係する装備やメーカーの顔ぶれが見えてきます。

さらに、点防衛専用のPAEがいつ置かれるかも注目点です。
空軍省にはすでに26のPAEがあり、そのうち9つは宇宙軍のものです。
点防衛の取り組みが、空軍基地だけでなく宇宙軍の施設にも広がるのかどうかは、今後の発表で確認したい点です。

出典

ほしまる
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