人工衛星の数は、何を数えるかで答えが変わります。
1年間に打ち上げられた機数なら、2025年は4,517機で、過去10年間で約20倍に増えました(出典:内閣府 宇宙開発戦略推進事務局「宇宙政策基礎資料」2026年7月)。
いま軌道上で動いている衛星は、ESA(欧州宇宙機関)の統計で約1万5,900機です(出典:ESA Space Debris Office「Space Environment Statistics」2026年10月14日更新)。
役目を終えた衛星やロケットの破片まで含めると、追跡されている物体の数はさらに増えます。
宇宙監視網(レーダーや望遠鏡で軌道上の物体を追跡する各国の仕組み)が日常的に追跡し、目録に載せている物体は約4万7,080個にのぼります。
増えている衛星の多くは、スペースX社の通信網「スターリンク」に属しています。
衛星が増えると、軌道の混み具合と、デブリ(宇宙ごみ)との衝突が問題になります。
※記事の要点は、以下のスライドでもサッと確認できます。
人工衛星はいま何機ある?「打ち上げた数」と「動いている数」は別の数字
ニュースに出てくる人工衛星の数には、大きく分けて3つの種類があります。
- 1年間に打ち上げられた人工衛星の機数
- いま軌道上で稼働している人工衛星の機数
- 役目を終えた衛星や破片も含めた、軌道上の物体の数
3つは桁が違うこともあるため、「数千機」と「数万個」が同じ記事に並ぶことがあります。

2025年に打ち上げられた人工衛星は4,517機
この値は、JAXAの情報と報道発表資料をもとに内閣府が作成した集計です。
打ち上げに失敗したものと、軌道への投入に失敗したものは含まれていません。
日数で割ると、1日あたり12機を超える衛星が宇宙へ向かっている計算になります。
ESAも、2025年には300回を超える打ち上げで、4,000を超える新しい衛星などが軌道に投入されたと報告しています。
同じ報告では、毎日10機の新しい衛星が打ち上げられているとしています(出典:ESA「ESA Space Environment Report 2026」)。
集計の機関が違っても、数千機という規模は共通しています。
スターリンクだけで1万機以上が稼働している
打ち上げ数が急増するなかで、軌道上の衛星の多くを占めるようになったのがスターリンクです。
スターリンクは、スペースX社が低い軌道にたくさんの通信衛星を並べ、世界中にインターネット接続を提供するサービスです。
内閣府 宇宙開発戦略推進事務局の調べでは、スターリンクは累積で1万1,877機が打ち上げられました。
そのうち1万280機が、2026年4月末時点で軌道上で稼働しています。
利用者は160か国で1,000万人です。
ESAの統計で稼働中とされる約1万5,900機と並べると、その多くをスターリンクが占めていることが分かります。
ただし、内閣府の値は2026年4月末、ESAの値は2026年10月の更新で、時点も数え方も同じではありません。
このため、2つの値をそのまま割り算して割合を出すことはできません。
それでも、ひとつの事業者の衛星が稼働中の衛星の大きな部分を占めている、という規模は分かります。
軌道上で稼働中の衛星の総数は、どの統計を使うかで変わる
いま全部で何機の衛星が動いているかについて、ESAは2026年10月14日時点で約1万5,900機としています。
同じ統計によると、1957年以降のロケット打ち上げ(失敗を除く)は約7,370回、軌道に投入された衛星は約2万8,270機です。
そのうち約1万9,440機が今も宇宙にあり、その中の約1万5,900機が機能しています。
| ESAの統計項目(2026年10月14日更新) | 値 |
|---|---|
| 1957年以降のロケット打ち上げ(失敗を除く) | 約7,370回 |
| 軌道に投入された衛星 | 約2万8,270機 |
| 今も宇宙にある衛星 | 約1万9,440機 |
| 今も機能している衛星 | 約1万5,900機 |
| 宇宙監視網が追跡している物体 | 約4万7,080個 |
一方で、ESAは軌道上の物体の数を大きさ別に推計するモデル(MASTER-8、2026年2月時点)も持っています。
このモデルでは、10cmより大きい物体のうち稼働中の衛星を約1万1,300機としています。
同じESAでも、実際の追跡記録を数えた統計と、モデルで推計した値では、対象の時点も計算の方法も異なります。
衛星の総数は、集計する機関、時点、追跡の実績かモデルの推計かによって変わります。
なぜ人工衛星はこれほど急に増えたのか
総務省は、衛星に使う機器の小型軽量化と打ち上げ費用の低下によって、小型衛星の実用化が比較的容易になったと説明しています。
そのうえで、多数の小型衛星を連携させる「衛星コンステレーション」の構築が可能になってきたとしています(出典:総務省「令和4年版 情報通信白書」衛星コンステレーション)。
衛星コンステレーションとは、たくさんの衛星を星座(コンステレーション)のように軌道上に配置し、ひとつのシステムとして運用する方式です。
増加の中心は米国の通信コンステレーション
内閣府の資料は、2025年の打ち上げ数の増加の中心は米国だとしています。
同資料のグラフでは、2025年に打ち上げられた4,517機のうち、米国の衛星は3,718機です。
1年間の打ち上げの8割を超える数を、1か国が占めていることになります。
さらに同資料は、スターリンクだけで2019年から2025年までの7年間に1万677機を打ち上げたと記しています。
2025年1年間の世界全体の打ち上げ数の2倍を超える数を、ひとつの通信網が7年間で積み上げた計算です。
スターリンク以外にも、低い軌道に多数の通信衛星を並べる計画は各国で進んでいます。
同資料にある主な計画の、2026年4月末時点(内閣府 宇宙開発戦略推進事務局調べ)の軌道上の機数と目標の機数は次のとおりです。
| プロジェクト(開発者) | 軌道上の機数 | 目標の機数 |
|---|---|---|
| スターリンク(米スペースX社) | 1万280機 | 3万4,396機 |
| Amazon Leo(旧Kuiper、米Amazon社) | 238機 | 3,236機 |
| OneWeb(仏Eutelsat社) | 651機 | 648機(第1世代) |
| 国網/Guo Wang(中国衛星網絡集団) | 192機 | 1万2,992機 |
| 千帆/Qianfan(上海スペースコム衛星技術) | 111機 | 1万5,000機 |
OneWebの軌道上の機数には、第2世代の試験機1機と予備機が含まれています。
目標の機数と比べると、スターリンク以外の多くの計画は、まだ目標の一部しか軌道に投入されていません。
ほしまるひとつの通信サービスなのに、どうして何千機、何万機もの衛星が必要になるんだろう?
たくさんの衛星を並べて地球全体をカバーする仕組み
通信衛星には、大きく分けて静止衛星と周回衛星があります。
総務省の白書は、両者の違いを次のように説明しています(出典:総務省「平成25年版 情報通信白書」通信衛星)。
静止衛星は、赤道の上空約3万6,000kmの軌道を、地球の自転と同じ速さで回ります。
地上からは止まっているように見え、高度が高いため、3基で極地域を除く地球全体をカバーできます。
ただし衛星までの距離が遠いので、電波が届くまでの遅れが大きく、端末にも大きな出力が必要です。
周回衛星は、静止軌道より地球に近い軌道を回る衛星です。
距離が近いため電波の遅れが小さく、端末の出力も小さくて済みます。
その代わり、衛星は上空を短い時間で通り過ぎてしまいます。
このため、通信できる時間を確保し、広い範囲をカバーするには、多数の衛星を同時に運用する必要があると白書は説明しています。
総務省の令和4年版の白書は、高度約500kmの軌道を使う衛星コンステレーションによる通信システムの制度整備を挙げています。


軌道が混み合うと何が問題になるのか
衛星が増えると、同じ軌道を回る物体どうしが近づく機会も増えます。
軌道上にあるのは、稼働中の衛星だけではありません。
役目を終えた衛星、打ち上げに使ったロケットの上段、物体どうしの衝突や爆発で生まれた破片も回り続けています。
こうした不要な人工物をまとめて、スペースデブリ(宇宙ごみ)と呼びます。
追跡できる大きさの物体は約5万個ある
NASA(アメリカ航空宇宙局)のデブリ研究部門によると、地球のまわりには追跡できる大きさの物体がおよそ5万個あります。
ミリメートル単位の小さなデブリは、推定1億個です(出典:NASA Orbital Debris Program Office「Frequently Asked Questions」)。
米国の宇宙監視網は、おおむね10cmより大きい物体を日常的に追跡しています。
2026年8月時点で、この監視網が目録に登録した軌道上の物体は3万4,000個を超えました。
似た値が並びますが、出どころはそれぞれ違います。
- 約5万個は、NASAが示す追跡できる大きさの物体の概数です。
- 3万4,000個超は、米国の宇宙監視網が目録に登録した数(2026年8月時点)です。
- 約4万7,080個は、ESAが各国の宇宙監視網の目録から数えた、日常的に追跡されている物体の数です。
ESAは、先ほどの推計モデル(MASTER-8、2026年2月時点)で、大きさ別のデブリの数も推計しています。
| 大きさ | 推定数 |
|---|---|
| 10cmより大きい | 6万8,450個(稼働中の衛星約1万1,300機を含む) |
| 1cm〜10cm | 約150万個 |
| 1mm〜1cm | 約2億3,000万個 |
10cmより大きい物体の6万8,450個は、追跡の実績ではなく、ESAがモデルで推計した値です。
ESAの統計では、軌道上にある人工物の総質量は1万7,400トンを超えています。
NASAも、大きさが小さくなるほどデブリの数は急速に増えると説明しており、大部分は小さすぎて日常的には追跡できません。
小さな破片でも危険なのは、ぶつかる速さが桁違いだから
NASAの資料では、高度2,000kmより低い軌道で、デブリは秒速約7〜8kmで地球を回っています。
ほかの物体とぶつかるときの相対速度は平均で秒速約10km、最大で秒速約15kmに達し、銃弾の10倍を超える速さになります。
秒速10kmは、東京から大阪までのおよそ400kmを1分たらずで移動する速さです。
小さな破片でも速度が大きいため、衝突時のエネルギーが大きくなります。
NASAは、小さなデブリとの衝突にも大きなエネルギーが伴うと説明しています。
米国の宇宙監視網は、大きな物体の軌道を監視して、接近の見込みを調べています。
ISS(国際宇宙ステーション)は、追跡している物体が数マイル以内に近づくと予測され、衝突の確率が1万分の1を超える場合に、通常は軌道を変えて避けます。
小さな破片は日常的には追跡されていないため、こうした接近の予測は、追跡されている大きな物体が対象になります。



ぶつかって破片が増えたら、その破片がまた別の衛星にぶつかったりしないのかな?
デブリが特に集中している高度750〜1,000km
NASAの資料では、デブリが最も集中しているのは高度750〜1,000km付近です。
物体の数が多い場所ほど、衝突が起きる確率も高くなります。


衝突で生まれた破片が、さらに別の物体にぶつかって新しい破片を生みます。
ESAは、この自己持続的な連鎖をケスラーシンドロームと呼んでいます。
ESAは2026年の報告書で、長期的に最も大きな脅威は、新しい物体の打ち上げが増えることそのものではなく、この連鎖だとしています。


この報告書は、仮に新しい衛星をまったく打ち上げなくても、デブリの数は増え続けると見通しています。
破砕で生じるデブリが、大気圏に自然に落ちて消えるより速く増えるためです。
そのうえで、衝突によるデブリの増加を止めるには、デブリを能動的に取り除く必要があると述べています。
これはESAが示した将来の見通しで、軌道上の環境がこの先どう変わるかは、今後の打ち上げや対策によって変わります。
混雑を減らすために誰が何をしているのか
軌道の混雑への対策は、JAXAの整理では大きく3つに分かれます(出典:JAXA「スペースデブリ対策」)。
- デブリを観測して軌道を計算する(観る)
- デブリを減らすための国際標準をつくる(減らす)
- すでにある大型のデブリを取り除く(除去する)
このうち「減らす」では、JAXAの安全・信頼性推進部が、デブリを減らすための国際標準づくりに取り組んでいます。
その場となっているのが、国際機関間スペースデブリ調整委員会(IADC)や国際標準化機構(ISO)といった国際的な枠組みです。
デブリが地上に落ちた場合の危険性も含めて、リスクを評価するツールの整備も進めています。


JAXAは岡山のレーダーと望遠鏡でデブリを観測している
JAXAの追跡ネットワーク技術センターは、岡山県にあるレーダーと光学望遠鏡で、地球の近くを回るデブリを観測しています。
観測した結果から軌道を計算し、JAXAの人工衛星にデブリがどこまで近づくかを解析しています。
大きなデブリが大気圏に再突入する(宇宙から大気圏へ落ちてくる)時期の解析も、この観測をもとに行われています。
JAXAは、さらにバージョンアップした設備の整備も進めています。
民間企業と組む商業デブリ除去実証CRD2
JAXAは2020年の春から、デブリ対策の事業化を目指す民間事業者と連携し、大型のデブリを取り除く「商業デブリ除去実証(CRD2)」を進めています。
CRD2は、日本由来の大型デブリの除去を民間企業と協力して行うプロジェクトです。
デブリ除去の技術を獲得することに加えて、日本企業の商業的な活躍を後押しするという目標もあります(出典:JAXA 研究開発部門「CRD2プロジェクト概要」)。
フェーズⅠは株式会社アストロスケールが担当し、実証衛星ADRAS-Jを使いました。
アストロスケールは2024年12月11日、ADRAS-Jが宇宙空間でデブリから約15mの距離まで接近することに成功したと発表しています。
フェーズⅠは、2025年2月25日にプロジェクト終了審査を終えました。
JAXAは2024年9月1日に、フェーズⅡのプロジェクトチームを設置しました。
アストロスケールは2026年9月1日、日本発の宇宙ごみ除去ミッションについて、欧州のIsar Aerospace社と打ち上げ契約を結んだと発表しています。
JAXAは、デブリ除去の実証に向けた主な技術として、次の3つを挙げています。
- 通信や目印で協力してくれない物体に近づき、並んで飛ぶランデブ技術
- 動きが止まっていない(静止していない)デブリを捕まえる捕獲技術
- 電気の力で推進剤を噴き出す小型のエンジンを使い、小型の除去衛星で大型のデブリの軌道を変える小型電気推進技術
観測・国際標準づくり・除去実証という仕事がある
JAXAの取り組みからは、次のような業務が見えてきます。
- JAXAの人工衛星へのデブリの接近状況を解析する業務
- レーダーや望遠鏡でデブリを観測し、軌道を計算する監視・解析
- デブリを減らすための国際標準づくりや、リスク評価ツールの整備
- 実証衛星を設計し、デブリに近づいて捕獲する除去技術の開発
JAXAの追跡ネットワーク技術センターや安全・信頼性推進部、研究開発部門は、それぞれ観測、国際標準づくり、除去の研究開発を担っています。
CRD2のように、JAXAの実証を民間企業が担う形も始まっています。
国際標準づくりのように、技術そのものより国際的な調整や制度に関わる業務もあります。
軌道を安全に使い続けるための仕事も、いまの宇宙開発の一部です。
よくある質問
まとめ
人工衛星の数を見るときの要点は、次のとおりです。
- 数字には「年間の打ち上げ数」「稼働中の機数」「デブリを含む物体の数」の3種類があります。
- 2025年の打ち上げは4,517機で、増加の中心は米国の通信コンステレーションです。
- 混雑への対策は、観測、国際標準づくり、除去の3つに分かれます。
確かめられている数字は、2025年の打ち上げ数、2026年4月末時点のスターリンクの稼働数、ESAによる稼働中の衛星の数です。
一方で、稼働中の衛星の総数やデブリの数は、機関、時点、追跡の実績か推計かによって値が変わります。
地上から見上げる夜空は昔と変わらなくても、その上の軌道は、この10年で行き交う船の多い海になりました。
いつか人類は、その海を越えて、もっと遠い星々へ向かう航路を拓いていくのかもしれません。
ASTROWORKSは「人類が地球の寿命を超え、宇宙のどこかで存在し続ける未来へ」という言葉を出発点にしています(発起人の想い)。
ただ、どれほど遠くを目指す船も、まずは地球をとりまく軌道を通って旅立ちます。
1年に4,517機が打ち上げられる。
約4万7,080個の物体が追跡されている。
港の出口の航路が安全であってはじめて、外洋への船出は続けられます。
デブリを観測し、減らし、取り除く仕事は、人類が宇宙へ漕ぎ出すための港の出入り口を、長く開いたままにしておくための仕事でもあります。
出典
- 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局「宇宙政策基礎資料」(2026年7月)
- ESA Space Debris Office「Space Environment Statistics」
- ESA「ESA Space Environment Report 2026」
- NASA Orbital Debris Program Office「Frequently Asked Questions」
- 総務省「令和4年版 情報通信白書」衛星コンステレーション
- 総務省「平成25年版 情報通信白書」通信衛星
- JAXA「スペースデブリ対策」
- JAXA 研究開発部門「CRD2プロジェクト概要」



