ホンダ(本田技研工業の研究開発子会社、株式会社本田技術研究所)は、宇宙で3つの研究を進めています。
繰り返し使えるロケットの研究、月面で電気と酸素をつくる研究、ロボット技術を月面や人工衛星に応用する研究です。
ロケットは2025年6月に高度271.4mまで上がって着地する実験に成功しました。
ただし宇宙には届いておらず、ホンダ自身も事業化は決まっていないとしています。
※記事の要点は、以下のスライドでもサッと確認できます。
ホンダが宇宙で進めている3つの研究
ホンダが宇宙での取り組みを公表したのは、2021年9月30日の「Hondaの新領域への取り組みについて」です(出典:Honda ニュースリリース「Hondaの新領域への取り組みについて」)。
このリリースで、ホンダは宇宙領域を「コア技術を生かした“夢”と“可能性”へのチャレンジの場」と位置づけました。
2025年の国際宇宙ビジネス会議「SPACETIDE 2025」では、本田技術研究所社長の大津啓司氏が基調講演に登壇しました。
講演を紹介したホンダのページでは、循環型再生エネルギーシステム、ロボティクス、再使用型ロケットの3つを「柱」として示しています(出典:Honda R&D「SPACETIDE 2025 「Hondaの挑戦 ―地球から宇宙へ―」」)。
3つの研究の概要は次のとおりです。
| 研究 | 何をするものか | 主な連携先 | 公表されている進み具合 |
|---|---|---|---|
| 再使用型ロケット | 低軌道向けの小型人工衛星を打ち上げ、機体の一部を着陸させて再び使う | 自社で研究 | 2025年6月に高度271.4mまでの離着陸実験に成功。2029年に準軌道へ到達する能力の実現が目標 |
| 循環型再生エネルギーシステム | 水を電気分解して水素と酸素をつくり、燃料電池で発電する。月面の居住や探査車両に電気と酸素を送る | JAXA、Sierra Space社、Tec-Masters社、アストロボティック | JAXAと研究開発契約。国際宇宙ステーションでの部品試験と、月面の夜間電力の共同検討を発表 |
| ロボティクス | 月面で人が遠隔操作するロボットと、軌道上の人工衛星に燃料を補給するための給油口 | JAXA、アストロスケール | 月面ロボットは2021年2月にJAXAと月面での遠隔操作技術に関する共同研究を開始。給油口はアストロスケールと共同開発中 |
どれも研究や開発の段階にあり、製品やサービスとして提供されているものはまだありません。
再使用型ロケットは小型衛星の打ち上げを想定した研究
ロケットの研究で目標にしているのは、低軌道(地球の表面から比較的近い高さを回る軌道)向けの小型人工衛星の打ち上げです。
ホンダは、打ち上げ後にロケットの一部を着陸させ、再使用することも想定して研究していると説明しています。
背景としてホンダが挙げているのは人工衛星の需要で、2021年のリリースでは「その打ち上げ需要に対してロケットが不足している状況です」と書いています。
この課題を解決するために小型ロケットを開発している、というのがホンダ自身の説明です。
循環型再生エネルギーシステムは月面で電気と酸素をつくる研究
燃料電池(水素と酸素を反応させて電気を取り出す装置)と、高圧水電解(水を電気で分解し、高い圧力の水素と酸素をつくる技術)を組み合わせたシステムです。
月面で人が長く滞在するために、呼吸のための酸素と、エネルギーになる水素と電気を生み出すことを目指しています。
研究はJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で進めています(出典:Honda 技術紹介「循環型再生エネルギーシステム」)。
ロボティクスは月面の遠隔操作と人工衛星の給油に使う研究
ひとつは、月面で人が地球から操作するロボットです。
ホンダが開発中のアバターロボット(離れた場所にいる人の分身として動くロボット)の技術を応用する研究で、JAXAの宇宙探査イノベーションハブの研究テーマとして採択され、2021年2月に共同研究が始まりました。
もうひとつは、宇宙を回る人工衛星に燃料を補給するための給油口の仕組みです。
宇宙ベンチャーのアストロスケールと共同で開発すると、2025年5月30日に発表しました(出典:Honda トピックス(2025年5月30日))。
ほしまるロケットと燃料電池とロボット、ばらばらに見えるけど、どれも地上の製品から持ち込んだ技術なのかな?
再使用型ロケットの研究はどこまで進んだのか
ロケットは、地上での燃焼実験とホバリング実験を経て、2025年6月に実験機で離着陸する段階まで進みました。


若手技術者の発案から始まり2024年に大樹町で試験を開始
ロケット研究のきっかけについて、ホンダは「Hondaの製品開発を通じて培った燃焼技術や制御技術などのコア技術を生かしてロケットを造りたい、という若手技術者の『夢』でした」と説明しています(出典:Honda トピックス「再使用型ロケット実験機の離着陸実験に成功」。以下、2025年6月の実験の数値は同ページの表記によります)。
2021年のリリースでも、小型ロケットの開発は若手技術者の発案から始まったと書かれています。
燃焼技術はエンジンの中で燃料を効率よく燃やす技術で、制御技術は機械を狙いどおりに動かし続ける技術です。
どちらも、ホンダが製品開発を通じて培ってきた技術です。
地上での試験は、2024年に北海道広尾郡大樹町で始まりました。
ホンダはこの年から、ロケットエンジンを地上で燃やす燃焼実験と、機体を浮かせて空中にとどめるホバリング実験を行ってきました。
2025年6月の離着陸実験で高度271.4mまで上昇して着地
2025年6月17日16時15分、ホンダは大樹町にあるHonda専用実験設備で、再使用型ロケット実験機の離着陸実験を行いました。
ホンダとして初めての、高度300mまでの離着陸実験です。
実験機と結果の主な数値は次のとおりです。
- 実験機の大きさは全長6.3m、直径85cm
- 重量は燃料を積まない状態(Dry)で900kg、燃料を積んだ状態(Wet)で1,312kg
- 到達した高度は271.4m
- 着地位置と目標との誤差は37cm
- 飛び上がってから着地するまでの飛行時間は56.6秒
ホンダは2025年9月30日のインタビュー記事で、この実験の目的を「上昇・下降時の機体の安定性や着陸機能などの要素技術の実証」と説明しています(出典:Honda Stories(2025年9月30日))。
要素技術は、完成した製品を構成する個々の技術のことです。
この実験は、ロケットに必要な技術のうち、上昇・下降時の機体の安定性や着陸機能を確かめたものでした。
ホンダは再使用型ロケットを、高度100km程度まで到達したあとに着陸するロケットと説明しています。
高度271.4mは、その高さのおよそ370分の1にあたります。


実験の成功が宇宙開発利用大賞の内閣総理大臣賞を受賞
この離着陸実験は、第7回宇宙開発利用大賞で内閣総理大臣賞を受けました(出典:Honda トピックス(2026年3月18日))。
宇宙開発利用大賞は、宇宙開発利用の推進で大きな成果を上げた事例をたたえる、内閣府主催の表彰制度です。
表彰式は2026年3月17日で、受賞したのは株式会社本田技術研究所です。
受賞対象の名称は「日本初の民間企業によるロケット実験機離着陸実験の成功」です。
ホンダの発表では、受賞理由として次の3点が挙げられています。
- 再使用型ロケットの実験成功が、日本の宇宙輸送能力の拡大に寄与すること
- 宇宙へのアクセスを自国で確保することや、国際競争力の強化に貢献すると期待されること
- 産業化のためにも大きな意義があること
次の目標は2029年の準軌道への到達で事業化は未定
ホンダが次に掲げている技術開発の目標は、2029年に準軌道へ到達する能力を実現することです。
2025年6月の発表では、再使用型ロケットについて、垂直の姿勢で打ち上げられ、高度100km程度まで到達したあと、垂直の姿勢を保ったまま着陸するロケットと説明しています。
ホンダはこの研究で、「サステナブルロケット」の実現を目指しているとしています。
受賞を伝えた発表によると、機体を再使用する技術に加えて、再生可能燃料のバイオメタン(生物由来の資源からつくるメタン)を使い、宇宙での「サステナブルな輸送」に貢献する取り組みです。
事業としてロケットを手がけるかどうかは、決まっていません。
ホンダは2025年6月の発表で、「現在は要素研究の段階であり事業化するかは決まったものはありません」と書いています。
2029年は事業を始める時期ではなく、技術開発の目標です。
月面で水から電気と酸素をつくる研究
循環型再生エネルギーシステムは、昼に太陽光の電気で水を分解して水素と酸素を貯め、夜にその水素と酸素で発電する仕組みです。
昼に水素と酸素を貯めて夜に発電する仕組み
システムの出発点は、水の電気分解です。
高圧水電解装置が水を電気で分解し、高い圧力の水素と酸素をつくります(出典:Honda 技術紹介「循環型再生エネルギーシステム」)。
つくった水素と酸素の使い道は2つに分かれます。
一部は人が呼吸に使う酸素や、エネルギー源として使います。
残りは燃料電池に送り、水素と酸素を反応させて電気を取り出します。
燃料電池で発電すると、水が出てきます。
この水は高圧水電解装置に戻し、再び水素と酸素をつくるのに使います。
ホンダは、独自の高圧水電解システムを採用していることから、このシステムを「循環型再生エネルギーシステム」と呼んでいます(出典:Honda トピックス(2023年1月19日))。


月面で使う場合は、この循環を昼と夜で分けて動かします。場所によって約2週間にわたり夜が続くため、太陽光が得られない間の電源が必要です。
ホンダは2025年9月の発表で、昼のあいだに太陽光発電の電気で水を分解して酸素と水素をタンクに貯め、夜間はその酸素と水素で発電して居住スペースに電力を送ると説明しています(出典:Honda トピックス(2025年9月30日))。
2021年のリリースでは、酸素は月面に滞在する人の居住用に、水素はロケットの燃料にも使えるとしています。
ホンダはこのシステムで、様々な有人活動に貢献することを目指すとしています。


コンプレッサーを使わずに高圧で水素を貯める技術
水素は軽い気体なので、貯めるには圧力をかけて押し縮める必要があります。
地上では、コンプレッサー(気体を圧縮する機械)を使うのが一般的な方法です。
ホンダは、コンプレッサーを使わずに水素を高い圧力で貯められる「差圧保持構造」を独自に開発しました(出典:Honda 技術紹介「循環型再生エネルギーシステム」。以下、この節の数値は同ページの表記によります)。
差圧は、2つの空間の圧力の差のことです。
ホンダは、この高圧水電解技術で「世界最高レベルの圧力差」を達成したとしています。
この装置は、水素を70MPa(メガパスカル)で貯蔵できます。
MPaは圧力の単位で、70MPaは大気圧のおよそ700倍にあたります。
この70MPaは水素を貯めるときの圧力で、圧力差の値ではありません。
機械式のコンプレッサーが無いので、装置は軽く小さくなり、メンテナンスの回数も抑えられます。
高圧水電解装置の高さは980mmです。
その中で水を分解する部分(高圧水電解スタック)は、高さ420mm、幅210mmです。
ホンダは、こうした特長がJAXAから高い評価を得たと説明しています。
JAXAとの共同研究から研究開発契約へ
JAXAとの関係は、2018年に始まりました。
ホンダの研究者がJAXAを訪ね、この技術について説明したのがきっかけです。
その後、2020年11月に、循環型再生エネルギーシステムの共同研究協定を結んでいます(出典:Honda トピックス(2023年1月19日))。
2023年1月19日には、JAXAと研究開発契約を結んだと発表しました。
対象は、月面探査車両の居住スペースとシステムの維持に電力を送るための循環型再生エネルギーシステムです。
契約の名称は「有人与圧ローバー再生型燃料電池システムの概念検討および機能要素試作」です。
有人与圧ローバーは、内部を空気で満たし、宇宙飛行士が宇宙服を着ずに乗って移動できる月面の車両のことです。
この契約でホンダは、JAXAから委託を受ける形で、まず全体の設計の考え方を検討します。
そのうえで、2023年度末までに「ブレッドボードモデル」を製作する計画を示していました。
ブレッドボードモデルは、初期段階の試作機のことです。
ISSでの試験と米国企業との共同検討
2025年4月4日、ホンダは、システムの中心部品である水電解セル(水を分解する最小単位の部品)を国際宇宙ステーション(ISS)で試験するための契約を発表しました(出典:Honda トピックス(2025年4月4日))。
契約の相手は、米国の航空宇宙企業であるSierra Space(シエラスペース)社とTec-Masters(テックマスターズ)社です。
ISSの中は、重力がほとんど感じられない微小重力の環境です。
ホンダはこの試験で、重力の環境が水電解セルの反応に与える影響を検証し、技術の信頼性を高めることを目指すとしています。


同じ年の9月29日(現地時間)には、ホンダの米国法人アメリカン・ホンダモーターが、米国の宇宙企業アストロボティック(Astrobotic Technology, Inc.)との共同開発契約を発表しました(出典:Honda トピックス(2025年9月30日))。
アストロボティックの垂直型太陽電池システム(VSAT)と、ホンダの循環型再生エネルギーシステムを組み合わせます。
目的は、太陽の光が得られない月面の夜に電力を送り続ける仕組みの実現です。
いま進めているのは、実現できるかどうかを調べるフィジビリティスタディ(実現可能性の調査)です。
月面の南極の様々な地点にVSATを置いた場合の発電量をシミュレーションし、それに合うホンダ側のシステムの大きさや仕様を検証します。
2つのシステムのハードウェアとソフトウェアがうまく組み合わさるかも確かめます。
VSATは10kWの電力を発電できるシステムです。
アストロボティックはこれに加えて、50kWの超大型版(VSAT-XL)を開発中です。
ロボット技術は月面と人工衛星の軌道上でどう使われるのか
ロボティクスの柱では、月面で使う遠隔操作ロボットと、宇宙で人工衛星に燃料を補給する仕組みの2つを研究しています。
アバターロボットの技術を月面の遠隔操作に生かす
月面の遠隔操作ロボットについて、ホンダは2021年のリリースで、宇宙飛行士の危険を最小限にしたり、地球にいながら月にいるような体験を可能にしたりするものとして説明しています(出典:Honda ニュースリリース「Hondaの新領域への取り組みについて」)。
そこで応用が見込まれる技術として、次の3つを挙げています。
- 人の手のように複数の指で物をつかむ多指ハンド
- AI(人工知能)が人の操縦を手助けするAIサポート遠隔操縦機能
- ぶつかったときの衝撃を和らげるための、すばやく力を調整する高応答トルク制御技術
いずれもアバターロボットで開発中の技術で、リリースでは月面ロボットへの応用は「見込まれます」という段階の表現になっています。
月と地球の間で操作するときに問題になるのが、通信の遅れです。
操作の指示を送ってからロボットが動くまでに時間がかかると、細かい作業が難しくなります。
大津氏はSPACETIDE 2025の講演で、この課題への解決策の一例として、AIが遠隔操作を支える技術に触れました(出典:Honda R&D「SPACETIDE 2025 「Hondaの挑戦 ―地球から宇宙へ―」」)。
人が状況を判断して行動を決め、力加減やつかむ位置、持ち方といった細かな動作をAIが補います。
ホンダはこの技術によって、通信に遅れがあっても宇宙での作業が可能になると見込んでいます。


アストロスケールと人工衛星の給油口を共同開発
人工衛星は、向きや高さを保つために燃料を使います。
燃料が尽きると、衛星はまだ使える機器を積んでいても運用を続けられなくなります。
軌道上で燃料を補給できれば、衛星をより長く使える可能性があります。
ホンダとアストロスケールが共同で開発するのは、軌道上の人工衛星に燃料を補給するための給油口接続システムです(出典:Honda トピックス(2025年5月30日))。
役割は次のように分かれています。
- ホンダは、ロボティクス研究で培ったメカトロニクス技術(機械と電子制御を組み合わせる技術)を担う
- アストロスケールは、RPOD(ランデブー・近接運用・ドッキング)の技術を担う
RPODは、宇宙で別の衛星に近づき、すぐそばで動きを合わせ、つなぎ合わせるまでの一連の技術です。


このシステムは、アストロスケールが2029年をめどに予定している低軌道での燃料補給技術の実証で使うことを目指しています。
実証を行うのはアストロスケールで、時期も「めど」として示された目標です。
大津氏はSPACETIDE 2025の講演で、この取り組みを衛星の寿命を延ばし、打ち上げの回数を減らすためのものと位置づけています。
自動車メーカーのホンダが宇宙に取り組む理由
ホンダが宇宙に取り組む理由として公表しているのは、製品開発で培った技術を応用できることと、人の生活を豊かにするという理念の延長にあることの2つです。
燃焼や制御など製品開発で培った技術を応用する
2021年のリリースで、ホンダは小型ロケットに燃焼・流体・制御・誘導の技術を応用すると書いています。
流体は空気や液体の流れを扱う技術、誘導は機体を狙った経路に導く技術です。
着陸させて再使用する研究には、自動運転技術の開発などで培った制御・誘導技術を使うとしています。
2025年9月のインタビュー記事でも、ロケットには自動車と共通する部分があり、燃焼や機体の制御技術といったコア技術を生かしていると語られています(出典:Honda Stories(2025年9月30日))。
さらに、自動車だけでなく、ホンダジェットやF1の技術も参考にしたと述べています。
ただし、すべてが既存技術の延長だったわけではありません。
ロケットエンジンには、おおよそマイナス160℃〜180℃という極低温の液体推進薬(ロケットの燃料と、燃やすための酸化剤)が使われます。
インタビューでは、この点について「社内には全く知見がありませんでした」と語られています。
推進薬をエンジンに送り込むターボポンプを自前でつくることは、高いハードルだと分かっていたとも述べています。
月面の研究でも、使っているのは地上で培った技術です。
循環型再生エネルギーシステムには燃料電池と高圧水電解の技術を、遠隔操作ロボットにはアバターロボットの技術を応用しています。
陸と海と空の次の場所として宇宙を見ている
SPACETIDE 2025の講演を紹介したホンダのページは、宇宙開発に取り組む理由を「『人の生活を豊かにする』という理念の延長にあります」と説明しています(出典:Honda R&D「SPACETIDE 2025 「Hondaの挑戦 ―地球から宇宙へ―」」)。
講演で大津氏は、「Hondaはすでに陸・海・空に拡がっているので、次の可能性のフィールドとして、宇宙が出てくることに驚きはない」と語りました。
同じページは、F1への挑戦やHondaJetなどこれまでの挑戦を振り返ったうえで、宇宙はホンダにとって突飛なフィールドではないとしています。
大津氏は「これからも、人の暮らしを豊かにするために、人の役に立つ技術に、チャレンジしていきます」とも述べています。
ロケット開発の現場からも、目指す将来像が語られています。
インタビューで池谷健一郎氏は、「飛行機が空港に離発着するくらいの感覚で、民間ロケットが宇宙と地球を行き来する世界をつくること」を目標に挙げました(出典:Honda Stories(2025年9月30日))。
FAQ
まとめ ホンダの宇宙研究で分かっていることとまだ決まっていないこと
公式発表で確かめられることは次のとおりです。
- 再使用型ロケット、循環型再生エネルギーシステム、ロボティクスの3つを柱に研究しています。
- ロケット実験機は2025年6月17日、高度271.4mまで上がり、目標から37cmの誤差で着地しました。
- ロケットの技術開発の目標は、2029年に準軌道へ到達する能力を実現することです。
- 月面のエネルギー研究ではJAXAと研究開発契約を結び、ISSでの試験やアストロボティックとの共同検討も発表しています。
- 人工衛星の給油口は、アストロスケールと共同で開発しています。
まだ決まっていないことは次のとおりです。
- ロケットを事業にするかどうか
- 月面のエネルギーシステムや遠隔操作ロボットが実際に使われる時期
- ISSでの水電解セルの試験の結果
水を分けて、また水に戻す。
燃料を燃やし、狙った場所へ機体を降ろす。
ホンダが月面に持ち込もうとしているのは、もともと地上の暮らしのために磨いてきた技術です。
いつか人類は、月を足がかりに、さらに遠い星へ旅立つ日を迎えるのかもしれません。
ASTROWORKSは「人類が地球の寿命を超え、宇宙のどこかで存在し続ける未来へ」という言葉を出発点にしています(発起人の想い)。
ただ、その旅に持っていく道具は、まず地球の工場と実験場でつくられ、確かめられていきます。
北海道の実験場で上がった271.4mは、宇宙から見ればほんのわずかな高さです。
それでも、地上で積み重ねた技術を宇宙の暮らしへつなぐ道のりの、確かな最初の一歩になっています。
出典
- Honda ニュースリリース「Hondaの新領域への取り組みについて」(2021年9月30日) https://global.honda/jp/news/2021/c210930b.html
- Honda トピックス「再使用型ロケット実験機の離着陸実験に成功」(2025年6月17日) https://global.honda/jp/topics/2025/c_2025-06-17c.html
- Honda トピックス「Hondaが第7回宇宙開発利用大賞において内閣総理大臣賞を受賞」(2026年3月18日) https://global.honda/jp/topics/2026/c_2026-03-18.html
- Honda Stories「なぜHondaは宇宙に挑むのか。サステナブルロケット実験機の離着陸成功の舞台裏と、技術者たちが描く夢」(2025年9月30日) https://global.honda/jp/stories/177-2509-space-rocket-interview.html
- Honda R&D「SPACETIDE 2025 「Hondaの挑戦 ―地球から宇宙へ―」」(2025年9月12日) https://global.honda/jp/RandD/activity/rdtopics/spacetide2025/
- Honda 技術紹介「循環型再生エネルギーシステム」 https://global.honda/jp/tech/Circulative_renewable_energy_system/
- Honda トピックス「有人月面探査で人の居住空間に電力供給を行う「循環型再生エネルギーシステム」について、JAXAと研究開発契約を締結」(2023年1月19日) https://global.honda/jp/topics/2023/c_2023-01-19.html
- Honda トピックス「循環型再生エネルギーシステムのコア部品の試験を国際宇宙ステーションで実施」(2025年4月4日) https://global.honda/jp/topics/2025/c_2025-04-04b.html
- Honda トピックス「アメリカン・ホンダモーターが米国宇宙関連民間企業のアストロボティックと月面電力システム開発に関する共同開発契約を締結」(2025年9月30日) https://global.honda/jp/topics/2025/c_2025-09-30.html
- Honda トピックス「宇宙の軌道上での人工衛星給油口接続システムをアストロスケールと共同開発」(2025年5月30日) https://global.honda/jp/topics/2025/c_2025-05-30.html
- ASTRONOTE「発起人の想い」



