- 「太陽フレアが起きたらしいけど、スマホが壊れたりしないの?」
- 「大停電が来るって本当?」
- 「地上にいる人間は、被ばくしないの?」
ニュースやSNSで見かけるたび、落ち着かない気持ちになる方もいるでしょう。
結論から書きます。
日本の公的な最悪シナリオでも、想定されているのは機器の故障ではなく、一時的につながらなくなることです。
地上での健康への影響について、日本の宇宙天気予報を担う情報通信研究機構(NICT)は「ほぼない」という評価結果を公表しています。
何が起きうるのかは、すでに公的な文書として整理されています。
この記事は、宇宙の科学と宇宙産業の情報を一次情報と整合させて発信するASTROWORKS編集部がまとめています。
この記事で分かることは次のとおりです。
- 太陽から届くものが、光・粒子・ガスの3段階に分かれる理由
- なぜスマホより先に、短波通信のほうが落ちるのか
- 日本の想定でGPSがどこまでずれるのか
- 太陽の爆発が、地上の変圧器を熱くする仕組み
読み終える頃には、「太陽フレア」の見出しを見たとき、どこまでが現実的な話で、どこからが誇張なのかを自分で切り分けられるようになります。
ほしまるぼくは40年かけて太陽系を回ってきたけど、太陽の機嫌はいつも気になっていたんだ。何がどの順番で届くのか、一緒に見ていこう。


太陽フレアの影響は、規模と「何が届くか」で決まる
太陽フレアの影響を一言でまとめるのは、なかなか難しいところです。
整理する軸は2つだけ。
どのくらいの規模か、そして太陽から何が届くか、です。
フレアの規模はX線の強さでC・M・Xに分けられる
太陽フレアは、NICTの説明では「太陽面の黒点の周辺で突然明るく光る現象」とされています。
大きさは1万から10万kmで、規模は水爆の10万から1億個分に匹敵すると記述されています(出典: NICT 宇宙天気予報 ユーザーガイド「太陽・太陽風」)。
この「規模」は、見た目の派手さで決めているわけではありません。
同じくNICTによれば、太陽フレアの規模はアメリカの気象衛星GOESが観測するX線の強度をもとに決められています。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)の解説では、X線フラックスの等級はAクラス(10⁻⁸ W/m²)から始まります。
そこから10倍ごとにB(10⁻⁷ W/m²)、C(10⁻⁶ W/m²)、M(10⁻⁵ W/m²)、そしてX(10⁻⁴ W/m²)と上がっていきます(出典: NOAA/SWPC「Solar Flares (Radio Blackouts)」)。
ここが誤解されやすいところ。
1段上がると10倍です。
MクラスとXクラスの差は「少し強い」ではなく、桁がひとつ違うという意味になります。
地震のマグニチュードと同じく対数目盛ですが、フレアの等級のほうは「1段でX線の強さがちょうど10倍」という、より素直な定義です。
NICTの宇宙天気予報では、この値をそのまま現況の表示に使っています。
直近のX線フラックスが10⁻⁶ W/m²未満なら「静穏」、10⁻⁶以上10⁻⁵未満なら「やや活発」(Cクラス相当)、10⁻⁵以上10⁻⁴未満なら「活発」(Mクラス相当)、10⁻⁴以上で「非常に活発」(Xクラス相当)という4段階です(出典: NICT 宇宙天気予報「宇宙天気現象の分類」)。
つまり「Xクラス発生」というニュースは、NICTの表示では最上段にあたります。


Xクラスは、実はそれほど珍しくない
NOAAは、フレアによる電波障害の強さをR1からR5の5段階で示しています。
そこに併記されているのが、1太陽周期あたりの平均的な発生頻度です。
数値はNOAAの表記のまま記載しています(出典: NOAA/SWPC「NOAA Space Weather Scales」)。
| 等級 | フレアの規模(X線ピーク) | 1太陽周期あたりの頻度 |
|---|---|---|
| R5 | X20(2×10⁻³ W/m²) | 1回未満 |
| R4 | X10(10⁻³ W/m²) | 8回(8日) |
| R3 | X1(10⁻⁴ W/m²) | 175回(140日) |
| R2 | M5(5×10⁻⁵ W/m²) | 350回(300日) |
| R1 | M1(10⁻⁵ W/m²) | 2000回(950日) |
太陽活動には約11年の周期があります。
その1周期のうち、X1クラス相当が140日分。
Xクラスのフレアは、ニュースになるほど珍しい現象ではありません。
X10クラスは1周期に8日分、X20クラスは1周期に1回あるかどうか。
桁が上がるほど、頻度は急激に落ちていきます。
磁気嵐のほうも同じ形で整理されています。
最上位のG5(Kp=9)は、1太陽周期あたり4日分です(同出典)。
Kpは地磁気の乱れの大きさを表す指数で、この表では9が最大値にあたります。
NASAとNOAAは2024年10月15日に、太陽が極大期に達したと発表しました(出典: NASA「NASA, NOAA: Sun Reaches Maximum Phase in 11-Year Solar Cycle」)。
同じ発表の中で、極大の正確なピークは活動の一貫した低下を追跡したあとでなければ特定できない、とも書かれています。
つまり「今がピークかどうか」は、過ぎてみないと分かりません。
太陽活動の強弱は、リアルタイムで確定できる種類の情報ではないのです。
第一波は光。届いた瞬間に、地球の昼側だけが反応する
フレアが起きて最初に地球へ届くのは、X線と紫外線です。
どちらも電磁波なので、光の速さで飛んできます。
NOAAはこう説明しています。
電磁エネルギーの突然の放出は光速で伝わるため、地球の外気圏の日照側への影響は、その現象が観測されるのと同じ時刻に起きる、と(出典: NOAA/SWPC「Solar Flares (Radio Blackouts)」)。
観測した瞬間には、もう届いています。
「フレアが来るぞ」と身構える時間は、この第一波に関してはありません。
そしてもうひとつ、大事な性質があります。
効くのは、太陽が当たっている側だけ。
光は地球の裏側には回り込みません。
昼側の大気だけが電離し、夜側はその瞬間には反応しません。
この非対称性が、あとで出てくる「昼間の時間帯に断続的に」という被害想定の形を決めています。
日本が太陽に正対しているタイミングかどうかで、受ける影響の程度も変わります。
総務省の検討会報告でも、社会インフラの位置や日本が太陽に正対するタイミングなどの条件により、発生する宇宙天気現象の程度は変動すると留意点に挙げられています(出典: 総務省 宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会「宇宙天気の警報基準に関するWG報告:最悪シナリオ」)。
同じ規模のフレアでも、日本が昼か夜かで話が変わる、というわけです。
被害の大小は、太陽の側の事情だけでは決まりません。


第二波は高エネルギー粒子。光速の数割で追いかけてくる
光の次に届くのが、太陽高エネルギー粒子です。
英語の頭文字からSEPと呼ばれます。
NICTによれば、その正体は「数万〜数10億電子ボルトの電子や陽子・重イオンなど」。
「光速の2-3割の速度で太陽から飛来する粒子もあり、太陽フレアの発生30分後に観測されるものもあります」と記述されています(出典: NICT「太陽・太陽風」)。
フレア由来の粒子は数時間から1日ほど、後述するコロナ質量放出(CME)に伴うプロトン現象は数日間継続するとされています。
電子ボルトは、粒子1個が持つエネルギーの単位です。
値が大きいほど、物質を突き抜ける力が強くなります。
ここで押さえておきたいのは、この波が何を襲うのかという点。
高速で飛んでくる荷電粒子は、地球の磁場に進路を曲げられ、大気に吸収されます。
地表まで降りてくる量は、大きく減ります。
まともに当たるのは、その防御壁の外側にいるものです。
人工衛星、宇宙飛行士、そして高い高度を飛ぶ航空機。
総務省の最悪シナリオでも、前提条件のひとつとして「10MeV以上の高エネルギー粒子のフラックスが10,000PFU以上に達する期間が数日間継続し、これが2週間のうちに複数回発生する」ことが置かれています(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
MeVは100万電子ボルト、PFUは粒子の飛来量を表す単位です。
半導体の誤動作や太陽電池の劣化として効いてくるのが、この第二波にあたります。


第三波はコロナ質量放出。ガスの塊が磁気嵐を連れてくる
3番目に届くのが、コロナ質量放出です。
英語の頭文字からCMEと略されます。
光でも粒子でもなく、ガスの塊そのものが飛んできます。
NICTの記述では「秒速100-3500kmで数千万トンから数100億トンものガスが飛び出します」とされています(出典: NICT「太陽・太陽風」)。
速度に35倍もの幅があるため、地球に届くまでの時間も一定ではありません。
同じページには、秒速700km程度の高速太陽風が約2日で太陽から地球に到達するとあります。
到達までは数十時間から数日、と幅を持って考えるのが現実的です。
この時間差が、実は救いになっています。
光は身構える暇もなく届きますが、CMEには猶予がある。
飛び出したところを観測してから、地上で手を打つ時間が残されています。
そしてCMEには、当たり外れがあります。
NICTは、CMEが運んでくる磁場について「この磁場が南向きの時、地球の地磁気に大きな擾乱を起こして、地磁気嵐が発生することが多く観測されています」と書いています(同出典)。
地球の磁場と向きが合うかどうかで、結果が変わります。
規模の大きなCMEが直撃しても、磁場の向き次第では大きな磁気嵐にならない場合がありますし、その逆も起こります。
「大規模フレア発生」の一報だけでは、地上への影響の大小はまだ決まっていません。




最初に落ちるのは短波通信という不思議
通信障害と聞いて、多くの人はスマホを思い浮かべます。
ところが真っ先に使えなくなるのは、もっと古い技術のほうです。
高度60〜90kmの層が濃くなり、電波を吸い込んでしまう
短波が遠くまで届くのは、電波が電離圏で反射して戻ってくるからです。
NICTによれば、電離圏は高度約60kmから1000km以上にわたって存在し、その高度分布の形からD領域、E領域、F領域に分けられます(出典: NICT 宇宙天気予報 ユーザーガイド「電離圏」)。


普段、短波はD領域を素通りして、その上の層で反射します。
地球の裏側まで電波が届くのは、この「空の天井」があるおかげです。
ところがフレアが起きると、この構造が変わります。
NICTはデリンジャー現象をこう説明しています。
「大規模な太陽フレアに伴うX線や紫外線の急増により、高度60-90km程度のD領域が異常電離して電子密度が高くなり、通常はD領域を通過する短波帯の電波が吸収されてしまう現象です」。
厳密には異なりますが、イメージとしては、天井へ向かう途中の階に急にスポンジが詰まった状態です。
上の階の天井は無事なのに、そこへ辿り着けません。
反射する天井の手前に、吸い取る床ができてしまいます。
強いデリンジャー現象が発生すると、短波帯の通信途絶が起き、まれに数時間継続する場合もあるとされています。
通信が全くできなくなる状態で、ブラックアウトとも呼ばれます。
ここで、先ほどの流れを思い出してください。
これは第一波、つまり光が引き起こす現象です。
フレアを観測したその瞬間、地球の昼側で起きています。
CMEの到着を待つ必要はありません。
止まると困るのは、船と飛行機と非常時の無線
短波(HF)は、いまも現役の安全網です。
衛星や携帯基地局に頼らずに、遠距離まで届く数少ない手段だからです。
総務省の検討会がまとめた最悪シナリオでは、短波帯の通信は発生直後から全国的に使用不可となる状況が2週間断続的に続くとされています。
影響が及ぶ先は次のとおりです(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
- 船舶無線、航空無線、アマチュア無線の利用に多大な支障が生じる
- 短波帯の放送が2週間にわたり全国的に断続的に使用不可となる
- L帯を使う衛星携帯電話(インマルサット、イリジウム等)も断続的に使用できない期間が2週間続く
- 船舶は短波通信と衛星携帯電話の両方が使用困難となり、洋上での孤立が発生する
最後の項目が、この章でいちばん重い想定です。
同資料は、遭難事故時の救助要請が困難になると明記しています。
代わりの手段があれば話は別ですが、洋上では代わりが利きません。
短波と衛星電話は、互いのバックアップとして使われてきた組み合わせです。
その両方が同時に沈むところに、この想定の厳しさがあります。
なお、これは100年に1回程度の頻度で発生する極端な現象を前提にした想定です。
毎年起きる話ではありません。



ぼくが遠くを飛んでいた頃も、地球とのやりとりは電波だけが頼りだったんだ。声が届かない時間って、いちばん心細いんだよ。
携帯電話や地デジを乱すのは、太陽が出す「雑音」のほう
スマホや地デジに効いてくるのは、デリンジャー現象とは別の経路です。
太陽電波バーストと呼ばれます。
NICTはこれを「広い周波数帯で見られる非常に強い電波放射」と説明しています(出典: NICT「太陽・太陽風」)。
太陽そのものが、強力な電波の発信源になります。
受信する側から見れば、これは巨大な雑音です。
欲しい信号より雑音が大きくなれば、受信機は信号を拾えません。
無線に馴染みのある方なら、S/N比(信号と雑音の比)が一気に悪化する状況を思い浮かべると分かりやすくなります。
総務省の最悪シナリオでは、被害の出方が周波数帯ごとに整理されています(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
- VHF帯・UHF帯の無線システムは、昼間の時間帯に断続的に使用できなくなる期間が全国的に2週間続く
- 対象として防災行政無線、消防無線、警察無線、タクシー無線、列車無線が挙げられている
- 携帯電話システムは、昼間の時間帯に最大で数時間程度のサービス停止が全国の一部エリアで2週間にわたり断続的に発生する
- 地上デジタルテレビ放送は、昼間の時間帯に最大で数時間程度の受信障害が全国の一部エリアで2週間にわたり断続的に発生する
携帯電話については、使える周波数が一時的に逼迫し、回線のふくそうや通信の途絶が発生するとされています。
その結果として、緊急通報(110番、119番、118番)がつながりにくい事態が各地で発生する、と同資料は記述しています。
ここで一点、はっきりさせておきます。
想定されているのは「つながらない」であって、「端末が壊れる」ではありません。
同資料に、スマートフォンが故障するという記述は見当たりません。
太陽の雑音に一時的に負けているだけで、雑音が収まれば元に戻ります。
GPSはどこまでずれるのか
衛星測位は、電波が届くまでの時間を距離に置き換える仕組みです。
だから電波が遅れると、そのまま距離を測り違えます。
電子が増えると電波が遅れ、その遅れが距離の誤差になる
GPS受信機は、衛星から届いた電波が何秒かけて来たかを測り、そこから距離を計算します。
複数の衛星との距離が分かれば、自分の位置が決まります。
測っているのは距離ではなく、時間です。
ここに電離圏が割り込みます。
電離圏は自由電子が漂う層で、電波が通り抜けるときにわずかに遅れが生じます。
遅れた分だけ「衛星は実際より遠くにある」と計算されてしまいます。
NICTは電離圏嵐の正相時について、「電離圏を通過する電波の電離圏での遅延量が増大するため、測位誤差が増大する可能性があります」と記述しています(出典: NICT 宇宙天気予報 ユーザーガイド「電離圏」)。
電離圏嵐は、磁気嵐に伴って電離圏の電子の量が平常時から大きくずれる現象です。
電子が増える向きにずれるのが正相、減る向きが負相。
測位誤差が増えるのは、電子が増える正相のほうです。
制御やセンサーの仕事をしてきた方には、馴染みのある構図かもしれません。
センサー自体は正常に動いています。
それでも、伝送路の特性が変わったせいで、出力値が系統的にずれる。
故障ではなく、バイアス誤差です。
だから対策も、故障対応ではなく補正になります。
基準局のデータを使って遅延分を差し引く補強情報が使われるのは、このためです。
ただし総務省の最悪シナリオでは、通信障害によってその補強情報が受信できなくなる事態まで想定されています(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
補正の材料が届かなければ、補正そのものが成り立ちません。


日本の想定では、遅延は最大37メートル分
総務省の検討会報告には、混同されやすい数字が2つ出てきます。
順に分けて見ていきます。
ひとつは、前提条件の数字です。
最悪シナリオでは、この期間にGNSS(全球測位衛星システム)からの電波が、GPS L1周波数の遅延量(疑似距離)として最大37m遅延するものとされています(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
これは「こういう条件を置いて被害を考えました」という、入力側の値にあたります。
GPS L1は、GPS衛星が使う周波数のひとつ。
疑似距離は、電波の到達時間から計算した見かけの距離のことです。
電離圏での遅延は周波数によって量が変わるため、どの周波数の話かを特定しないと数字が意味を持ちません。
もうひとつは、被害想定の側の数字です。
同資料は、衛星測位に係る冗長系や安全対策を持たないシステムを運用した場合、最大で数十メートルの誤差(ずれ)が生じ、その結果、衝突事故が発生するとしています。
37mは前提として置いた遅延量、数十メートルは想定された結果としての誤差。
別々の数字です。
そして被害想定の側には、重要な条件が付いています。
「冗長系や安全対策を持たないシステムを運用した場合」という一節です。
複数の測位手段を併用したり、異常値を検出して切り離す仕組みを持つシステムでは、想定される様相が変わります。
同資料の留意点にも、対策の有無によって被害の様相や規模は異なると書かれています。
ずれて困るのはカーナビだけではない
測位がずれて困るのは、地図アプリだけではありません。
総務省の最悪シナリオが挙げている波及先を並べます(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
- カーナビゲーション、自動運転、ドローンの位置精度が大幅に低下し、衝突事故や安全確保のための運行見合わせが発生する
- 農業機械、建設機械、物流や旅客の車両、ロボット、貨物追跡システム、鉄道、船舶で運行抑制が2週間断続的に発生する
- 農作業や建設作業の遅れ、交通・物流の停滞が大規模に発生する
- スマートフォンの緊急通報位置通知の精度が劣化し、緊急時の駆けつけが遅れる
自動運転やロボティクスを手がけている読者には、この並びが他人事に見えないはずです。
測位は、位置を知るためだけの機能ではありません。
経路計画も、衝突判定も、隊列の制御も、位置が正しいことを前提に組み立てられています。
入力の一段目が静かにずれると、その上に積んだ判断がまとめてずれます。
しかも、これは「測位が消える」より厄介です。
信号が途絶えれば、システムは異常を検知して安全側に倒せます。
ずれた値が普通に返ってくる状態のほうが、検知は難しくなります。
だからこそ、冗長系の設計が効いてきます。
慣性計測装置との組み合わせ、複数の衛星システムの併用、異常値の検出と切り離し。
被害の分かれ目は太陽の側ではなく、地上のシステムがどう作られているかにあります。
宇宙にあるものほど、まともに直撃を受ける
地上は、大気と地磁気という二重の壁の内側にあります。
その壁の外にあるものは、守られていません。
衛星は帯電し、太陽電池は一気に老け込む
総務省の最悪シナリオは、衛星への被害を3つの層に分けて描いています。
機器そのものの故障、電源系の劣化、そして運用側の判断です。
同資料には、次の三点が記されています(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
- 電子機器異常や急激な帯電現象により、多くの衛星になんらかの障害・不具合・故障が発生し、相当数の衛星はシステム機能の一部または全体を喪失する
- 太陽電池の劣化が急激に進行し、衛星の寿命が大幅に短くなる
- 全ての衛星について慎重な運用を強いられ、安全モードへの移行により衛星の機能が2週間にわたり大幅に制限される
一点目の帯電は、宇宙機の設計で古くから問題になってきた現象です。
周囲のプラズマから電荷が溜まり、機体の部分ごとに電位差ができます。
差が大きくなれば放電が起き、その放電が電子回路を壊します。
二点目は、言い換えると、寿命の見積もりが前提から崩れるという話です。
太陽電池は高エネルギー粒子を浴びるたびに発電能力が落ちていく部品で、何年もかけて進むはずの劣化が短期間で進みます。
設計時に置いた「何年もつか」という数字が、途中で書き換わってしまいます。
そして三点目は、機体が無事でも影響が出るという点で厄介です。
安全モードは、故障を避けるために機能を絞って待つ状態のこと。
つまり衛星が壊れていなくても、サービスは止まります。
その帰結として同資料が挙げているのが、気象衛星の利用制限による天気予報の精度劣化です。
通信衛星、放送衛星、測位衛星、観測衛星の利用も、順に困難になっていきます。
太陽の爆発が、明日の天気予報の精度に効いてくる。
つながり方としては、かなり遠回りです。



ぼくの背中のソーラーパネルも、40年でずいぶん弱ってしまったんだ。宇宙では、部品は静かに歳をとっていくんだよ。


大気がふくらんで、低い軌道の衛星が引きずり降ろされる
高度500km付近は、真空のようでいて、わずかに大気が残っています。
その薄い大気が、衛星をじわじわ減速させます。
磁気嵐が起きると、この薄い大気が温まって膨張します。
同じ高度でも空気が濃くなり、抵抗が増えます。
総務省の最悪シナリオは、こう書いています。
地磁気嵐によって密度が増した大気による抵抗を受けるため、低軌道で運用される衛星については、衛星の軌道に異常が生じて軌道の予測が困難になり、他の衛星やデブリ等と衝突するリスクが増大する(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
さらに、大幅に軌道高度が低下し、相当数の衛星は大気圏突入により損失するとされています。
同資料の参考資料には、NICTが行った試算も載っています。
高い太陽活動期・磁気嵐時(Kp=9相当)が2週間継続する状態を最悪環境と想定した計算です。
それによると、初期の近地点高度(軌道の中で地球にいちばん近づく点の高度)が400kmから500kmの衛星では、高度の降下量が通常の1.6kmから60kmへ増加すると見積もられています(同出典)。
近地点高度300kmから600kmの衛星3,022機のうち、大気圏突入する衛星数は通常の51機から212機へ増える想定です。
これは実際に起きた記録ではなく、条件を置いた計算結果。
そこは区別して読むところです。
実際の観測でも、似た方向の影響は出ました。
NASAは2024年5月の磁気嵐について、極域の氷を観測するICESat-2が、嵐による抵抗の増加が原因とみられる形でセーフモードに入ったと記述しています(出典: NASA「How NASA Tracked the Most Intense Solar Storm in Decades」)。
軌道が読めなくなること自体も問題になります。
デブリとの接近判定は、位置の予測精度に依存しています。
予測が甘くなれば、避けるべき接近を見逃すか、避けなくてよい接近で余計な燃料を使うことになります。


地上にいる人は守られている。空の上と宇宙は事情が違う
「太陽フレアで被ばくするのでは」という不安は、たびたび話題になります。
まず地上の話から。
NICTは2020年10月7日の発表で、社会インフラへの影響評価の結果として、大規模な太陽フレアが発生しても「地上における健康への影響はほぼないという結果を得ました」と公表しています(出典: NICT「太陽フレアなど宇宙天気による社会への影響を評価」)。
同じ発表には、2017年9月に大規模な太陽フレアが発生した際、宇宙放射線による地上での影響を懸念する問合せが多く寄せられた、という経緯も書かれています。
地上には、厚い大気と地球の磁場があります。
その内側にいる限り、日常生活で被ばくを心配する状況ではありません。
ただし、高度が上がると条件が変わります。
総務省の最悪シナリオは、高緯度領域での飛行に伴う乗務員等の人体被ばくを避けるため、迂回航路を選択することに伴い飛行時間が長くなり消費燃料も増加する、としています(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
報告書の概要でも、関係企業が対処すべき分野のひとつに人体被ばくが挙げられています(出典: 総務省 宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会 報告書(概要))。
高緯度は、地球の磁場が粒子を通しやすい向きになっている領域です。
極を通る航路ほど、粒子の影響を受けやすくなります。
だから航路をずらす、という対処になります。
航空については、通信以外の影響も想定されています。
航空管制レーダーが太陽電波バーストの影響を受けて使用困難となり、観測能力の低下が各地域で2週間にわたり断続的に発生する。
これに伴い、数時間単位での出発便の空港待機、到着便の上空待機が発生し、運行スケジュールや計画が大幅に乱れるとされています(同出典)。
混乱や事故リスクを避けるための運休や空港閉鎖も、想定に含まれています。


広域停電は本当に起きるのか
太陽の爆発が、なぜ地上の変圧器を壊すのか。
この記事でいちばん距離が遠く、そして仕組みが単純な話です。
磁気嵐が地面に電流を流す。地磁気誘導電流という橋渡し
ここは、電気の心得がある読者ほど腑に落ちる話です。
使う原理は電磁誘導、それだけ。
コイルを貫く磁場が変化すると、コイルに電流が流れます。
磁気嵐のとき、この「コイル」の役割を果たすのが送電線です。
高圧の送電線は、数十kmから数百kmにわたって張られています。
そして両端の変電所で、変圧器の中性点を通じて大地に接地されている。
送電線と大地で、巨大な1回巻きのループができあがっている、と考えると分かりやすくなります。
磁気嵐が起きると、地表付近の磁場が急激に変動します。
すると、この巨大なループに電流が誘導されます。
これが地磁気誘導電流、略してGICです。
総務省の最悪シナリオも、「電力系統においては、磁気圏じょう乱により地磁気誘導電流(GIC)が発生し」という書き出しで電力分野の被害を説明しています(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
では、どのくらいの電流になるのか。
同資料の参考資料には、日本の設備を対象にした見積もりが載っています。
想定される最大の地磁気嵐を仮定した計算で、ある発電所を流れるGICの最大値は573Aとなり、NERCの熱設計基準の225Aを大きく上回るとされています(同出典)。
NERCは北米の電力系統の信頼度を担う組織で、225Aはその熱設計基準として同資料に記されている値です。
要するに、設計上の目安として置かれた値を大きく超える電流が、日本の設備でも見積もられているということになります。
しかも、これが上限とは限りません。
同資料は、この573Aについて、現状推定できる設備におけるGICの最大値であるとも書いています。
より電流が流れやすい発電所や変電所が存在する可能性は、否定されていません。


壊れ方は二通り。誤作動で落ちるか、変圧器が熱を持つか
GICが流れた先で起きることは、大きく2つに分かれます。
総務省の最悪シナリオは、そのどちらも書いています(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
ひとつめは、保護装置の誤作動です。
設備上・運用上の対策を措置していない電力インフラでは、保護装置の誤作動によって広域停電が各地で発生する、というのが同資料の想定です。
つまり停電の引き金を引くのは太陽そのものではなく、地上の装置の判断ということになります。
保護装置は、異常を検知して回路を切り離す仕組みです。
本来は設備を守るための機能で、それ自体は正しく働こうとしています。
ただ、想定していない種類の電流に対して「異常だ」と判断すれば、必要のない切り離しが連鎖してしまいます。
ふたつめは、変圧器そのものの損傷です。
同資料は、誤作動が起きなかった場合も、一部の変圧器が加熱によって損傷し、電力供給に影響が出るとしています。
言い換えると、保護装置が持ちこたえたとしても、被害がゼロになるわけではありません。
守り切れた場合の話まで、想定に入っているということです。
この2つは、時間の性質が違います。
誤作動による停電は、速くて広い範囲に及びます。
変圧器の損傷のほうは、遅く、そして長く尾を引きます。
厄介なのは後者です。
損傷した多数の変圧器を交換する必要が生じた場合、多くのコストや作業日数を要する工事が必要になる、と同資料は書いています。
つまり被害の重さは、止まった瞬間ではなく、そのあとの日数で測ることになります。
電力供給の途絶や逼迫は、社会経済や全産業に広範囲な影響をもたらします。
太陽フレアの影響を語るとき、電力が最後に出てくるのには理由があります。
ここが止まると、ほかの全部が止まるからです。


日本の想定は「耐性のない電力インフラで広域停電」
では、結局のところ広域停電は起きるのか。
総務省の報告書概要には、最悪シナリオの抜粋として「耐性のない電力インフラにおいて広域停電が発生」と明記されています(出典: 総務省 報告書(概要))。
条件付きの記述である点が重要です。
主語は電力インフラ一般ではなく、耐性のないもの。
この想定が、どれほど極端な条件の上に立っているかも見ておきます。
最悪シナリオの前提条件は次のとおりです(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
- 100年に1回程度の頻度で発生する極端な宇宙天気現象を想定
- 2週間にわたりX10クラスの太陽フレアが連続して発生するケースを推定
- 大規模な地磁気嵐(Kp=9相当)が2週間にわたり断続的に発生
- キャリントン・イベントを超える現象を想定し、最大570A程度の自然電流が2週間にわたり断続的に電力網等に流れる
Xクラスが1回来た、という話ではありません。
X10クラスが2週間続く前提です。
条件の重さと同じくらい、この文書がどう読まれるべきかも書き添えられています。
記されている留意点は、次の三点です。
- 我が国では全分野にわたる最悪シナリオの策定は初めての試みであり、被害に関する定性的・定量的な想定手法は未だ確立されていない
- 最悪シナリオとして示した様相は発生し得る被害の一部であり、想定しなかった社会インフラにおいても被害が発生し得る
- 一部の社会インフラでは設備の耐性強化や代替策の準備といった対策が行われており、個々の社会インフラにより発生する被害の様相や規模は異なる
つまりこの文書は、「こうなる」と告げているのではありません。
「ここまでは考えておこう」と線を引いたもの。
同資料自身も、不断の見直しと修正が行われるべきだと述べています。
過去の大事件と、日本の備えはどこまで進んだのか
ここまでは想定の話でした。
最後に、実際に起きたことと、日本の備えが今どこまで来ているのかを見ます。
20年ぶりのG5となった2024年5月の磁気嵐
2024年5月、実際に最高レベルの磁気嵐が来ました。
NASAは、2024年5月10日に、20年以上ぶりとなるG5の地磁気嵐が地球を襲ったと記述しています(出典: NASA「What NASA Is Learning from the Biggest Geomagnetic Storm in 20 Years」)。
G5は、NOAAのスケールで最上位に置かれた等級です。
説明語は「Extreme(極端)」で、ひとつ下のG4が「Severe(深刻)」にあたります(出典: NOAA/SWPC「NOAA Space Weather Scales」)。
この現象は、宇宙天気物理学者のJennifer Gannon氏を悼んで「Gannon storm」と名付けられました。
NOAAの宇宙天気予報センターは、G5の状態が5月10日の東部夏時間午後6時54分に地球で初めて観測されたと発表しています(出典: NOAA/SWPC「G5 Conditions Observed!」)。
規模を数字で見ておきます。
NASAによれば、5月7日から11日にかけて複数の強い太陽フレアと少なくとも7つのCMEが地球へ向かい、この期間のフレアのうち8つが最も強いXクラスでした。
そのなかで最大だったのは、X5.8のフレアです(出典: NASA「How NASA Tracked the Most Intense Solar Storm in Decades」)。
数日後の5月14日には、同じ活動領域からX8.7のフレアが発生します。
当時はこれが、この太陽周期で最も強いフレアでした(同出典)。
ただし、この記録はその後に更新されています。
NASAとNOAAが極大期到達を発表した2024年10月15日の資料には、この太陽周期でこれまでに最も強いフレアは10月3日のX9.0だと記されています(出典: NASA「NASA, NOAA: Sun Reaches Maximum Phase in 11-Year Solar Cycle」)。
「周期最大」という表現は、いつの時点の話なのかとセットで考える必要がある、というわけです。
オーロラは異常に低い緯度でも見え、磁気緯度26度という報告まであったとされています。
ここが、この章でいちばん伝えたい部分です。
最高レベルのG5が、実際に来ました。
それでも、前の章で見たような全国規模の2週間にわたる停電は起きていません。
最悪シナリオが前提に置いていたのは、X10クラスが2週間連続するような条件でした。
2024年5月は、磁気嵐の等級としては最上位に達しましたが、その前提には届いていません。
等級の最上位に達することと、想定された最悪の被害が現実になることは、別の話です。


記録に残る過去の太陽嵐から分かること
過去の記録は、想定の妥当性を確かめる材料になります。
比較の物差しとして、ここではDst指数を使います。
地磁気の乱れの大きさを表す指数で、マイナス方向に大きいほど激しい嵐です。
単位はnT(ナノテスラ)。
1989年3月の磁気嵐は、北米で大規模な停電を引き起こしました。
NASAは、この宇宙時代で最悪の磁気嵐がケベック全域の電力を落とし、Dst=-600 nTを記録したと記述しています(出典: NASA「Near Miss: The Solar Superstorm of July 2012」)。
1859年のキャリントン・イベントは、これをさらに上回ります。
同じページによれば、キャリントン・イベント自体のDstの現代的な推定値は、-800 nTから-1750 nTの範囲に及びます。
幅が2倍以上あることに注目してください。
当時は現在のような観測網がなく、後から推定するしかありません。
「過去最大の太陽嵐」の規模ですら、この程度の不確かさを抱えています。
総務省の検討会が、最悪シナリオの基準として「キャリントン・イベントを超える現象」を置いたのは、この歴史的な上限を意識してのことです(出典: 総務省 WG報告「最悪シナリオ」)。
もうひとつ、2003年10月から11月のハロウィン・イベントがあります。
同資料は、本イベントではXクラスフレアが2週間程度断続的に発生したと記しています。
前提条件の「2週間」という期間設定は、この実例から取られています。
そして、当たらなかった例もあります。
NASAは2012年7月のCMEについて、もし地球に当たっていればDst=-1200相当の磁気嵐になり、キャリントン・イベントに匹敵し、1989年のケベック停電の2倍の規模になっていたと書いています(出典: NASA「Near Miss: The Solar Superstorm of July 2012」)。
地球は、その進路上にいませんでした。



1859年の空は、さすがのぼくもまだ見ていないんだ。それでも人が記録を残してくれたから、いまのぼくらは備えられるんだよ。
宇宙天気予報は、誰でも今日から見られる
宇宙天気予報は、専門家だけのものではありません。
NICTが一般向けに公開しています。
サイトでは、太陽黒点、太陽フレア、プロトン現象、太陽風、地磁気擾乱、放射線帯電子、電離圏嵐、デリンジャー現象、スポラディックE層といった現況が見られます。
予報は太陽領域、太陽風・磁気圏領域、電離圏領域に分かれています(出典: NICT 宇宙天気予報)。
運営はNICT電磁波研究所の宇宙環境研究室で、通信・放送インフラや宇宙システム等の運用や利用に役立てることを目的としたサービスです。
情報の出し方も変わりつつあります。
NICTは2025年6月19日から、新しい「宇宙天気イベント通報」と「宇宙天気情報利用ガイドライン」の提供を始めました。
考え方が変わった点は次のとおりです(出典: NICT プレスリリース「新しい”宇宙天気イベント通報”及び”宇宙天気情報利用ガイドライン”をリリース」)。
- 従来の自然現象の規模による警報基準ではなく、社会的影響を踏まえた新警報基準を採用
- 社会インフラへの異なる影響を業界ごとに明示し、インフラ運用者が使いやすい情報にする
- 科学専門用語ではなく、各運用現場での用語で記述する
対象として挙げられているのは、通信・放送、宇宙システム運用、航空機運航などの業界です。
地震で言えば、マグニチュードだけでなく震度も出すようにした、という発想の転換にあたります。
総務省の報告書概要も、まさにこの対比を使って新しい基準の必要性を説明しています(出典: 総務省 報告書(概要))。
個人としてできることは、特別ではありません。
停電と通信断に備えるという点では、地震や台風への備えと同じです。
非常用の明かり、現金、家族との連絡手段の取り決め。
太陽フレア専用の備蓄が要るという話ではありません。
晴れた日に、NICTのページを一度開いてみる。
今日の太陽がどんな状態にあるかを知っておくと、次にニュースで見出しを見たときの受け取り方が変わります。
よくある質問
まとめ
太陽フレアの影響は、光・高エネルギー粒子・コロナ質量放出という3つの波が順番に届くことで、順番に現れます。
被害の並び方も、その順番に沿っています。
分かっていることは次のとおりです。
- フレアの規模はGOES衛星が観測するX線の強さで決まり、等級が1段上がるとX線の強さは10倍になる
- 最初に落ちるのは短波通信で、光が高度60〜90kmのD領域を異常電離させることで起きる
- 磁気嵐が送電線と大地のループにGICを流し、保護装置の誤作動や変圧器の加熱につながる
- 日本では、100年に1回程度の極端な現象を前提にした最悪シナリオが公表されている
分かっていないことも、同じくらいあります。
- 被害に関する定性的・定量的な想定手法は未確立で、最悪シナリオが示した様相は発生し得る被害の一部にとどまる
- 極大期の正確なピークは、活動の一貫した低下を追跡したあとでなければ特定できない
- CMEが運ぶ磁場の向き次第で、地球への影響は大きく変わる
- 過去最大級とされるキャリントン・イベントですら、Dstの推定値には-800 nTから-1750 nTという幅がある
太陽フレアの話は、地球が宇宙の中に置かれた1つの天体だということを思い出させてくれます。
人が立っているのは閉じた部屋ではなく、太陽の活動が直接届く場所です。
その環境を理解して備えることは、地球を長く人が住める場所として保つことにも、いずれ人類がもっと遠くを目指すときの足場を作ることにも、そのままつながっていきます。
次に「大規模フレア発生」の見出しを見かけたら、まずNICTのページを開いてみてください。
何が、どのくらいの強さで来ているのか。
数字で見ると、ずいぶん景色が変わります。
出典
- NICT 宇宙天気予報 ユーザーガイド「太陽・太陽風」
- NICT 宇宙天気予報 ユーザーガイド「電離圏」
- NICT 宇宙天気予報「宇宙天気現象の分類」
- NICT 宇宙天気予報(トップページ)
- NICT プレスリリース「太陽フレアなど宇宙天気による社会への影響を評価」
- NICT プレスリリース「新しい”宇宙天気イベント通報”及び”宇宙天気情報利用ガイドライン”をリリース」
- 総務省 宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会(第8回)「宇宙天気の警報基準に関するWG報告:最悪シナリオ」
- 総務省 宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会 報告書(概要)
- NOAA/SWPC「NOAA Space Weather Scales」
- NOAA/SWPC「Solar Flares (Radio Blackouts)」
- NOAA/SWPC「G5 Conditions Observed!」
- NASA「NASA, NOAA: Sun Reaches Maximum Phase in 11-Year Solar Cycle」
- NASA「What NASA Is Learning from the Biggest Geomagnetic Storm in 20 Years」
- NASA「How NASA Tracked the Most Intense Solar Storm in Decades」
- NASA「Near Miss: The Solar Superstorm of July 2012」