米Xonaが2億5,000万ドル調達しGPS代替の測位衛星を量産へ

米国の宇宙スタートアップXona Space Systems(以下、Xona)は2026年10月22日、2億5,000万ドルの資金調達を発表しました。
同社は、米国政府が運用するGPSに代わる商用の測位衛星網「Pulsar(パルサー)」を、約258機の衛星で作る計画を進めています。

今回の資金は、この衛星網を担う衛星の量産を急ぐために使います。
2026年10月には6機の衛星を打ち上げており、2027年に最初の顧客へ試験的なサービスを始める予定です。

3行で分かるポイント

  • Xonaが2億5,000万ドルを集め、会社の価値は24億5,000万ドルと評価されました
  • 位置と時刻を知らせる衛星を、GPSよりずっと低い高度に約258機並べる計画です
  • 2026年10月に6機を打ち上げ、2027年初めから一部の地域で試験的なサービスを始める予定です
目次

まず押さえたい背景

スマートフォンやカーナビが自分の位置を知るときは、上空の衛星から届く電波を使っています。
衛星から電波が出た時刻と受け取った時刻の差から距離を求め、複数の衛星との距離を組み合わせて位置を割り出す仕組みです。

このように衛星の電波で位置と時刻を求めることを「測位」といいます。
代表的な測位衛星であるGPSは米宇宙軍が運用しており、衛星は高度約2万200kmの軌道を回っています(出典:GPS.gov「Space Segment」)。

Xonaは、米カリフォルニア州バーリンゲームに本社と衛星工場を置く会社です。
カナダのモントリオールにも拠点があります。
同社が作るPulsarは、高度1,080kmの低い軌道(低軌道)に258機の小型衛星を並べ、センチメートル単位の精度で位置を伝えることを目指しています(出典:Xona公式サイト)。

同社は、Pulsarの信号はGPSより最大100倍強いと説明しています。
電波は距離が離れるほど弱くなるので、地表に近い軌道を回る衛星ほど強い信号を届けやすくなります。
Xonaはこの強い信号によって、屋内や木の下、ビルの多い街中でも使えるようにし、妨害電波で信号をかき消す「ジャミング」にも強くすると説明しています。

何が発表されたか

今回の調達は「シリーズD」と呼ばれる段階のものです。
スタートアップは成長に合わせて何回かに分けて出資を受けます。
シリーズDは、アルファベット順に名前が付く出資ラウンドの4番目にあたります。

出資を主導したのは、宇宙やAI、エネルギーなどの新しい技術に投資するベンチャーキャピタルのFuture Venturesです。
同社は、SpaceXやTesla、衛星画像会社のPlanetにも創業初期から投資してきました。
Future Venturesの共同創業者で、長年SpaceXの取締役も務めるスティーブ・ジャーベットソン氏が率いています(出典:Business Wire「Xona Raises $250M as Next-Generation Global Navigation Network Begins Deployment」)。

今回の調達で会社の価値は24億5,000万ドルと評価され、2019年の創業以来の調達額は5億7,000万ドルを超えました(出典:Payload「Xona Raises $250M Series D to Scale Commercial GPS Constellation」)。

衛星の配備はすでに始まっています。
2026年10月、SpaceXの「Bandwagon-5」で6機のPulsar衛星を打ち上げました。
Bandwagon-5は、複数の顧客の衛星を1機のロケットに相乗りさせて運ぶ打ち上げです。

6機のうち4機は、最初の試作衛星Pulsar-0を改良したものです。
この4機は、ベルギーに拠点を置き、衛星の設計から製造、運用までを手がけるAerospacelabと共同で作りました。
残る2機の試験衛星(PTS-1とPTS-2)は、Xonaがバーリンゲームの自社工場で設計・製造しています(出典:Xona「Pulsar’s First Deployment: Six Satellites Head to Space」)。

宇宙業界にとっての意味

衛星測位は、これまで米国、欧州、中国、ロシアなどの国が運用するシステムが担ってきました。
Xonaは2026年8月3日、258機を含む250機以上の衛星網からPulsarの信号を送ることについて、米連邦通信委員会(FCC:米国で電波の利用を許可する政府機関)の承認を受けました。
使う周波数は、GPSなどの測位衛星と同じ「Lバンド」と呼ばれる帯域です。
同社は、FCCの承認を受けた民間の測位衛星網は自社だけだとしています(出典:Xona「Pulsar receives first-of-its-kind FCC authorization for full deployment」)。

政府との関係も広がっています。
Xonaは2026年10月、モントリオールでの事業拡大のため、カナダ政府から1,500万カナダドルを受けました。
2027年には、米陸軍・海軍・空軍と、Pulsarを機器に組み込む試験を行う予定です(Payloadの記載による)。
衛星の数をそろえて途切れなくサービスを提供できるようになれば、国が運用するシステムだけだった衛星測位の分野に、民間の衛星網が加わることになります。

今後の注目点

当面の焦点は、2027年初めに始まる試験的なサービスです。
最初の4機によるサービスでは、米国、カナダ、欧州の大部分の利用者が、1日8回、1回あたり約25分の信号を受け取れる見込みです。

いつでも使える測位サービスにするには、さらに多くの衛星を軌道に上げる必要があります。
そのため、衛星をどれだけの速さで作れるかが鍵になります。

最高経営責任者(CEO)のブライアン・マニング氏は、2027年末までに年50機を生産できる体制を目指すと述べています。
Xonaは2026年10月、自動運転車の開発会社Waymoで生産体制づくりに携わったパトリック・カダリウ氏を、業務部門の責任者として迎えました。

量産の立ち上がりと米軍との試験の結果が、次に見ておきたい点です。

出典

ほしまる
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