JPX総研は2026年10月7日、東証株価指数(TOPIX)の見直しに伴う初回の定期入れ替えの結果を発表しました。
新規採用の35銘柄には、宇宙ごみの除去などに取り組むアストロスケールホールディングスと、小型のレーダー衛星を開発・運用するSynspectiveの2社が含まれています。
2社とも東証グロース市場に上場している会社で、指数への組み入れは2026年10月30日に行われます。
3行で分かるポイント
- 日本株全体の値動きを表す代表的な指数に、宇宙企業2社が新たに加わる
- 新しく加わる35社は、市場で売買される株の時価総額と回転の速さという共通の基準で選ばれた
- 指数に連動する投資信託などで、2社の株が組み入れの対象になる
まず押さえたい背景
東証株価指数(TOPIX)は、東京証券取引所に上場する多くの会社の株価をひとまとめにして、日本の株式市場全体の値動きを表す指数です。
日経平均株価と並んで、日本株の動きを伝える代表的な物差しとして使われています。
JPX総研は、このTOPIXの構成銘柄の入れ替えを決めて公表した機関です。
今回の入れ替えは、TOPIXの見直し(第2段階)の一環です。
新しい仕組みでは、プライム・スタンダード・グロースの全市場の会社が選定の対象になります(出典:財経新聞「TOPIX改革第2段階、35銘柄を新規採用」)。
グロース市場は、成長途中の会社が多く上場する市場区分です。
採用された2社のうち、アストロスケールは2013年に創業した東京都の会社で、英国・フランス・米国・イスラエルにも拠点を置いています。
役目を終えた人工衛星や故障した衛星、ロケットの残骸などの「宇宙ごみ(スペースデブリ)」を取り除くサービスや、運用中の衛星の寿命を延ばすサービスなど、宇宙空間で衛星に直接働きかける「軌道上サービス」を手がけています。
2024年6月に東証グロース市場へ上場しました(出典:アストロスケール「会社概要」)。
Synspectiveは2018年に設立された東京都江東区の会社です。
SAR(合成開口レーダー)衛星という、地表に電波を当てて跳ね返りから画像を作る衛星を開発・運用しています。
電波は雲を通り抜け、太陽の光も必要としないため、天候や昼夜を問わず地表を観測できます。
従来のSAR衛星には1,000kgを超えるものがある一方、同社の衛星は約100〜150kgです。
衛星で取得したデータの販売に加え、地盤の変動の監視や洪水・災害の被害の把握といったサービスも提供しています(出典:Synspective「会社概要」)。
何が発表されたか
今回新しくTOPIXに加わるのは35銘柄で、内訳はスタンダード市場の23銘柄とグロース市場の12銘柄です。
アストロスケールホールディングス(銘柄コード186A)とSynspective(同290A)は、グロース市場から採用された12銘柄に含まれています(出典:インベストリーダーズ「TOPIX入れ替え【2026年10月】」)。
同じ日の発表では、日本マクドナルドホールディングスや東映アニメーション、自動運転ソフトのティアフォーなども採用されました。
新規採用の基準は、次の2つです(出典:財経新聞「TOPIX改革第2段階、35銘柄を新規採用」)。
1つめは、浮動株時価総額で上位96%以内に入ることです。
浮動株とは、創業者や取引先が長く持ち続ける株を除いた、市場で実際に売買されやすい株のことで、その株数に株価を掛けた金額が浮動株時価総額です。
大きい会社から順に浮動株時価総額を足していき、市場全体の96%に達するまでに入る会社が対象になります。
2つめは、年間売買代金回転率が0.2以上であることです。
これは1年間の売買の金額が浮動株時価総額に対してどれだけあるかを表す値で、株が活発に取引されているかを測ります。
入れ替えは2026年10月30日に実施されます。
一方で、683銘柄は「移行措置銘柄」として、四半期ごとに8段階に分けて指数の中での比率が引き下げられます(出典:Stock Express「TOPIX構成銘柄の入れ替えで日本株はどう変わる?」)。
今回の見直しは、新しい会社を加えるだけでなく、基準に満たない会社の比率を段階的に下げていく内容です。
宇宙業界にとっての意味
TOPIXに連動するように運用されるETF(上場投資信託)や投資信託は、原則として指数を構成する銘柄を、その比率に合わせて保有します。
TOPIXを投資対象とする連動運用資産は、2026年6月末時点で約160兆円です(出典:Stock Express「TOPIX構成銘柄の入れ替えで日本株はどう変わる?」)。
財経新聞は、指数に連動する運用による新規の組み入れ需要が見込まれると伝えています。
2社の株は、この指数連動の資金が投じられる対象に加わることになります。
宇宙企業にとって、衛星やサービスの開発は打ち上げや実証に時間がかかり、継続的な資金調達が事業の前提になります。
今回の2社は、全市場共通の数値基準である浮動株時価総額と売買の活発さを満たして採用されました。
選定は会社の事業分野を見て行われたものではありません。
宇宙企業の株が、日本株全体を表す指数に組み込まれる規模で取引されているという事実を示しています。
今後の注目点
まず、2026年10月30日の入れ替え実施です。
この日から、2社の株価の動きがTOPIXの値に反映されるようになります。
TOPIXの定期入れ替えは、今後も毎年行われる予定です(出典:Stock Express「TOPIX構成銘柄の入れ替えで日本株はどう変わる?」)。
新規採用より緩い基準ですが、継続して採用されるためには年間売買代金回転率0.14以上などの基準を満たす必要があります。
次回以降の見直しで、2社がこの基準を保てるかどうかが確認点になります。